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オッドアイのエージェント  作者: 水無月優
10/14

謎の2人

「あんたここまでやる必要あった?足を切りつけちゃって。治したけどさ」


「…………」


意識が戻るに連れて知らない声が聞こえてくる


「それにもう1人の子なんてノンシードフォルダーじゃない!」


「記憶を消すために連れてきた」


「あーはいはい。ってこの子意識が戻ってきてるわよ?」


「…………っ」


目の前が鮮明になっていく

すると綺麗な女の人と目が合った


「あ、気づいた?」


「…………はい」


ゆっくり起き上がろうとすると

体に変な装置がたくさんつけられていた


「あ、ごめんね。外すね」


女の人に装置を外されていく

その途中辺りを見回すとあの男がいた


「あ!アンタは!」


「気づいたか」


斬られたのと殴られたことに腹が立ってきて

男に殴りかかるが

片手で簡単に受け止められてしまった


「俺を殴るのは自分のことを知ってからにしろ」


男は紫吹の拳を離した


「自分のこと?なにをだよ?」


「自分のシードのことよ」


紫吹の後ろからさっきの女の人が話し始める

いつのまにか白衣に着替えていた


「シードって?」


紫吹の質問に女の人は種を取り出した


「シード、日本語訳で種っていうのは知ってるよね?」


女の人の問いかけに頷く


「私達の世界では普通の人間にはない…異能力というべきかしら。その異能力のことをシードというの、そしてその異能力を持って使える者のことをシードフォルダーと呼ばれてるのよ」


女の人の説明に紫吹はぽかんとしていた

女の人もこれは上手く理解していないと思いナイフを手に取る


「これ見ててね?」


そう言って女の人はナイフで自分の腕を切りつけた


「は!?なにをやってるんですか!?」


自分の腕を切りつけ血を出してる状態に紫吹はうろたえる

その様子に落ち着いてというジェスチャーで女の人は手を出した

ナイフを置いて血が出ている部分に手をかざす

すると緑色のオーラみたいなのが浮かび、傷は綺麗に治っていた


「な………?治ってる?あんな一瞬で?」


「触っていいよ」


切れたはずの腕を触ると

そこにはなんもキズ1つしてなかったような綺麗な腕だった


「これが私のシード、治癒能力よ。君の斬られた足も私の治癒能力で治したの」


「あ、そういえば!俺の足…」


紫吹が自分の足を撫でてるのを見ながら女の人は話を進める


「私の治癒能力もシードの一種。君の足を切りつけた男もシードフォルダーで種類は透明化。自分を透明にして見えなくさせることが出来る」


シードの話を聞き紫吹はハッとして自分の左目を抑える


「そう、君の左目もシード一種よ。彼からは幻覚を見破る能力ではないかと聞いてるんだけど…そうなの?」


質問されても正直困った

自分の左目のことが分からなさすぎる


「いや、それが…俺にも分からなくて。確かに透明化したあの男のことは見えたんですけど、その他にも格段に視力が上がったりすることもあったんです」


「なるほどね。君はハイブリッドシードなのね」


またわけのわからない言葉が出てきた


「なんです?ハイブリッドシードって」


「簡単に言えば2つの能力が備わってるって言ったらいいかしらね。私は回復させるだけだから普通のシード」


女の人は言った後に紫吹の後ろにいる男に視線を送る


「俺も透明化の普通のシードだ。俺の場合は応用が利くがな」


「応用が利くってなんだよ」


このガキ俺にはタメ口かと思いながら男は紫吹の寝ていたベッドに手を置く

すると手を置いたところからどんどん右目の視界からベッドが消えていく


「す、すげえ…」


紫吹は素直に感心した


「使い方によっては応用が利くシードはたくさんあるわ。それでハイブリッドシードは2つの能力を持っていること。私の友達は火と水を操れるシードを持っているの」


「随分対極なシードなんですね」


「まあね」


ふふっと女の人は笑う


「まあ、それを例にすると…君のは左目の視力が格段に上がったり、なにかを見破る能力の2つのがあるということかしらね?」


「見破る…なんですかね」


あまり紫吹は納得がいかなかったが

自分でも能力の全容が分かっていない


「ところで君の瞳は能力を使うときは色が変化するのかな?さっき透明化したベッドを見た時に薄かった青色が少しだけ濃くなってたわよ」


「そういえば…」


初めて目の異変に気付いた病院で

医者が自分の目が青くなってないかと言っていたことを思い出す


「けど今はその時ほど青は濃くないのよね。薄い青」


「薄い青ですか…。けど学校の友達は俺の目を見て青だねとか言ってこなくてむしろ色のことより目が治ってることに驚かれたんですけど」


紫吹の言い分に女の人は顎に手を当てて考えこむ

すると後ろにいる男が口を開く


「能力が完全に目覚めきってないか、コントロールが出来てないんじゃないか?仮に能力を使う時に変化するというのなら今はオッドアイじゃなく元目の色になっててもいいはずだ」


男に言われて部屋にある鏡を見る

確かに薄っすら青くなっている

最後に見たのは湊と出掛ける前に鏡を見た

その時は普通の瞳の色だった

そこでハッとする


「湊は!?湊はどこに!?」


「気付くの遅くない?」


女の人は苦笑いをしてドアを指差した


「その…湊君?なら隣の部屋のベッドで寝てるわ。無傷よ」


「そう…ですか」


湊の状態を聞いて紫吹は安心した


「薄く青色だろ」


横から男が横槍を入れた


「お前の今の反応を見る限りじゃ自分の目が青くなってるのに今気づいたようだな。…となるとまだコントロールが出来てない、もしくは能力が目覚め始めたかと言ったところか」


自分の能力

あの白い空間で祖父の言っていたことがどんどんと紐解かれていく気がした




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