始まりという名の悪夢
その日、僕はトイレにこもっていた。
なぜかというと、スライムさんが一年前のシュークリームを出し、それを僕が食べてしまったからだ。
最初は「こんな腐った腸から出る屁のような臭いのシュークリームがあるのかぁ」と感心していたが、しかしそれが間違いだった。
あのときなぜ、僕は腐ってるとわからなかったのだろうか。
無論、不老不死だからである。
不老不死なために食べ物を食べなくていいし、さらに僕は臭覚がてんでダメなので、思わず「腐った腸から出た屁味」だと勘違いしてしまい、今に至ってしまった。なんともまあドジな話だ。
というわけで、僕はトイレいる。
お腹は痛いのだけれど、ベンは出てくれない。これを三日続けているともなると、いささか大丈夫なのかと不安になりもしたりする。
というわけで、トイレから出るとする。
いっそのこと出さなければいいのだ。
出すって何を?
それはもう、ベンさ。
あは、あははは。
あはははははははははは。
「いかん! 壊れてはいかんぞ太郎!」
そう己に言い聞かせ、僕はトイレの自爆ボタンを押した。
するとどうだろう、トイレの下部は火炎を吹き、天井は機械的に開いたではないか。
高温になるにつれて高音になっていき、途端、僕はトイレごと空へフライアウェイした。
「――ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああァァァァァァァァ!!!!」
歯ぐきは風で丸見えになり、下半身もそりゃあ丸見えだし、トイレも水がばっしゃばっしゃなる。
そうして僕は、スライムさんの家に突っ込んだ。
「なんだぁぁぁぁ!? っと、太郎くんやないかい。どうしたん? う〇こでもしとったのん?」
「はい、その通りです……」
スライムさんは大いにスライムの顔を揺らして笑う。
「というか、スライムさんのせいですからね」
「すまんすまん、まさか腐ってるとは思わなかったのだ。ほら、代わりにといってはなんだが、カレーライスをくれてやる」
そうしてスライムさんは僕の顔面にカレーライスを投げてきた。
「ごはぁッッッ」
「どうだうまいだろう?」
「うまいです……」
「実はそれを食ったらな、ムニョルンポメロン島に行けるらしいんだお」
なんですかそれ、と僕は問う。
「う〇こでできた島だ」クソ野郎はキリッ、という風に言った。
なんだ――思考が――途切れて――、
*
というような夢を見た。
*
というような夢を見た。
*
というような夢を見た。
「なんという夢だ……といっても現実と変わらないかぁ……」
その瞬間、僕の家が爆破された。