声をかけてほしい!
新作投稿致します!
「お願いします!オ、オレと、付き合ってください!!」
澄み渡る青空に張りのある大きな声が響き渡る。
場所は学校の目前。
時間は朝、沢山の登校してきた学生たちで通学路は溢れている。
そこに響き渡った先ほどの言葉、シチュエーション的には、は?と聞きなおしたくなるような状況だが、一言一句ハッキリと発声された言葉はどう考えても愛の告白の言葉だった。
一斉に歩みを止めて視線を向ける学生たち、彼、彼女らの視線はある一点に集中していた。
そう、朝っぱらから、人目も気にせず、堂々と往来の中で告白した背の低い男子と、まったく予期せぬ告白をされて固まっている美少女に――
*******
「なぁ今日の放課後遊びにいかね?」
「いいぞ、他にも部活入ってない奴らに声かけてこうぜ」
「だな、人数多い方がいいし、オレ西田たち誘ってくる」
「じゃあオレは女子たちにも声かけてみるか」
「……なぁアイツはどうする?」
「あぁ、なんかチラチラ見てくるな……別にいいんじゃないか?オレあんま話したことないし」
「だな、ちょっと怖い」
ふぁ、ふぁああああああー!!!
は、恥ずかしいぃぃ!!チラ見してたのバレてた!!
休み時間。クラスメイトの茂木君と山野君が話している内容が偶然聞こえてきた。
今日の放課後、部活をやってない人たちで遊びに行くという素晴らしい提案。
聞いていただけで、期待が膨らみ、ドキドキと心臓の音がうるさくなった。
だって、僕も帰宅部だから!
その条件なら僕もメンバーに含まれる資格はある!
高校に入学してから、もうどれだけの月日が流れたか、ついに今日、僕はクラスメイトと放課後に遊びに行くという偉業を達成するんだ。
あとはさりげなく僕に声をかけてくれるまで待つ、それだけだったのに……。
「はぁ……」
自然と口からため息がこぼれた。
僕、戦野 千歳は、いつもこうだった。
小さい頃から恥ずかしがり屋で、自分から他人に話しかけたことはない。
何かを始めようとしても臆病で、一人じゃなにもできなかった。
そんな性格が災いして、まともに友達ができたこともない。
普段一人でいるから、みんなと遊ぶとしても何をしていいのか分からなくて、参加するのが怖かった。でも、本当は――
「……あぁ、僕も、みんなと遊びに行ってみたかったなぁ」
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