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神の尻を持つ俺がゲームの世界で最高のエンディングを目指す!  作者: きゅんZ
第四章 ロイヤルナイツとミステリー
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62、シズカの村の戦い

「ねえリクト、あの人って、ロイヤルナイツの人だよね?」


 現在、マイルームにはエリシリアにすがり泣くロイヤルナイツのひとり、シズカが居た。


 突然俺が連れてきたもんだから、ユミーリアは困惑していた。


 コルットはソファでジュースを飲んでいる。


 俺はユミーリアに、会議であった事を説明した。


 アクデス帝国の侵攻に備えて準備が始まる事、話の中で発覚した、邪神の使徒とアクデス帝国の内通者。


 アクデス帝国の内通者は捕まった事。

 邪神の使徒の内通者が、ロイヤルナイツのひとり、シズカだった事。


 そしてそのシズカは、弟の命を救う為に、邪神の使徒になっていた事。


「リクト、シズカさんの弟、絶対に助けようね!」


 ユミーリアは話を聞いて、やる気になっていた。


 シズカの弟がどんな病気になっているかはわからないが、俺のゴッドヒールならなんとかなるだろう。


 問題は、なぜシズカの弟が病気になっているのかだ。


 サンダーの紋章5のストーリーでは、シズカの弟が病気になるなんて事はなかった。


 そしてそんな病気の弟を、邪神が助けたという。


 なんとも怪しい話だった。



 エリシリアがシズカを慰めた後、俺達はシズカの故郷に向かう事にした。


「ところで、シズカの故郷はどこにあるんだ?」


 サンダーの紋章5、通称サモン5では、シズカのエンディングで故郷の村が出てきたが、具体的な場所は明かされていない。


「私の故郷はキョテンの街から西に行った所にあります」


 西か。そういえば西の方にはまだ行った事がないな。


「とりあえず、街の外に出るか」


 俺はマイルームの出口を街から少し離れた場所に設定して、マイルームを出る。



 外に出ると、シズカが呆然としていた。


「エリシリア、これはいったい……」

「ふふ、すごいだろう? 私のリクトは」


 俺達は歩いてシズカの故郷を目指す。


 途中、コルットが楽しそうに魔物を倒していた。

 コルットはどんどん強くなっていっており、最近は重力室の外だと動きが目で追えないくらい速い。


 コルットと同じ修行をしているユミーリアも、同じくらい速いんだろうな。


 エリシリアは最近修行を始めたのでユミーリア達ほどではないが、それでも俺より修行は進んでいる。


 ユミーリア達が60倍、エリシリアは30倍の重力を克服しようとしている。


 俺? 俺はまだ10倍でも満足に動けないよ。

 エリシリアの番になった時点で、地面にはいつくばってゴッドヒールを唱える機械になるよ。


 言っててちょっと悲しくなってきた。

 やっぱりゲームの主人公達って、すごいんだなって思う日々だった。


 でも、俺だって負けてられない。

 いつかユミーリア達を守る為にも、強くならないといけないんだ。


 俺はコルットのモンスター退治に参加した。


 ここら辺のモンスターなら、俺でも簡単に倒せる様にはなっていた。



 そうこうしている内に、村に着いた。


「あ! お姉ちゃん!」


 子供達がシズカの元に集まってきた。


「みんな、元気だった?」


 シズカが笑顔になる。


 シズカは村の子供達みんなに好かれている様だった。


「シズカよ、よく帰ってきた。どうじゃ調子は?」


 おじいさんが話しかけてきた。


「長老、ただいま戻りました。あの……弟の様子は、どうですか?」


 弟の様子を聞いた途端、長老と呼ばれたおじいさんの顔が曇った。


「いまだ寝たままじゃ。当時ほど苦しそうにはしておらんが、起きて動くのは難しいのお」


 それを聞いて、シズカの顔も曇る。


「リクト、お前の出番だ。シズカの弟を治してやってくれないか」


 エリシリアが俺に頼んでくる。


 もちろん、そのつもりだ。



「やっぱり、そういう事だったのね」



 その時、後ろから声が聞こえた。


 その声には聞き覚えがあった。


「俺達をつけてきたのか、ジャミリー?」


 そこに居たのは、ストレートファイター2で出てくる敵、ジャミリーだった。


「シズカ、あなた邪神を、私達を裏切るつもりね?」


 ジャミリーは邪神の使徒のひとりである、オウガの部下だ。


 当然、ジャミリーも邪神の使徒なのだろう。


「私は……」


 シズカにはいまだ、戸惑いがあった。


 もし俺が弟を治せなければ、結局邪神に頼るしかないのだ。


 だからこそ、このままでいいのか悩んでいるのだろう。


「まあいいわ。あなたはもう用済みよ。私はそれを伝えにきたの。それと……」


 ジャミリーから、黒い闘気があふれ出す。


 俺達はそれを見て、構える。


「裏切り者の大事な村を、滅ぼして来い。というのが私に下された命令よ」


 ジャミリーが近くに居た村人に、黒い闘気の塊を放つ。


 すぐさまユミーリアが動き、炎の剣で闘気の塊を打ち払った。


「村の人には、手を出させない!」


 ユミーリアが力強い瞳で叫ぶ。


 俺達はジャミリーを囲み、村の人達の盾になる。


「へえ、邪魔するっていうの?」

「当たり前だろう? お前達の好きになんかさせるかよ!」


 俺はジャミリーをにらみつける。


 以前、俺達はジャミリーにまるで歯が立たなかった。


 だが今は、きっと勝てるはずだ。


「いくぞ、ユミーリア、コルット、エリシリア! 全力でこいつを倒す!」


 俺の言葉にうなずいて、それぞれがジャミリーに攻撃をしかける。


「なにっ!?」


 最初に動いたのはユミーリアだ。


 炎の剣で、ジャミリーに斬りかかる。


「くっ!」


 ジャミリーは腕に闘気をまとって受けようとするが、ユミーリアの攻撃は速く、ガードが間に合わない。


「がああああっ!?」


 ユミーリアの炎の剣が、ジャミリーを斬り裂く。


 斬り裂かれたジャミリーは、炎に包まれる。


 ジャミリーはゴロゴロ転がって、炎を消した。


「あぐっ、くっ!」


 一撃で相当ダメージを与えた。


 強い、強すぎるぞユミーリア!


「な、なんだ貴様! 今の速さはなんだ!?」


 ユミーリアは剣を振るい、りりしく立ち、ジャミリーをキッとにらみつけた。


「私は強くなりました。もう、あなたには負けません!」


 ユミーリアがそう言って、ジャミリーに剣を向ける。

 メチャクチャカッコよかった。


 その姿はまさに、勇者そのものだった。


「ぐっ! この私がこんな……くそ! せめて貴様だけでも!」


 ジャミリーが俺に向かって駆け出す。


 そんなジャミリーに対して俺は、コルットの親父さんに習った構えをとる。


「……っ!?」


 俺の構えを見たジャミリーが止まる。


「貴様、その構え……誰に習った?」


「リュウガさ。オウガのライバルのな」

「やはりそうか!」


 その答えを聞いた途端、ジャミリーの黒い闘気がさらに膨れ上がった。


「オウガ様の……ふふ、ふははは! いいぞ! オウガ様の弟子である私が貴様を倒せば、オウガ様は師としてリュウガに勝つ事になる! 最高だ! 最高だぞ!」


 ジャミリーは笑っていた。


 一方俺はドン引きだった。


 というかジャミリー、お前部下じゃなくて弟子だったのか。

 なんで微妙に設定が変わってるんだ?


「貴様、もう一度名前を聞かせてもらおう!」

「え? ああ、リクトだ」


 俺の名前を聞いて、ジャミリーはさらに黒い闘気を噴き出し、力を高めていく。


「リクトか! その名前、生涯忘れんぞ! リクト、私と勝負だ! どちらがより優れた弟子か、どちらの師匠がより優れているか、勝負だ!」


 ジャミリーは俺の返事も聞かず、俺に襲いかかってくる。


 俺は完全に不意をつかれたが、身体は自然と動いた。


 ジャミリーの拳を腕で受け、そのままリュウガに習った様に、カウンターの蹴りを放つ。


「ぐあっ!」


 ジャミリーがそのまま吹っ飛んだ。


 すぐさまジャミリーがこちらへ向かってくるが、俺はジャミリーの拳をかわす。


「このっ! 尻男がああ!」


 ジャミリーがパンチやキックを放ってくるが、ユミーリアやコルットに比べれば、遅い。なんとかかわせる。


 ジャミリーの攻撃をかわす俺。

 そんな俺に、ジャミリーのイライラが早くも頂点に達する。


「ああああ! クソが! これでもくらえ!」


 ジャミリーが黒い闘気の塊を放ってくる。オウガも使っていた技だが。


 だが、その黒い闘気は、俺の絶壁のコートによって、弾かれる。


「な、なんだと!?」


 俺の絶壁のコートがピンク色に輝いていた。


「さすが絶壁のコートだな。頼りになる」


 ジャミリーは飛び道具がきかないと悟ったのか、再び俺に襲い掛かってくる。


 俺はジャミリーのラッシュ攻撃をかわし、距離を取る。


「いい機会だ、俺の新しい必殺技を、見せてやる!」


 俺は全身に力をこめる。


 すると、俺の身体からピンク色の闘気があふれ出す。


 俺はその力を、尻に集める様、意識する。


「な、なんだ? 何をする気だ、貴様!?」


 俺はジャミリーに背を、正確には尻を向ける。


「くらえ! 俺の新必殺技!」


 俺は両手をグッとにぎり、腰を落として尻を突き出す。


桃尻波ももしりはー!」


 俺の尻から、激しいピンク色の波動が放たれる。


「……っ!? な、なんだとおおおおお!!」


 ピンク色の波動は、ジャミリーを飲み込んで、激しく爆発した。


「うおっ!?」


 俺はその爆発の衝撃にビビッた。


 周りの村人達も、腰を抜かしている。


 本気で撃ったのは初めてだが、思ったより桃尻波はすごかった。

 これでちゃんと手から出ればな。


 かっこ悪いのがこの技の最大の欠点だ。


「やりすぎだ、リクト!」


 エリシリアに怒られた。

 いや、俺もここまですごいとは思ってなかったんだって!



 爆発した地点から土煙があがる。


 やがて煙が晴れると、ジャミリーがボロボロになった状態で、フラフラ立っていた。


「な、なぜだ!? なぜ貴様までがこれほど強くなっている!?」


 正直、俺もビックリしていた。


 強くなったという自覚はあったが、まさかジャミリーをこれほど弱く感じるなんて。


「クソが! 貴様に、貴様なんかにいいい!!」


 ジャミリーが思いっきり怒っていた。


 無理もない。格下だと思っていた相手の尻から出た技で大ダメージを食らったんだ。

 わけのわからなさもあって、相当頭に血がのぼっているだろう。



「おにーちゃん」


 コルットが俺の服を引っ張っていた。


「わたしも戦いたい!」


 コルットの闘志にも火が点いていた。


 俺がこれだけ戦えるんだから、コルットだと余裕なんじゃないだろうか。


「ジャミリー」

「なんだ?」


 俺はコルットを前に出す。


「このコルットは、リュウガの娘だ。まだ小さいが、俺よりリュウガの力をしっかりと受け継いでいるぞ」


 それを聞いて、ジャミリーの目が見開く。


「はっ、ははは! そうか、貴様、そうだったのか! ただの幼女かと思っていたが、納得がいったぞ!」


 俺に吹き飛ばされたジャミリーが、ゆっくりと立ち上がる。


「オウガ様がお前と戦いたがっていたのを不思議に思っていたが、納得がいった。リクト、貴様との勝負はお預けだ。私は貴様より、コルットと言ったか? お前と戦わなければならない」


 ジャミリーの闘気を受けて、コルットも構えをとる。


「お前をオウガ様に会わせるわけにはいかない。オウガ様は殺させない、お前だけは私が倒さなければならないと思っていたのだ!」


 ジャミリーが叫びながら、コルットに襲い掛かる。


 だが、コルットはジャミリーの攻撃を受け流し、必殺技のコンボを次々と繰り出していく。


「……かはっ!」


 コルットの圧勝だった。


 ジャミリーはその場に倒れこむ。


 コルットはしばらくジャミリーを見つめた後、トテトテこちらに歩いてきた。


「おにーちゃん、この人よわい。あと、わたしもお尻からバーってやりたい」


 コルットはちょっと残念そうだった。

 うん、ちょっとジャミリーがかわいそうかも。


 あとコルット、俺の桃尻波は真似しちゃダメだぞ。真似しても出来ないだろうけど。



 戦いが終わったのを確認すると、エリシリアがジャミリーを縄でしばりあげた。


「なんとうか、アレだな。お前達は強すぎる」


 エリシリアがあきれていた。


 うーん、ちょっと前まではジャミリーに勝てる気がしなかったんだけどな。


 重力室が出来てからは相当レベルアップしてるからな、俺達。


「……っ! リクト、あれ!」


 ユミーリアが何かに気づいて、指をさした。



 その先には、オウガが居た。


「オウガ!?」


 オウガがこちらにゆっくりと歩いてくる。


「ジャミリーがまるで歯が立たんか……貴様らの成長速度をあなどっていた様だ」


 オウガがこちらに向かってくる。


 しかし不意にオウガの姿がゆらめいた。


 次の瞬間、ジャミリーとオウガの姿が消える。


「えっ!?」

「後ろだよ、リクト!」


 ユミーリアが叫ぶ。


 後ろを振り返ると、ジャミリーを抱えるオウガが居た。


「……速い。見えたのか、ユミーリア?」

「ううん、リクトを見てたら、急にリクトの後ろにオウガが現れたの」


 なんで俺を見ていたのかは置いておいて、急に現れたか。


「おにーちゃん、今の人、パッと消えてパッと出たよ。歩いたり走ったりしてないみたい」


 コルットが解説してくれる。


 歩いたり走ったりしていない、という事は、魔法か何かで移動したのか?


「なんだ、貴様らはまだリュウガに瞬動術を習っていないのか?」


 しゅんどうじゅつ? なんだそれ? 今の瞬間移動の事か?


「とはいえ、貴様らの成長速度は異常だな、こちらもそれ相応の覚悟を持たねばならぬか」


「やる気か?」


 俺はオウガに対して構えをとる。


 だが、オウガはジャミリーを抱いたままだ。


「……そこの女、好きにするがいい。だが、次にあった時、貴様は我らの敵だ」


 オウガが語りかけたのは、シズカだった。


 オウガはそのまま後ろを向いて、歩いていった。


「待て! 逃がさんぞ!」


 それを追ったのはエリシリアだった。


「お前に用は無い。俺が戦うのは、リクトとコルット、お前達だけだ」


 オウガはそう言い残して、また消えた。


「くっ! なんなのだ、あの男は!?」


 エリシリアは消えたオウガを探したが、すでに周囲にはその姿は無かった。



「……駄目か。仕方ない。リクト、当初の予定通り、シズカの弟を治してやってくれ」


 エリシリアは戻ってくると、俺にシズカの弟を治す様に言ってきた。


 そういえば、この村に来た目的はそうだったな。


「シズカ、弟の所に案内してくれるか?」


 シズカは俺達をボーっと見ていたが、俺に声をかけられてハッと意識を取り戻した。


「あ、ああはい! わかりました、こちらです」


 シズカが俺達を案内してくれる。



「おにーちゃん」


 コルットが俺に話しかけてきた。


「あの人が、おとーさんのライバル?」

「ああ、そうだ」

「そっか……強いね、あの人」

「……ああ」


 今のコルットから見ても、オウガは強いのか。


 以前、俺とランラン丸が融合した時は、オウガと良い勝負が出来た。


 それを考えると、今のコルットなら楽勝そうに思えるが、そうでもないのか?


 オウガ……いつかまた、再び戦う時がくるんだろうな。


 出来れば、オウガはリュウガに習った技で倒したい。


 俺はそう思い、オウガが去っていった方を見た。



 俺達はシズカの弟が寝かされている家に着いた。


 シズカの弟は眠っていた。


「リクト、頼む。シズカの弟を、助けてやってくれ」


 エリシリアが俺を見る。


 言われなくても、シズカは俺にとっても大事な元仲間だ。


「ああ、任せろ。全力でやるさ!」


 俺は意識を集中する。


 すると俺の尻が、ぼんやり輝き始める。


「え、エリシリア、まさかさっきみたいに、爆発するんじゃ?」

「黙ってみていろシズカ。見ろ、先ほどと違って、あたたかい光だろう?」


 俺の尻からあふれるピンク色の光が、家の中を照らす。


「ゴッドヒール!」


 俺はゴッドヒールを唱える。


 すると俺の尻が激しく輝く。


 やがて光がおさまると、眠っていたシズカの弟が目をあけた。


「あれ? ぼく……あ、お姉ちゃん!?」


 弟がシズカを見つけた。


「ああ! カモック! 大丈夫なの?」


 シズカが弟に駆け寄り、抱きしめる。


「うん! お姉ちゃん、ぼく、もう苦しくないよ」

「良かった! 本当に良かった! ああ! カモック!」


 シズカと弟が抱きしめあっていた。


 ……家族、か。



 俺達はシズカを残して、家を出た。



 この世界に来て、俺はコルット、名も知らぬ少女、そしてシズカの家族を、回復魔法で助けた。


 その度にこうして、家族の絆を見た。


 自然と俺は、元の世界の家族の事を思い出していた。


 家族か。

 ひとりで都会に出てきてから、ずいぶん会っていなかったな。

 連絡だって、最初の頃はともかく、最近は1年に1回くらいしかとってなかった気がする。


 だからまあ、突然この世界に来た事も、元の世界に戻れないって言われても、大して気にしていなかった。

 けど、こうして家族が泣きながらお互いの無事を喜んでいる姿を見ると、少しだけさびしい気もする。


 俺がそんな風に思っていると、コルットが俺の足にひっついてきた。


 ユミーリアも、俺の手をにぎった。


「リクト……私ね、小さい頃にお父さんとお母さんが死んじゃって、おじいちゃんに育ててもらったの」


 ユミーリアが突然語りだした。


「兄さんと二人で、おじいちゃんに剣を習って、フィリスやゼノスと遊んで暮らしてた。村の皆も良くしてくれたし、お父さんとお母さんがいなくても、さびしくなかったよ」


 そう言って、ユミーリアは俺の目を見る。


「リクト、私が居るから、だから、元気出して」

「わたしもいるよ、おにーちゃん」


 ……そうか、二人には俺がさびしい気持ちになった事を、見抜かれたのか。


 だからこうして手を取って、ひっついてくれたんだ。


「なんだリクト、私達が居るというのに、何をさびしがっている。私達は仲間であり、パーティだ。冒険者にとって、パーティとは家族の様なものなのだろう?」


 家族、か。


 ……そうか。

 俺にはちゃんと、この世界でも家族がいたんだ。



「もちろん、私はいつでもリクトの本当の家族になってもいいんだけど」

「わ、私はいつでも、リクトの本当の家族になってやるぞ?」



「え?」


 ユミーリアとエリシリアが、ものすごく小さい声で何かつぶやいていた。


「な、なんでもないよ!」

「そ、そうだ! なんでもないぞ!」


 なぜかそっぽを向かれた。

 二人の顔が、ものすごく赤かった。


 多分、カッコつけようとして、何か恥ずかしいセリフを言ったのだろう。


 俺はそんな二人を見て笑った。

 そしたらすごく怒られた。


 元の世界では疎遠になってしまった分、この世界では家族を、仲間を大切にしよう。

 俺は心の中で、元の世界の家族に謝りながら、そう誓った。



 ユミーリアが、コルットが、エリシリアが笑っている。


 気がつけば俺は、全然さびしくなんてなかった。




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