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オッドアイのエージェント  作者: 水無月優
7/14

少しずつ変化

紫吹が退院して2日後

両親からの提案で1日ゆっくり休んだ後に学校生活に戻った

家に戻って両親に紫吹家のことを聞いたけど

両親からは特に特別な家系でもないと口を揃えて言っていた

白い空間のことを少しだけ話したが

意識が混濁していたかは夢でも見たんだろうと終わってしまった

結局なにも分からず学校生活に戻ることになった


「潤。大丈夫か?」


湊は紫吹の肩に手を置きながら顔を覗き込む


「左目…お前から聞いた時はびっくりしたけどやっぱ治ってんだな。医者からは潰れたって聞いてたのに」


「……ああ、俺もビックリしたよ」


紫吹はそっと左手で左目を覆う

白い空間での出来事、祖父の言っていた言葉

そして病院での視力

自分の左目は今までの左目なのではないのではと考えていた

そしてふとあることを思いつく


「なぁ、湊。あっち向いてホイやらないか?」


突然の紫吹の提案に湊はキョトンとした様子を見せた


「え?ああ、いいぜ」


紫吹と湊はお互いに握りこぶしを作り前に出す


「「じゃんけんぽん!」」


紫吹がチョキで湊がグー


「あっち向いて…」


紫吹はジッと湊の手を見る


「ほい!!」


紫吹はすぐさま左を向いた

しかし湊の指も紫吹と同じスピードで同じ方向を向いていた


「よっしゃ!俺の勝ち!はい、ジュース」


「え、待て!それは俺言ってないぞ!」


「今俺が言ったからな」


紫吹は不満な顔をしたままジュース一本買えるお金を湊に渡した


「半分冗談だったけど変なところ素直だな潤は」


「うるせーよ」


不満な顔したまま財布をしまった


「ところでなんで急にあっち向いてホイ?」


「ん…。いや、ちょっと試したいことがあってな」


「試したいこと?」


湊は首を傾げる

一方紫吹は考え事が始まったようで湊の疑問はスルーしていた

今のあっち向いてホイは洞察力や動体視力が上がっているのかどうかを試したかったからだ

病院では視力は左目だけ格段に上がっていた

だが、あれ以降左目の視力は右目と同じくらいになっている

何度も挑戦をしてみたが、やはり見え方は変わらない

だからこそあっち向いてホイで、どうなるかを知りたかったが

普通に負けたのでなんの成果も分からなかった


「潤?大丈夫?」


後ろから由花が心配そうに声をかけてきた


「ああ、大丈夫。この通り怪我も治ったし、潰れていたと思っていた左目もバッチリ!」


由花は紫吹の左目と全身を見て安堵の表情を浮かべる


「良かった…!これで気兼ねなくまた遊びに行けるね!」


そう言って由花は友達の方へ離れて行った

そこへガラッとドアが開き先生が入ってきて

授業が始まった


「えーっとここはテストに出るからしっかり見て覚えとけよ」


先生が指差した方を見る

その瞬間

左目の視界だけ近付いて来るようにアップになった


「おわ!?」


急に視界が変化した為、驚いて紫吹は椅子から立ち上がった

その様子に周りの生徒はビックリして紫吹に視線が注目した

当然先生もびっくりした表情を浮かべる


「ど、どうした?紫吹?なんかあったか?」


「あ、い、いや、なんでもないっす…。すいません」


周りの生徒にごめんというポーズをとって

ゆっくりと椅子に座る

その間も左目と視界だけめちゃくちゃよく見える

隣の席の顔なんてドアップすぎて分からないほどだ

前を見るとチョークの粉が黒板にたくさんくっついて見えて

どんな文字が書いてあるのかなんて分かりづらい


(なんでいきなり…?というかこの視力の感じは病院の時以上じゃないか?く…、早く元に戻れ)


仕方ないので左目を閉じて右目だけで黒板を見て文字をノートに写す

なんとか事なきを経て、授業が終わった

湊や由花に心配されつつも、もう何も起こらないでくれと願う紫吹だったが

最後の授業でその願いは裏切られる


最後の授業は体育でドッヂボールをやることになった

ドッヂボール開始直後相手チームが投げる瞬間にそれは起こった

投げる瞬間の相手を紫吹は警戒して注目する

その瞬間になぜか相手がどの辺りに向かって投げてくるのかが分かった気がして

その方向とは逆の方向に動き出す

そしてボールは予想通りの方向に飛んでいった


(今度は視力じゃなくてボールの方向が分かった?予知能力?……いや、こういうのって洞察力か?)


なんて考えながら次にボールを持った相手をよく見る

そして


(今度は…あれ?分かんねえ)


なんて考えてる間にボールが飛んできて顔面に当たって鼻血を出してしまい

湊に半分心配で半分笑われながら保健室に行った


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