エアーホッケー
「えーっと学生3人だよな」
「間違えるなよ潤。そのお金俺のなんだから」
「私達一般料金じゃないからね」
学校が終わり予定通りに紫吹、湊、由花はイーグルを見に映画館に来ていた
「にしても、イーグルが学生に人気ってのもあるかもしれないけど平日の夕方だってのに学生のお客さんの数がすごいな」
湊は周りの人数の多さに顔を左右にキョロキョロ動かしていた
そうしてる間に紫吹は3人分の券を買い発券機から券を取り出す
始まる時間まで30分くらい時間があったから
映画館の近くのゲームセンターでなにか勝負することになった
「あ、ねえ2人とも!あれなんかいいんじゃない?」
由花が指差したのはエアーホッケーだった
「それいいな。よし、潤!このホッケーで負けた方は映画終わった後のご飯代奢りな!」
いいぞと言おうとした紫吹はふと疑問に思った
「待て?別にそれでもいいが…由花の分も?」
紫吹はチラッと由花の方を見ると由花は特に何も言わずに顔をニコニコさせて紫吹と湊の方を見ていた
それを見た紫吹は瞬時に
あ、こいつ無条件で奢ってもらうつもりだ
と察した
一方の湊は由花とは紫吹ほど関わりがなく女の子というのもあり、気を使ってお前も勝負するんだぞと言い出せなかった
結果的に負けた方が勝った相手と由花に奢ることになる
「こりゃ…ぜってえ負けねえ…」
そう言って紫吹は構える
湊も紫吹と合わせるように構えをとった
「「…………」」
お互いに睨み合う
「……………」
「…………っん?」
睨み合っていたが一向に始まらない状況に気付いた紫吹は首をかしげる
「あれ?なんで始まらない?」
湊もわからずに紫吹に問いただすように言葉を発した
その様子を見ていた由花が半ば呆れながらホッケー台に指を指す
「あのさ、2人ともお金入れた?」
「「あっ」」
2人はお金を入れてないことに気づいた
「そりゃ始まらないわ。こっちにお金入れるやつあるから潤、一旦こっちにこい」
紫吹と湊は笑いながらお金を入れた
するとすぐに始まりホッケーのパックが出てきた
まだ紫吹は戻りきれていないのに湊はおもいっきりパックを弾いて紫吹のゴールに入れた
「はぁ!?おまっ…!!それはずるいぞ!?」
「あはははっ!!わりわりっ。次のパックお前が入れていいから」
そう言って次のパックを紫吹はおもいっきり弾いて湊のゴールに入れた
「よし、これでおあいこだな」
湊は得意げな顔をして言った
「お前が余計なことをしたからな」
つぎのパックが来るまでまた睨み合いが続いた
数秒後に今度はちゃんとパックが出てきてちょうど2人を挟んだ間にあるネットの下に入った
「「よっしゃぁ!!」」
2人同時に体を前のめりにしてパックを弾こうとする
反射神経は紫吹の方が上だがリーチの長さは僅かに湊の方が上だったため、動き出す速さは紫吹の方が早くても湊は腕の長さで2人同時にパックに腕が届いた
パシ!!
という音が鳴り響く
その瞬間に台から小さいパックがたくさん出てきた
このシステムを理解していなかった紫吹は驚く
「え、そういうシステム!?」
しかし湊はこのホッケーを実はやったことがあったので動揺することなく小さいパックごと大きいパックを弾く
だが紫吹は持ち前の反射神経で小さいパックは無理だったが、大きいパックは守って湊にカウンターで返し成功する
「ま、マジ?」
湊も紫吹の反射神経はいいことを知っていたけど
完全に返されて動揺した
「まー潤って運動神経いいもんねー」
横で見ていた由花は紫吹のスーパープレーにはもう慣れていたのでそこまで動揺することはなかった
「くっそ!!負けるかあ!!」
一進一退の攻防は続いて終了の笛が鳴る
紫吹と湊はお互いに息を乱していた
結果はわずかに紫吹が勝利した
「あー!くっそー!負けたー!最後の2連ゴールはヤバイって!」
紫吹は終了間際に2回連続で湊のゴールにパックを決めていた
それが勝敗をわけた
勝負に勝って紫吹は湊にドヤ顔を向ける
「よっし!じゃあ映画終わった後のご飯はお前持ちな。もちろん由花の分も」
「涼川ごめんね!よろしく!」
ごめんねと言ってるけど一切ごめんねと思ってない由花
負けた湊はガックリ肩を落とす
「わーったよ…。あー出費が痛え。それよりもう映画いいんじゃねえか?」
湊に言われて紫吹はスマホの時計を見る
時間は始まる15分前だった
「ん。まあいい時間だな。ポップコーン買って行くか」
「いいか?ポップコーンはお前だからな!?」
映画にご飯まで奢る羽目になった湊は紫吹に焦りながら念を押した