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 小山駅西口で待ち合わせた。駅を出ると、秋晴れのほかほかと気持ちいい暖かな空気が、僕の身を包んだ。僕は久々の栃木の田舎の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。


 駅の前で僕が緊張して待っていると、ロータリーの向こう側から、けたたましい笑い声と共に滝川先輩が現れた。


 彼女はギャル系ファッションに身を包み、髪の毛を金に近い明るい茶色に染め、ハイヒールをカツカツ鳴らしながらロータリーを渡ってきた。全盛期の浜崎あゆみがしていたようなサングラスをかけていた。笑いながらこちらに向かっておおげさに手を振り、僕の前へ来ると、


「ウケる。誠也だ。待った?」


と言った。


 僕は滝川先輩の変わりように少しとまどったが、それでもともかく彼女に会えた感動で頭がぼうっとした。ひどく緊張したまま、大丈夫です、待っていません、と答えた。


 彼女は既に昼ごはんを食べてきたと言う。電車に乗っている間、僕は小山駅周辺のランチのおいしい店をいろいろ調べてきたのだが、その目論見は水の泡になった。とりあえず、昼を食べていない僕がごはんもできる喫茶店に行こうという話になったが、僕は土地勘が無くて店が分からない。僕がまごまごしていると、滝川先輩が、


「この辺、いい喫茶店ないんだよね。じゃあ、私の知ってる店に行こう。ごめんね、私、車に乗ってくれば良かったね」


と言いながら歩きだし、タクシー乗り場に停まっていたタクシーに乗り込んだ。


 タクシーで、駅からよほど離れた田園の中のこじゃれたカフェまで行った。タクシー代を出そうとすると、素早く滝川先輩が払ってしまって、僕に出させる間をくれない。見た目は変わっても、キビキビと気遣いができるところは昔のままだった。


 二階の席に通された。店の西側の壁一面がガラス張りになっていて、刈り入れ前の黄色い稲穂が揺れる田んぼが見渡せた。僕たちは窓際の席に向かい合わせに座った。彼女は紅茶を、僕はサンドイッチとコーヒーのセットを頼んだ。


 飲み物を待つ間、滝川先輩は自然とサングラスを外した。サングラスを取ると、その目元はマスカラとアイシャドウでキツめにメイクされていたが、その奥に中学生の頃から変わらない茶色いつぶらな瞳が光っていた。色白の、整った小顔。ファッションやメイクがキツくなっても、それも昔とは変わらない。


 飲み食いをしながら、僕たちはお互いの近況を話し合った。僕は、今は六本木のIT企業で営業をしています、と話した。「六本木」と「IT」というところがやや強めの語調になった。滝川先輩は高校を卒業してイベント企画会社に入り、そこで二年ほど勤めたが、イベントを開催する全国津々浦々を延々と回るのにうんざりして辞め、それからキャバクラに入ったらしい。今働いているクラブは三店舗目で、(彼女は自分では言わなかったが)恐らく成績も良くキャリアもあるからだろう、一スタッフというよりかは他の女の子達の面接や指導をしたりと、マネージャーに近い仕事をしているということだった。


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