王様の趣味は再増税
ここまで増税するのに、どれだけ苦労したと思ってるんだ!!
王宮の謁見の間には、王とその秘書官、二人の姿があった。
「王様、なぜ私がこのような格好をさせられているのでしょうか?」
ポニーテールにした金髪を揺らしながら、黒光りするエナメルのボンテージに身を包んだ秘書官が立っていた。
あたりには馬はいないが、手には乗馬鞭を持っている。
「余の愉しみじゃ。存分に役目を果たすが良い。
ていうか、オチが見えてる気がするのは儂だけなのか?」
ひげをたくわえ、半裸の肥満体で木製の椅子に腰掛けた王は言った。
「ご安心ください。私にも想像がついております。」
ピシャリと鞭を手に打つ。
「ところで、平民達の間では半年ほど前から疫病の蔓延し、彼らは疲弊しています」
「それは知っておる。GOtoHELLじゃ!」
「仕事も減り、収入は激減し、日々を生活するのも大変と聞き及んでおります。」
「そうか!!では増税だ!」
「……、今なんと?」
「平民共の生活が困窮しておるのだろう?!なら増税だ!」
秘書官の細い眉がぴくりと動く
「それは、どういう意味でしょうか?」
「だーかーらー、余の借金が……」
「はいはい、そろそろ本当のことを言いましょうね。」
「えーっ!嫌だな~。じゃなかった、おほん。出来れば拒否したいのだが仕方ない。」
王は、背筋を伸ばし覚悟を決めて言う。
「すまぬ……。余が嘘をついておった。
余は単に惰眠を貪る国民の、地獄のような貧困に喘ぐ姿が見たいだけじゃ」
「左様か……。」
秘書官は、どこからか麻縄を取り出すと、手際よく亀甲縛りにし、上を見上げると、いつからかそこにある梁に、王を吊し上げた。
「よいしょっと」
両手を後ろ手に固定された、海老反りの王の体が宙に浮き、少し回転する。
「あんた、マジで糞外道だなっ!」
と、秘書官は乗馬鞭を放り投げると、代わりに一本鞭を取り出した。
「ちょっ、それ痛いヤツやん!!」
とか言いつつも、口元は緩み、目はボンテージの胸元に釘付けである。
「問答無用!!!」
ピシーッ!
むき出しの内ももに鞭の直撃!!
何故かとても手慣れた感じがする。
「ああーっ!」
王は、……以下略。
なんていうか、もう、ただ増税したいだけだろっ!
って思ったの、私だけ?