ZERO
女の人と男からの話で自分がシードフォルダーということが分かったが
イマイチどういった能力なのかは完全には分からない
女の人「さてと…まあ君が疑問に思ってることはなんとなく話せたところで、君の名前を聞いてなかったわね」
そういえばさっきから君としか呼ばれていなかった
紫吹「紫吹潤」
女の人「紫吹君ね………紫吹?」
紫吹の名前を聞いて女の人は固まる
それどころか男も固まっていた
女の人「紫吹…君?あなたの家系に、紫吹寛治という人はいるかしら?」
紫吹「ああ、俺のじいちゃんですけど」
紫吹の返答を聞いて2人は固まると同時に驚きの表情に変わっていった
紫吹にはなにがなんだか分からなかった
紫吹「あ、あのどうしたんです?じいちゃんがなにか?」
女の人「紫吹君…あなた、おじいさんのことなにも知らないの?」
紫吹「はい…」
祖父の名前を聞いて動揺をしている
なぜここまで動揺してるのかが分からない
女の人「あなたのおじいさんは…英雄よ。私達の世界でおじいさんのことを知らない者はいないと思うわ」
英雄と聞いて信じられなかった
そもそも私達の世界と言われても、まだシードのことしか聞いてないしイマイチ理解がおいつかい
男「これはボスに報告案件だな」
女の人「そうね、お願い」
男はすぐに部屋から出ていった
女の人は紫吹の方へ向き直す
女の人「君には色々話す必要があるみたいね。……その前に湊君を起こしましょう」
女の人はドアを開けて隣の部屋に入っていく
紫吹も後ろについて行き部屋に入る
部屋に入ると壁際にあるベッドに湊が寝ていた
女の人は妙な機械を取り出し
湊の頭につけていく
紫吹「いや、何してるんです!?」
紫吹は慌てて女の人の腕を掴んだ
女の人「大丈夫よ。この機械で電波を頭に流して強制的に目覚めさせるの」
そう言って紫吹の手をそっとどかして機械を起動させた
ピーっと音が鳴った瞬間
湊「はっ!!」
湊が飛び起きた
何が起こったか分からないという様子で辺りを見回す
そしてすぐに紫吹のことに気づいた
湊「潤!!お前無事だったか!よかった!!………でその綺麗な人は?」
湊と目が合い女の人はニコッと笑う
女の人「湊君こんにちは。あなたが起きてから潤君と一緒に私のことを話そうと思ってたの。隣の部屋に来てくれる?」
湊は紫吹の方を見る
紫吹は湊を見て無言で頷くと湊はゆっくりとベッドを降り隣の部屋に移動した
隣の部屋について座るやいなや女の人は話し始める
女の人「さてと……潤君にはちょっと話だけど私の自己紹介がまだだったわね。私は近藤睦美。よろしくね」
「「よろしくお願いします」」
睦美のお辞儀に2人ともお辞儀で返す
睦美「ここがどこだかまだ潤君にも詳しくは言ってなかったわね。ここは私達の属する組織のアジトよ。組織の名はZERO」
湊「ZERO…」
湊はボソッと呟く
睦美「そう。ZEROは日本政府直属の暗殺組織なの」
紫吹「暗殺組織!?」
湊「そんなアニメや映画みたいな組織本当にあんのかよ…」
暗殺組織という正体に紫吹と湊は動揺を隠せないでいた
睦美「あるのよ。正確に言えば…政府直属と言っても、ZEROの存在を知ってるのは政府でも上層部にいる人達ね」
いきなり知らされる事実の大きさに紫吹と湊の思考は停止しかけていた
睦美「ZEROに所属している者で暗殺者たちのことはエージェントと呼ばれているの。そして、これは潤君にはもう話したんだけど、その暗殺者達はほぼ全員シードという能力を持っているわ」
湊「……シード?」
湊は睦美を見た後に紫吹も方を見る
睦美は紫吹に話したことを湊にも話した
自分たちを連れてきた男のこと、睦美自身のこと、紫吹もシードフォルダーということも
睦美「どう?シードフォルダーのこと少しは分かった?湊君」
湊は聞きながら俯いていたが
睦美の問いかけに反応して上げた顔はキラキラとしていた
湊「す、すげえ…。現実にそんな超能力者みたいな人達がいるのかよ。しかも潤もシードフォルダー!?学校でちょいちょい変だったのはそれが関係してたのか!!」
紫吹「ま、まあな」
シードの話を聞いて恐るどころか目を輝かせるなんで男の子ね
なんて睦美は湊を見ながら思った
睦美「それでね、潤君にもZEROに所属してほしいと思ってるの。シードフォルダーだし、それに…おじいさんのことでね」
紫吹は睦美の話を聞いて黙る
一方、湊は睦美の話と紫吹の様子を見て切り出す
湊「あの、潤だけじゃなくて俺も入れないんですか?シードフォルダーじゃなくてノンシード?ってやつですけど」
睦美「ノンシードフォルダーが入れないというわけではないわ。エージェントにも数名、組織のサポーターとしても数名いる。もちろんみんなシードは持ってないとはいえ、相当のやり手よ。はっきり言ってこの世界は危険なの。暗殺者である自分達が命を落とす危険性がある。子供だから危険ではあるけど潤君はシードフォルダー。けど君はノンシードフォルダーだから」
それを聞いて湊は少し疑問に思った
湊「だったらなんで俺にZEROのことを言ったんですか?」
睦美「潤君の友達だし、友達が一緒の方が安心もするでしょ?それに話が終わったら…湊君の記憶を消す予定だから」
記憶を消すという言葉を聞いて
紫吹と湊は驚いて睦美を見る
睦美は関係なく淡々と話す
睦美「当然でしょ?ノンシードフォルダーの子供にZEROのことを話すメリットはそもそもないわ。安心してもらうというメリットを考えて同席させてるだけ。記憶を消せばZEROに関わったという痕跡は消せるからね」
湊は睦美の話を聞いて黙り込んだ
睦美の言い分は分かる
シードフォルダーの紫吹にならともかく自分に話すメリットは何一つない
睦美「……どうしても入りたいのならノンシードフォルダーのみに行われる所属試験というものがあるわ。それに合格したら正式にZEROに所属ができるの。不合格ならその場で記憶を消させてもらうわ」
試験の話を聞いて湊はすぐに食いつく
湊「受けます!受けさせてください!潤と一緒に俺もZEROに入りたいです!」
紫吹は俺はまだ入ると言ってないけどと思っていたけど
自分のシードをなにか役に立てる活用をしたいと思っていたので湊の試験を見守ることにした




