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71、念願のマイホーム

 朝のまぶしい日差しが、窓から差し込んでくる。

 そのまぶしさに目を覚まし、俺の一日が始まる。


 俺の名は天崎あまさき 陸斗りくと

 尻好きの神様によってこのゲームの世界に連れてこられた、異世界人だ。


 俺は顔を洗い身支度を整え、宿屋で用意された朝食を食べる。


 今日はパンとスープだ。パンにはイノシカチョウの肉がはさんである。


 朝食を食べ終えると、俺はマイルームを使って、イノシカチョウの生息地へと移動する。


 イノシカチョウを数匹倒し、ドロップ品であるイノシカチョウのレア肉をゲットする。

 いくつかはマイルームの冷凍庫や冷蔵庫に保管し、残りをギルドへ納品する。


 そういえば、俺達は姫様達の護衛依頼をクリアした事によって、ついにBランクになるみたいだった。

 正式な手続きは明日、エリシリアが揃ってからだ。


 俺はラブ姉の幸せの塊が今日も元気にゆれている事を確認して、朝の日課を終了する。



 普段はここからマイルームの重力室で修行をするのだが……今日は別だ。


 ついに、ついに俺の、念願のマイホームが今日、引渡しされるのだ!


 しかもなんと、お姫様達の護衛依頼が好評だった事やオーガ軍団との戦いの功績も考慮され、タダで家をもらえる事になったのだ!


 タダ。無料。なんて素晴らしい言葉だ!


 俺とユミーリアとコルットはワクワクしながら宿屋の食堂で、城から帰ってくるエリシリアを待っていた。



「いやだあああ! コルットおおお! 行かないでくれえええ!」


 泣いてわめいているのはコルットの親父さんだ。

 これでも俺の師匠なのだが……


 コルットが俺のマイホームに住みたいと言い出したので、泣いてわめいている。


「親父さん、俺の家と言っても、同じ宿場地区にあるんだからすぐそばじゃないか」


 そう、俺のマイホームは宿場地区にある空き家なのだ。


 この宿屋から徒歩5分もかからない。


「バッカヤロウ! 距離の問題じゃねえんだよ!」


 親父さんがこちらにつっかかってくる。


「そりゃあよ、おめえ以上にコルットを任せられる男はいねえよ。でもよ! コルットはまだ小さいんだ、まだ俺から取らないでくれよおおお!」


 なんだかかわいそうになってきた。

 これでも俺の師匠なんだけどな。

 修行中はとっても頼りになるんだけどな。戦いになるとカッコイイんだけどな。


 今の師匠はただの駄目親父だった。


「はぁ、ごめんなさいねリクトさん。でも、私もちょっと同じ気持ちよ。まだコルットには早いんじゃないかしら?」


 コルットのお母さんもちょっと反対みたいだ。


「俺としては、宿屋も近いんだし、パーティとして集まる分には問題ないから、どっちでもいいんだけど」


 正直親父さんやお母さんの気持ちも分かる。まだコルットは小さいもんな。

 俺はチラッとコルットを見る。


「や!」


 コルットが嫌がっていた。俺のコートのすそを掴んではなさない。


「困ったわねえ」

「コルットおおお!」


 そんな親父さんとお母さんのやり取りを見て、俺とユミーリアは顔を見合わせて苦笑した。



 その時、バンッと音を立てて、宿屋の扉が開かれた。


「待たせたなリクト! もろもろの手続きが終わったぞ! これであの空き家はお前のモノだ!」


 エリシリアだった。


 俺とユミーリアは思わず立ち上がる。


「ついにか! ありがとうエリシリア!」

「ああ、早速案内しよう、ついてきてくれ」


 俺とユミーリアはエリシリアについていく。コルットも一緒だ。


 そしてなんと、コルットの親父さんとお母さんもついてきた。

 宿屋はいいのか宿屋は。



 ヤードヤの宿から少し歩くと、2階建ての大きな家があった。


「すごーい、おっきい!」


 コルットが感動していた。

 さすがに宿屋の大きさには敵わないが、確かにかなり大きい。


 だが、問題はそれ以外にあった。


「なあ、エリシリア」

「なんだ?」


 俺はその問題を、指摘したら負けだと思っていても、指摘せざるを得なかった。



「なんでこの家、ピンク色なんだ?」



 そう、この家、なぜか外観がまっピンクだった。


「お前のイメージカラーだろう? 急いで塗らせたんだ、なかなか大変だったぞ」


 ハッハッハ、こやつめ。やりおるわ。


「エリシリア、減点な」

「な、なぜだ!? どこからどう見てもリクトの家だとわかるぞ!?」


 別にわかりやすさは求めてないんだよ! なんだよこれ! おとぎの国か!?


 俺は頭を抱えた。


 ふと見ると、エリシリアが涙目になっていた。

 さすがに言い過ぎたかもしれない。


「……あー、その、なんだ。俺も男だからな、あんまりファンシーなのはどうかと思ったわけであって、エリシリアの気遣いが嫌だったとかそういうわけじゃなくてだな」


 俺の言葉を聞いて、エリシリアの顔が輝いた。


「では! 私の事を嫌いになったわけではないのだな!?」


 そんなわけない。

 俺がエリシリアの事を嫌いになるわけがない。

 サンダーの紋章5をプレイしてから何年、エリシリアの事を嫁だと思っていた事か。


「まあ、よく見てみれば案外、こう、魅力的……かな、ハハハ」


 だけど、どう贔屓目に見ても、このピンクハウスな外観は無い。酷いもんだった。


「とりあえず、中を見てみるか。まさか中もまっピンクなんて事は……」


 俺はエリシリアを見た。

 するとエリシリアが目をそらした。ああ、マジか。中もピンクなのか。


 俺は念願のマイホームがピンク一色になってしまった事に絶望しながら、家のドアをあけた。


 すると、俺の尻が激しく光り始めた。


「な、なんだ!?」

「え?」


 なぜここで光る?

 どこに尻が光る必要があった?


 そんな風に思っていると、俺の目の前にメッセージが現れた。


《マイルームがマイホームに進化しました》


 ……え?


「り、リクト、どうしたんだ? 何があった? なぜ尻が光った?」


 エリシリアが混乱していた。


 ユミーリアやコルットも驚いていた。

 コルットの親父さんとお母さんは何がなんだかわからず、目を丸くしている。


「いや、どうやら俺のマイルームが進化したみたいなんだ」

「マイルームが?」


 どうもエリシリア達にはこの文字が見えていないみたいだ。


「とにかく、中に入ってみよう」


 俺は家のドアをあけて、中に入る。


 するとそこには……


「マイルームじゃん」


 なんと、扉を開けた先は、マイルームだった。


「マイルームだね」

「マイルームだー!」

「マイルームだな」

「マイルームでござるな」


 ユミーリア、コルット、エリシリアが中に入って驚いている。

 ランラン丸もいつの間にか人の姿になっていた。


「おいおい、なんだこりゃ?」

「見た事ないものがたくさんあるわね。あら? あなたは誰?」

「おっと失礼。拙者、ランラン丸でござる」


 コルットの親父さんとお母さんが中に入ってきた。

 ランラン丸が二人に自己紹介をしている。


 あれ? マイルームって、パーティメンバーじゃないと中に入れなんじゃなかったっけ?


 すると、俺の疑問に答える様に文字が出てきた。


《宿場地区の家の入り口から入る際、パーティメンバー以外でも中に入る事が可能になりました。他の場所で扉を出した場合はこれまで通り、パーティメンバーのみ入室可能です》


 なんと、俺の家の入り口からなら誰でも入れるのか。


 つまりだ、あのピンク色の外観の家の中身が、そっくりそのままマイルームになったって事か。


「ドア以外から入った場合はどうなるんだ? 例えば、窓から侵入された時とか」


 俺は誰に言うでもなく、つぶいやいた。するとそれに答える様に文字が現れる。


《侵入者の飛ばし先を指定して下さい》


 マップが現れた。


 えっと、これは侵入者が入った場合、どこかに飛ばすって事か?


 俺は少し考えて、中央の広場の噴水を選んだ。


「リクト、何をしたの?」

「いや、もし家に侵入者が入ってきた時、どこかに飛ばす様に設定が出来るみたいだったからさ、中央広場の噴水を選んだんだ」


 俺がユミーリアの疑問に答えると、エリシリアが会話に入ってきた。


「なぜ噴水なんだ? 侵入者をどこかに飛ばせるのなら、それこそドラゴンの巣にでも飛ばしてしまえばいいだろう」


 結構物騒な事を言っていた。


「あのな、もし小さい子供がいたずらで忍び込んだらどうする? 大人だろうが子供だろうが、バツとして噴水でびしょ濡れになるくらいでいいと思ったんだよ」

「なるほど、そこまで考えていたか。さすがはリクトだ」


 エリシリアが感心していた。俺はお前のその物騒な考えに驚いたよ。



 マイルーム改めマイホームを色々見ていると、他にも色々と設定が出来るみたいだった。


 中でも好評だったのは、2階にある各個人の部屋についてだ。


 2階にはそれぞれ、俺、ランラン丸、ユミーリア、コルット、エリシリアの部屋が個別に用意されていた。


 その部屋から出る際、各部屋1箇所ずつ、出口を自由に設定できるという事がわかった。


 ユミーリアとランラン丸は現状、特に変更無し。

 エリシリアは城の前に設定を変更した。有事の際、すぐに城に行けるようにという事だった。


 部屋を出る時、ボタンひとつでマイホームの2階廊下に出るか、指定した出口に出るかを選べる様になっていた。


 好評だったのはコルットの部屋だ。

 コルットの部屋から出る時、宿屋のコルットの部屋に出られるように設定した。

 さらにコルットの親父さんとお母さんは、コルットの部屋に限り、自由に出入り出来る様に設定できた。


 これでコルットは実家である宿屋で暮らしているのとそう変わらなくなった。


「ありがとうよリクト! やっぱりおめえは最高だ!」


 親父さんが親指を立てていた。


 まあ、俺としても親子を引き裂くなんて事にならなくて良かった。



「しかしここまでくると、色々と物が欲しくなるな」


 現状、各部屋にはベッドと机と椅子がひとつずつあるだけだった。

 それ以外は何も無い、シンプルな部屋だった。


 これから自分の部屋になると考えると、ちょっとさびしい。


「よし、早速コルットの部屋の物を運んでやろう」

「わーい、ありがとうおとーさん!」


 コルットの親父さんが張り切っていた。


「私も、宿屋にある物をこっちに移そっと」

「私もだな、城に置いてあった物も持ってこよう」


 ユミーリアとエリシリアも楽しそうだった。


 俺はというと。


「……あれ? そういえば俺って、こっちに来てから私物ってほとんど無くね?」


 これまでずっと冒険ばかりしていたせいか、私物がほとんどが無かった。

 ちょっと悲しくなった。


「き、気にしないで良いでござるよリクト殿! 拙者も何も無いでござるから!」

「刀と比べられてもな」


 外では刀であるランラン丸が、私物を買えるはずもなく、そんなランラン丸と比べられる俺って……


「買い物に行こう。そうだ! 買い物で私物を増やすんだ!」


 俺はそう決意した。


 こうして、みんなそれぞれ出かける事になった。



 俺がマイホームを出ようとした時、メッセージが現れた。


《マイホームの正面出口から出る際、マスター以外は出口の指定は出来ません。自由に場所を指定して出入り出来るのはマスターのみとなります。ご注意ください。また、地下にはパーティメンバー以外は入れません》



「おい、なんだこれは? 空中に文字が出てきたぞ?」


 今度のメッセージはみんなにも見えるみたいだった。

 みんな目を丸くして驚いている。


「えっと、私達が出入りする時は、宿場地区にあるリクトの家の出入り口しか、出入り出来ないって事?」

「その様だな」


 ユミーリアとエリシリアは素早く理解していた。


 結局はこれまでのマイルームとして使えるのは俺だけって事か。

 あとは普通の家と変わらないって事だな。まあ、中身が普通じゃないけど。



 その時、突然ピンポーンと音が鳴った。


「な、なんだ!?」

「何? 今の音!?」


 ユミーリアとエリシリアが武器を出して構える。

 コルットと親父さんも戦闘態勢に入っていた。


 俺はというと……チャイム? なんでチャイム? と思っていた。


 出入り口の扉を見ると、そこに四角い窓が現れて、外の様子が映し出された。

 テレビインターホンかよ!?


 映像を見ると、そこには男勇者達が居た。


「おーい! リクトー!」

「出てこーい尻魔道士ー!」


 男勇者と魔法使いが叫んでいた。


 俺は思わずドアをあける。

 するとそこには、本当に男勇者達が居た。


「あ、出てきた」

「やあリクト! 家を買ったんだって? すごいじゃないか! 早速遊びに来たよ!」


 はしゃぐ男勇者と魔法使いの後ろで、戦士と僧侶がペコッとおじぎしていた。


「なあ、遊びに来たのはいいんだが、さっきの音はどうやって鳴らしたんだ?」


 俺は先ほど鳴ったインターホンが気になっていた。


「音ってこれの事?」


 魔法使いが家のドアの横の壁についているボタンを押した。

 すると中でピンポーンと音が鳴る。


 いつの間にか壁にボタンが出来ていた。

 しかもご丁寧に、ご用の方はボタンを押してくださいと書いてある。


「それにしても、悪趣味なボタンね」


 魔法使いが笑っていた。


 よく見るとそのボタンは……お尻の形をしていた。最低なデザインだった。



 立ち話もなんだったので、俺は男勇者達を中に招き入れた。


「って何よこれ? 中はマイルームじゃない!?」


 魔法使いが中に入って驚いていた。


「どうやらこの家とマイルームが合体して、マイホームになったらしい」

「相変わらずデタラメね、あなた」


 俺もさすがにこの進化にはちょっと驚いていた。


 俺は男勇者達に、これから買い物に行く事を伝えた。


「そっか、タイミングが悪かったね」

「こっちこそ悪かったな。というか、どこで俺が家を持ったって知ったんだ?」


 男勇者達は俺が家を持った事を知っていて来たみたいだった。

 ならばどこでその情報を手に入れたのか、気になった。


「ヒゲゴロウさんが教えてくれたんだ」

「またヒゲのおっさんかよ! ていうかなんでヒゲのおっさんは知ってるんだよ!?」


 俺の疑問には、エリシリアが答えてくれた。


「すまないリクト、私が自慢した」

「言っちゃったじゃなくて自慢しちゃったのかよ!?」


 エリシリアが珍しくシュンとなっていた。


「す、すまない。誰かに自慢したくて、そうしたら偶然、道ですれ違ったヒゲゴロウ殿が、最近どうだって聞いてきたから、つい……」


 言いながら、どんどん小さくなっていくエリシリアが可愛かった。


「まあ、俺も内緒にしてくれとか言ってなかったから、いいんだけどさ。ああもう! そんなに気にするなって!」


 これ以上小さくなられたら、可愛すぎて抱きしめたくなってしまう。


「怒ってないか?」

「怒ってないよ」


 俺の言葉を聞いて、エリシリアがホッとしていた。


「それより買い物だっけ? リクトは何を買うつもりなんだい?」


 空気を読まない男勇者が話しかけてきた。


「そうだな、特に決めてないから、色々見てまわろうとは思ってる」


 特に現状、これといって欲しいものはないんだよな。

 それでも今の俺は、何か私物が欲しかった。


「色々と忙しそうね。それじゃあ私達は今日はこの辺で帰るから、落ち着いたら、持ち家ゲット記念パーティでも開いて呼んで頂戴」


 椅子に座っていた魔法使いが立ち上がり、僧侶と戦士もそれについて行く。


「もちろんその時のメインディッシュは、イノシカチョウのレア肉を、お願いね」


 魔法使いがウインクして、男勇者と共に帰っていった。


 記念パーティか。そういうのもアリだな。

 まあ魔法使いはイノシカチョウのレア肉が食べたいだけだろうけどさ。


「それじゃあ、俺達もそれぞれ動き始めるか。コルットは親父さんと一緒に荷物の移動。エリシリアは城から荷物を移動。ユミーリアも、コルットと一緒に荷物の移動か?」


 俺の言葉に、みんながうなずく。


「すると買い物は俺とランラン丸だけか。まあ、たまにはいいか」

「でござるな。たまにはのんびり買い物というのもオツでござる」


 俺はひとり、マイホームを出た。


 するとまた文字が現れる。


《マイホームの扉をあけられるのはパーティメンバーのみとなります。ご注意下さい》


 カギいらずか。セキュリティも万全だった。


 俺は改めて自分の家を見る。



 ……すっげえピンク。



 それ以上の感想が出てこなかった。あまりにもインパクトが強すぎる。


 俺はちょっと残念な気持ちで、街に出た。



 そして気づいた。


 お金が無い。


「は? なんで一文無しなんでござるリクト殿?」

「あれだ、死にまくって金がなくなったんだ」


 俺は死んで生き返ると所持金が半分になる。

 パーティ資金として預けてある金は減らないので、ほとんどそっちに預けてあるんだった。


 パーティ資金を引き落とすか? いや、私物を買うのにパーティ資金に手をつけるのは気が引ける。


「つまり、お金も無いのに買い物しようとしてたでござるか?」


 ランラン丸があきれていた。


 結局俺は、しばらくブラブラして時間を潰す事にした。



 中央広場の噴水の近くを通った時、突然バシャーンと大きな水音が鳴った。


 見ると噴水の中に、びしょ濡れになった全身黒ずくめの男が居た。


 オイオイ、早速侵入されてるよ我が家。


 黒ずくめの男はすぐさま去っていった。


「追わなくていいのでござるか? アレ、ウチに侵入してああなったのでござるよね?」

「うーん、そうだと思うんだけど、どうなんだろう?」


 考えているとすぐに姿が見えなくなった。


 まあいいか。

 俺は忘れる事にした。



 家に帰ると、エリシリアが神妙な顔つきで待っていた。


「ああリクト、お帰り」



 お帰り。


 なんて良い響きだ。


 これはまさに我が家だからこそ聞ける言葉だ。


 お帰りなんて言われたの、何年ぶりだろう?


 ずっと賃貸で一人暮らしだった俺には、このシチュエーション、この言葉はクリティカルヒットだった。


「ど、どうした?」


 いや、なんでもない。


 俺は素早く目の端の涙をぬぐった。


「それよりどうした? なんだか神妙な顔をしていたみたいだけど」


 俺の言葉に、エリシリアが視線を落とした。


「ああ、ちょっと城で頼まれた事があってな。私にではなく、私達パーティに依頼、という話だった」


 おいおい、もう姫様のお守りはコリゴリなんだけど。


「また姫様のお守りか?」

「いや、そうじゃない」


 どうやら、今回はそういう依頼ではなかったみたいだ。


「それじゃあ、どんな依頼なんだ?」


 エリシリアはあきらかにこの依頼に乗り気では無い様に見えた。

 するといったい、どういう依頼なんだろう?


「北にある国、ウミキタ王国は知っているか?」


 確か、この間の会議で聞いた気がする。クエストオブファンタジーではなかった国だな。


「そこに国の大使として行ってほしいと、王様から直々に依頼があったのだ」


 王様から直々にって、絶対断れないやつじゃん。


「行くだけならまだいいのだが」


 エリシリアが続きを語る。



「そこでリクト、お前の尻の光を、見せつけてきてほしいと言われたんだ」




 なぜだろう。

 なぜかその時、俺の脳裏にはヒゲのおっさんの姿が浮かんだのだった。



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