1.邂逅
突然だが俺、千葉 新太には特異体質が宿っている。
魔法が使えるとか、能力が使えるとか、見えちゃいけない物が見えるとかそうゆう物じゃ無い。
………やっぱ訂正、見えちゃいけないもん見えるわ。
しかも結構ガッツリ。
例えば、この今いる巌国学園2-B教室をぐるっと見渡すと
NAME 椎崎 すもも
HERO POWER 30000 HERO
JOB 主人公
STORY 『ピンク髪の女の子だけど負けません!』
私、椎崎すももは何処にでもいるピンク髪(ここ重要)の高校二年生! ちょっぴり不幸で無人島に流れ着いたり、脱走したSCPと戦ったり、邪神を復活を目論む教団の計画を阻止したり、バイオテロに立ち向かったり。色々大変だけど、椎崎すもも、負けません!
第4話 はーギリギリ進学できたー、それにしても去年は大変だったなー。皆でキャンプもう一回したいなー。そんなこんなで進級して高校二年生になった私、椎崎すももは気分を一転して平穏な日常を望むんだけど……「俺か? 俺は_____魔法使いだ!」何だか魔法使いのお友達ができちゃって?
NAME 松阪 与一
HERO POWER 35000
JOB 主人公
STORY Today Yesterday and Tomorrow
夢を見るんだ、出会ったことのない真っ白い少女と一緒にいる夢を。でも夢の中の俺は少しだけ大人びていて、なんだか。心に傷を負った青年、松阪与一は進級して二週間たったある日謎の転校生と出会う。転校生である新沼奏はこちらのことを知ってるみたいで? これは過去と今を繋げて未来に送る物語
COMING SOON!
とまぁ、こんな感じで見えるのである。主人公の設定やら何やらが
しかしカミングスーンって何だよ、まだストーリー始まってないの?
確かに進級してまだ二週間経って無いけどさ。
しかもなに? 魔法使い居んの? いっぺん会ってみてーわ。
しかもコイツらは一例として紹介しただけで、あとこのクラスに三人の主人公がいる。
こんな量は生まれて初めての経験ですよ。去年だって一人だけだったし。
しかも極めつけが
NAME 菊地原 雫
HERO POWWER 490000
JOB ヒロイン
STORY Not found
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とか言うヒロインなのに下手な主人公よりも主人公してるし表示もおかしいバグりキャラもいるし。
しかも肩口で揃えられたサラサラな髪とめっちゃくっりくりなパッチリお目目のおかげでラノベだったら王道勝ち確定ヒロインって感じがする。
しかも、体のラインが細い。しなやかでそれでも女性らしい所はちゃんと出てる神仕様。本当に守ってあげたくなる系の美少女。
こいつのストーリーの主人公ってまじでどんな奴なんだよ……スッゴい気になる。
あ、ヤベずっと見てたから目合った。ッ! 今、こっち向いてニコってしたぞ!
笑顔の破壊力すげーよ、一瞬菊地原さんの周りに天使が見えちゃったよ。
いやー今回のクラス編成は神ですな、数少ない友人が居ないことを覗いて。ガハハ。
放課後、それは主人公とヒロインが愛を育む時間。
やっぱりね、長年主人公を見ているとさ、どーにも首を突っ込みたくなるっつーか。
こう、友人ポジ的なとこに居座って、例えば俺『あれー? 誰か居んのー? 気のせいか、んじゃ鍵閉めようかなー』ヒロイン・主人公『え!? 閉じ込められた!』みたいなイベントを起こしてみたり。
主人公『君みたいな平凡な人が当たり前の幸せを当たり前に過ごしてるのを見ると、少しだけ救われた気がするよ』俺『言ってる事わかんねーけど、俺とお前はずっ友だぜ!』とかやって見たりするのがさ、楽しいんですよ。
俺別に主人公じゃないけど、主人公見てると特別な人っているんだなーって思えて、それに関われて嬉しいなーって思えてくるんですよ。
絶対自己満足でいい迷惑野郎だけど本人達にまだ迷惑って言われてないもんねー。
そんな俺の独白なんてどうでいいんだよ。
とにかく、俺の趣味である。主人公達の観察するための被験者。こいつを探してるんですよ。
個人的な意見で言わせて貰うと、SCP少女は論外。ありゃー命がいくら合っても足りん奴だよ。
だから比較的安全そうでラブコメ臭がする松阪与一君にけってー。
と、そうしたらまずは松阪君にコンタクトをって、アレ?
俺と菊地原雫以外の人が居ないの?。
別におかしくは、無い。でもまだHR終わって十五分しか経ってない。
何時もだったら人が何人かいて駄弁っててもおかしくはない。しかも、進学早々だぞ、放課後を使ってまで友達作りで残ってる奴も要るかも。でも放課後だし。
思考が違和感を訴える。別に不自然では無い、だけどおかしい。
例えるなら、『放課後ギリギリまで勉強してたら俺の好きな人が忘れ物摂りにきて秘密を知ってしまう』といった中学生じみた妄想が現実になった位おかしい。
確率は有る。だがそれは極端に運が良くないとそんな都合良く行く分けない。
どんな天文学的な確率なんだよ。
そして彼女が口を開く、そして目が合う。
「えーっと、新太君だよね。なんか二人っきりになっちゃたね」
そういやいたな、極端に都合の良い展開を。
『きゃ! どこさわってんのよ! この変態!』でリアルだったらポリスメンが出動なさる位の奴だったら許される主人公の平均HERO POWWERの約十五倍の数値出してたヒロイン。
「ちょっとだけ、私とお話しない?」