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神の尻を持つ俺がゲームの世界で最高のエンディングを目指す!  作者: きゅんZ
第四章 ロイヤルナイツとミステリー
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66、試練の洞窟殺人事件

 今回のクエスト……よく似た三姉妹、王族、洞窟という閉鎖的な空間。

 これで殺人事件が起きたら完全にミステリーアドベンチャーゲームだな。ハハハ。


 なんて思っていたら、本当に殺人事件が起きたよ。



「なあ、神様。俺は、殺されたんだよな?」


 俺は死んで、いつもの真っ白な空間に居た。


 そこで、男勇者の姿をした神様に話しかける。


「そうですね、今回は気づいているかもしれませんが、いつもと毛色が違います。どうしたら死ぬのか、どうしたら死なずに済むのか、どうしたらクリア出来るのか。頑張って考えながらクリアを目指して下さい」


 そう言いながらも、神様は俺の尻を撫でてくる。


「しかし、よくもまあずっと俺の尻を撫でて、飽きないもんだな。」

「あなた方男性は、女性の胸を揉む事に飽きますか? そういう事です」


 どういう事だよ。

 飽きるも何も、事故以外で揉んだ事ねえよ。


 そういえば、最初にユミーリアと出会った時……やわらかかったなあ、アレ。



「ふう。さて、それでは素晴らしき尻魔道士よ、そなたに もう一度、機会を与えよう!」


 俺の目の前が光り輝き、真っ白になった。




 俺は宿屋のベッドで目を覚ます。


《成人の儀式の日 AM07:00 ヤードヤの宿》


 なんかカタカタキーボードを叩く様な音が鳴ったと思ったら、目の前に文字が出てきた。


 おいおい、なんだか本格的にミステリーっぽくなってきてないか?


「……ランラン丸、お前、この文字見えるか?」

「ん? 文字? 何の事でござる?」


 ランラン丸には見えていない様だった。俺だけに見える文字か。


 まあ、見る限り、特に意味は無いんだろうな。



 さて、それよりも、今回俺が死んだ要因だ。


 姫様から出されたお茶を飲んだら意識が遠のいた。

 

 うん、間違いなく毒殺だろうな。


 そしてあの時、聞こえた声と光景。


 黄色の姫様が倒れて、誰かが黄色の姫様の名前を叫んでいた。


 きっと、黄色の姫様も俺と同じ様に殺されたのだろう。


 いや、あの後お茶を飲んだ人間は全員死んだのかもしれない。


 しかし、なぜ殺されなければならないんだ?

 いったい、誰が何の為に?



 考えていると、コルットの親父さんに呼ばれた。


 そういえばこの日の朝は、ラブ姉に呼ばれてギルドに行って、姫様達の護衛依頼を受けるんだっけ。



 俺は身支度をして、ラブ姉と合流し、みんなでギルドに向かった。



《同日 AM08:05 冒険者ギルド 2階 個室》


 またカタカタと音が鳴って、文字が現れる。


 やはり俺以外には見えていないらしい。


 俺達は依頼を受け、城に向かう。



 その道中、俺はエリシリアに気になる事を聞いてみる事にした。


「なあエリシリア、お姫様達って、仲悪いのか?」

「……」


 しばらく思案した後、エリシリアが答える。


「悪い、というほど悪くない。だが、自分が愛され、もてはやされる為には、他の二人が邪魔だとは聞いた事があるな」


 思ったより物騒な話だった。


「誰が言ったんだ、それ?」

「全員だ、三人共がそれぞれ、同じ事を言っていた」


 ああうん、駄目だわあの三人。

 お互いを殺す動機がありすぎるわ。


 三姉妹、髪の色が違うだけの三つ子。


 おそらくいつもひとまとめに扱われて、不満がたまっているのだろう。


 だから、試練の洞窟という閉鎖空間で……殺人を行ったんだ。


 犯人は、赤か青の姫様のどちらかだ。


 黄色の姫様が倒れたのだから、黄色が犯人はありえない。


 方法は、お茶に毒を入れた毒殺だろう。


 なぜ俺まで殺す必要があったのかはわからないが、とにかくあのお茶には毒が入っていたはずだ。


 ならば突きつけてやればいい。

 あのお茶が毒入りで危険だと。



 俺達は姫様達と合流し、試練の洞窟へ向かう事になる。


 入り口の兵士にあいさつして、中に入れてもらった。



 洞窟内は王族用の洞窟の為か、灯りも多いし道もある程度整備されている。


 おそらく他にも、王族用の仕掛けがあるんだろう。


 王族が成人になる為の儀式の洞窟だしな。




《同日 AM10:15 試練の洞窟》


 やがて少し歩くと、前回と同じ様に、姫様達が根をあげる。


「あー! もう疲れたー!」

「これ以上は歩きたくありませんわね」

「休憩……希望」


 改めて確認する。

 赤い姫様は元気な子、青い姫様は扇子を持ったクール系、黄色い姫様はテンション低い感じだ。


 姫様達の勢いに飲まれ、エリシリアはさっそく休憩を認めてしまう。


 姫様達はそれを確認すると、簡易テーブルと椅子、ティーセットを取り出し、準備した。


 ティーポットを出したのは青の姫様。ディーカップを出したのは黄色の姫様か。


 赤い姫様はこういった事は苦手なのか、ほとんど見てるだけだった。



 じっくり見てみたが、毒を入れるそぶりは誰一人なかった。


 もしかして、俺が真剣に見ていたから隙が見つからず、毒殺はあきらめたとか?


「あなた達も飲みなさい、ボーっと立っていられると気が散るのよ」


 前回俺と一緒に倒れたのは黄色の姫様。


 だが、姫様だけじゃなく、俺も殺される所だった。そんなものを、ユミーリア達に飲ませるわけにはいかない。


「……そのお茶には毒が入っているかもしれない。だから飲むわけにはいかない」


 俺は悩んだ末、正直に言って回避する事にした。


「え?」


 青い姫様が驚愕する。


「どうして、あなたにそんな事がわかるのよ!?」


 激しく動揺していた。これは……犯人は青い姫様かな?


「そう思うならどうぞ飲んでみてください。飲めるもんならね」

「くっ!」


 青い姫様はティーポットを見つめる。


 だが、一向に飲もうとはしない。


 これは、当たりだな。早くも事件解決だ。


「……ふざけないで」

「え?」


 なぜか急に、青い姫様の声のトーンが下がる。


「あなたね!? このお茶に毒を入れたのは! だからそうやってハッキリ断言できるのよ!」


 青い姫様の言葉を聞いて、赤い姫様と黄色い姫様もこちらを疑う様な目で見てくる。


「いや、何を言って……」

「アカリアとイエロンは殺させないわ!」


 そう言うと、アオイ姫は突然ナイフを取り出した。


 そしてそのまま、一直線に俺に向かってくる。


 ハッキリ言って遅い。

 重力修行で強くなり、数々の強敵と戦ってきた俺からすれば、よけるのは簡単だった。


 しかし。


 身体が動かなかった。


「ぐはっ!」


「え?」

「り、リクト?」


 俺は青い姫様に刺された。


 動けないどころか、絶壁のコートも発動しなかった。


 もしやこれが……デッドポイントだというのか?


 俺の人生にはいくつかデッドポイントというのが設定されているらしく、条件を満たすと必ず死ぬらしい。積み防止の観点から作られたものらしいが。


 おそらくこれがそうなのだろう。



 俺はそのまま、意識が遠くなり、やがて視界が真っ暗になった。




「おお素晴らしき尻魔道士よ、死んでしまうとは なさけない」


 気がつくと真っ白な空間に居た。


 死んだ後に来る、神様と俺の空間だ。


「ちょっと待てよ、俺は言い当てたぞ? なんでそれで殺されるんだよ?」


 犯人は間違いなく青い姫様だろう。

 黄色い姫様だけを狙ったのか、全員の命を狙ったのかはわからないが、方法はお茶に毒を入れたはずだ。


 これで事件解決かと思えば、なぜかナイフで刺された。


「ふふふ、悩みなさい。そして乗り越えていくのです! 私はあなたが死ぬ度に、あなたの尻を撫でましょう!」


 お前それただ俺の尻を撫でたいだけだろうが。


 冗談じゃない。

 このクソ神様、回数を重ねるごとに指と手の動きが気持ち悪くなっていっているんだ。


 おそらく俺の反応を見て、撫で方を変えてきているに違いない。


 ちくしょう、無駄に死んでたまるかよ!



 俺は神様に尻を堪能され、再び生き返る。


 そして試練の洞窟まで同じ様に進めた。




 《同日 AM10:15 試練の洞窟》


 カタカタとキーボードを叩く音が鳴り、文字が現れる。


 洞窟に入り、少し歩いた所だ。


 そろそろ姫様達が歩くのを嫌がって文句を言う頃だろう。


「あー! もう疲れたー!」

「これ以上は歩きたくありませんわね」

「休憩……希望」


 姫様達の勢いに飲まれ、エリシリアはさっそく休憩を認めてしまう。

 姫様達はそれを確認すると、簡易テーブルと椅子、ティーセットを取り出し、準備した。


 ティーポットを出したのは青の姫様。ディーカップを出したのは黄色の姫様か。

 赤い姫様はこういった事は苦手なのか、ほとんど見てるだけだった。


 さて、ここまでは前回までと同じだ。


 ここで放っておいてみんなでお茶を飲むと、お茶を飲んだ人が死ぬ。


 かといって、騒ぎ立てるとなぜか青い姫様にナイフで刺される。


 ……騒ぎ立てず、お茶を飲ませない、か。

 俺に鑑定魔法とかあればいいんだが。


 ん? 待てよ?


「お待ち下さい、姫様」


 俺はその場で、ひざまずく。


「何よ? 確か、尻が光る男でしたっけ?」


 青い姫様がこちらを見下してくる。


 我慢だ、我慢。ここで怒ってもまた刺されるだけだ。


「はっ! おそれながらそのお茶、何か毒が入っているかもしれません。どなたか毒を調べる方法をお持ちの方はいらっしゃいますでしょうか?」


 穏便に、あくまで誰かを責めるのではなく、可能性を話すんだ。


 俺がそう言うと、みんなが顔を見合わせる。


「姫様方はお美しい。命を狙う者が、こっそりお茶に仕込んでいるかもしれません」


 持ち上げる。持ち上げるんだ。決して姫様達を怒らせてはならない。


「なるほどな、なら私の出番ね!」


 そう言って前に出てきたのは、赤い姫様だった。


「アカリア様が?」

「アカリア様は鑑定魔法がお得意なのだ」


 エリシリアが補足してくれる。

 エリシリアにそう言われ、アカリアは満足そうにふんぞりかえる。


「私に任せろ! シラベール!」


 赤い姫様が魔法を唱える。


 するとティーポットが紫色に光った。


「おお、これは」

「毒々しい色ですね」


 どうやらこれで確定した様だ。


「ふむ、アオイ、イエロン、これは駄目だ。今すぐ捨てよう」


 そう言って、赤い姫様はお茶を捨てた。


 黄色い姫様は面倒くさそうにそれを見ていた。


 青い姫様は……


「おそろしいですわね。アカリアが居てくれなかったらどうなっていた事か」


 扇子で口元を隠していた。


 どういう表情なのか、いまいちわからない。


「それにしてもアナタ、よく毒の事がわかったわね?」


 ……きた。

 ここで言い方を間違えると、また俺が犯人だと言い出して、刺されてしまう。


「お美しい姫様達を狙う者が多い為、細心の注意を払う様に王様から言われておりましたので! ちょっとした事が気になってしまいました。申し訳ありません!」


 とりあえず頭を下げる。


「……まあ、いいですわ。確かに私達はその美しさから、命を狙われる危険は常にありますからね」


 そう言って、他の姫様達と一緒に椅子に座った。



 このクソ姫様め、このクエストが終わったら覚えてやがれ!


 俺が美しいと思うのは、ユミーリアとエリシリアだけだ!


 コルットは可愛い。美しいじゃなくて可愛い。



 俺達はそのまま少し休憩し、再び洞窟内を進み始めた。


 よし、なんとかクリアしたみたいだ。


 後はこのまま、一番奥まで行って終わりたい。




《同日 AM10:40 試練の洞窟分岐ポイント》


 しばらく進むと、道が二つに分かれていた。


「さて、どっちに行こうか」


 俺がそう言うと、姫様達がそれぞれ別の方向を指した。


「こっちだ!」

「こっちですわね」

「こっち」


 赤い姫様は元気よく右を。

 青い姫様は左を。

 黄色い姫様は面倒くさそうに右を指した。


「多数決にします?」


 俺がそう聞くと、青い姫様は納得しなかった。


「私はこちらが正しいという意見を曲げるつもりはありませんわ。右へ行きたいならどうぞ。私はひとりでも左に行きますわ」


 他の人を殺そうとお茶に毒を仕込んだと思われるのはこの青い姫様だ。

 おそらくこの中で、一番殺意が強い。


 そんな青い姫様をひとりにしておいたら、何をするかわかったもんじゃない。


「わかりました。私が同行しましょう」


 俺は青い姫様に同行を申し出る。


「エリシリアは右に行ってくれ。二手に別れよう」


 どうせここでもめるとまた刺されるんだ。なら姫様達の思う通りにしてやろう。


「大丈夫だろうか?」


「しばらく進んで行き止まりなら、引き返してこちらに来てくれ。逆に行き止まりでなければ、一度休憩でもしててくれ。こちらが行き止まりなら戻って追いつくから」


 二手に別れて進んで、行き止まりだった方は戻り、行き止まりではなかった方は休憩してもう片方を待つ。


 俺の提案に、姫様達は納得してくれた。


 俺とコルットと、青い姫様が左側。

 ユミーリアとエリシリアと、赤い姫様と黄色い姫様が右側に行く事になる。


 俺達はそれぞれ別れて、道を進んだ。



 しばらくすると、行き止まりになった。


「こちらではなかったようですね」


 俺は青い姫様を見る。


 青い姫様は面倒くさそうに鼻を鳴らした。


「フン、まあそういう事もありますわ」


 青い姫様はすぐさま来た道を戻る。


 俺とコルットもそれに黙ってついていった。



「きゃあああああ!!」



 すると、悲鳴が聞こえた。


 俺達は顔を見合わせて、走り始める。


「きゃっ!?」


 青い姫様が走るのが遅いので、コルットが姫様を抱えた。


「ちょっと! 何しますの!?」

「大丈夫、わたしがはこんであげる!」


 まさか自分より身長の低い幼女に抱えられるとは思っていなかったのだろう。


 青い姫様が驚いている内に、俺達はユミーリア達に追いついた。



 ユミーリア達は、呆然と立ち尽くしていた。


「大丈夫か!? 何があった?」


 俺がユミーリア達に確認すると、ユミーリアが青ざめた顔でこちらを見た。


「リクト、どうしよう? お、お姫様が!」


 ふと地面を見ると、お姫様が倒れていた。


 倒れていたのは……赤い姫様だ。


 エリシリアが確認を取る。


「……駄目だ。死んでいる」


 再び殺人事件が起きた。



「うそ、い、いやああああああ!!」


 青い姫様がそれを聞いて叫ぶ。


「あなたね!? あなたが私を誘導して、その間にアカリアを!」


 青い姫様が激しく怒り、こちらを見る。


 い、イカン! これはいつものパターンだ!


 そう思っていると、青い姫様がナイフを取り出す。


「この、人殺しいいい!!」


 そして、俺にナイフを突きたてる。


 やっぱりよけられないのか、この攻撃は。



 うすれゆく意識の中、黄色い姫様が笑っている様に見えた。




「おお素晴らしき尻魔道士よ、死んでしまうとは なさけない」


 俺は再び、死んで真っ白な空間に居た。


 わかった事がひとつ。

 誰かが死ぬと、青い姫様は発狂する。そして俺が殺される。


 これが今回のデッドポイントのひとつだ。


 しかし、今回は俺と青い姫様は一緒に居た。


 それなのに、赤い姫様は死んでしまった。


 どうやって?

 誰が、どの様に殺したんだ?


 俺は最後に見た、黄色い姫様の笑い顔を思い出す。




 毒を見つけたから終わりだと思っていたこの事件は、まだまだ続きそうだった。



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