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神の尻を持つ俺がゲームの世界で最高のエンディングを目指す!  作者: きゅんZ
第四章 ロイヤルナイツとミステリー
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54、闘技場の大爆発

 闘技場の西側、そこにロイヤルナイツの控え室があった。


 みんなのお姉さん、フレイラ。

 元気なロリっ子、エール。

 寡黙な女戦士、シズカ。

 そして王国軍の軍団長、ゴッフ。


 4人がロイヤルナイツのひとりであるレズリーと、リクトの試合を見ていた。


「それにしても、あのエリシリアがなんでも言う事を聞く、なんて言うとはな」


 ゴッフは酒を片手に笑っていた。


「笑い事じゃないですよー。まとめるの、大変だったんですからね」


 大きな胸をゆらしながら、フレイラが怒っていた。


「エリシリアの事を好きなやつは多いからな。いきなり出てきたあいつにかみつきたいヤロウ共の気持ちはわかるさ」


 ゴッフが酒をあおる。


「ぷはー! しかしだ、あいつ、レズリーに勝てるのかね?」

「んー、見た所、あまり強そうには見えませんね」


「ふっふっふー、そこでこれの出番だよ!」


 エールが水晶玉を取り出した。


「強さといえば、冒険力! これで二人の冒険力を測れば、一発だよ!」


 エールは元気よく、水晶玉を起動した。


「さーて、あのピンクの人はどれくらい強いのかなー?」


「レズリーの冒険力は確か、2万1000だったか?」

「そうですねー」


 ゴッフが酒のつまみを食べようとした所を、フレイラが奪って食べてしまった。


「何するんだよ?」

「そろそろ試合が始まりますよ、これ以上のお酒は控えて下さい」


「おお!」


 ゴッフ達がつまみの取り合いをしていると、エールの声があがった。


「どうした?」

「見て見て! あのピンクの人、すごいよ!」


 全員が水晶玉を覗き込んだ。



《リクト 冒険力:2万1000》



「オイオイ、マジかよ」

「あらまあ……レズリーちゃんと同じ、2万1000?」

「ね! すごいでしょ!?」


 三人がリクトの冒険力に驚いていた。


 ただひとり、シズカだけはレズリーをジッと見つめていた。


「レズリー、油断しないで、その男は……強い」




 俺とレズリーは、向かい合って立っていた。


 この戦いが決勝戦。

 これに勝てば、俺の願いをエリシリアは聞いてくれる。エリシリアを仲間に誘う事ができる。


 エリシリアに仲間になってほしいのは、俺だけじゃない。ユミーリアもコルットも望んでいる。


 だから俺は今、二人の願いも背負っているんだ。負けるわけにはいかない!


 俺はランラン丸を鞘から抜いて、構える。


「ふうん? ただ尻が光るだけの男じゃないみたいね?」


 レズリーも、目が真剣になる。


「両者、準備はいいな? ……それでは! はじめ!」


 審判の号令と共に、俺達は相手に向かって駆け出した。


「おおお!」


 俺はランラン丸を振り下ろした。


「くっ!」


 それをレズリーは、腕につけた手甲で受ける。


 なるほど、これで武器の攻撃を防ぐのか。コルットにもその内、買ってやらないとな。


 俺は一度距離を取る。


 しかし、その隙をレズリーは見逃さなかった。


「はあっ!」


 大きく一歩踏み込んで、拳を突き出してくる。


「くっ!」


 俺はまともに攻撃を食らってしまう……はずだった。


「なに!?」


 レズリーが驚愕する。


 無理もない。


 俺は後ろに飛び上がったが、その速度と飛距離は尋常ではなかった。



 当然だ。

 俺は今日まで、10倍の重力で修行してきたのだ。


 身体は羽の様に軽い。


 あの程度の奇襲なら、よけるのは簡単だった。


「いくぞ!」


 俺はスピードをいかし、レズリーに攻撃を加える。


「くっ!」


 レズリーは俺のスピードに、まったくついてこれなかった。


 レズリーの冒険力は、俺と同じだ。

 しかし、スピードには圧倒的な差があった。


「くそっ! ちょこまかと動いて!」


 レズリーはすでに、俺を追いきれていない。


 俺は少しずつ、レズリーに攻撃を与えていく。


 しかし肝心な所で、勘がいいのか攻撃を防がれてしまう。


「ふむ、やるでござるな。リクト殿を追いきれていないのに、すんでの所で攻撃を防いでいるでござる。リクト殿、相手は今、反応だけで動いているでござるよ」


 ランラン丸がノンキに解説している。


 しかし反応だけで、か。


 なら!


 俺はランラン丸をあてる寸前で止めて、蹴りを放つ。


「ぐあっ!」


 やっぱりだ。フェイント攻撃には反応しきれていない。


「うわ、リクト殿ひきょー」

「うるさい!」


 俺はそのまま、フェイントを混ぜながら攻撃を繰り返す。


「ぐうっ! この!」


 しかし、意外にタフなのか、レズリーは倒れない。


「調子に……のるなぁあああ!」


 突然、レズリーから気があふれ出した。


「な、なんだ!?」


 俺は突然の事に驚いて、距離を取る。



「む! よせレズリー! それは使うな!」


 エリシリアの叫び声が聞こえた。


 しかし、レズリーは止まらなかった。


「私は! 私はお姉様を守るんだ! こんなやつに、こんなやつに負けたりしない!」


 レズリーの身体中から、血が噴き出した。


「いいっ!? な、なんだ!?」

「うわああああ! 覇王凛影弾はおうりんえいだん!!」


 レズリーの全身の気が両手に集まり、その両手から、巨大な気の塊が放たれる。



「はおうりんえいだん!?」

「知ってるの? コルットちゃん!?」


 特別席で試合を見ていたコルットが、急に立ち上がった。


「おとーさんから聞いた事があります。身体中の気を高め、その巨大な気を放つ技。しかしその代償はすさまじく、身体に大きな負荷がかかる為、使用者はまさに命をかけると言われていると」


 コルットが、普段のコルットとは別人の様に、解説をしだした。


「ようするに、使うと死んじゃうかもしれない技です」


 しかし、すぐにいつものコルットに戻った。



「あああああ!!」


 巨大な気を放つレズリーの身体からは、血が噴き出し続けていた。


「おいおい! なんだか知らんがこれ、ヤバイんじゃないか!?」


 レズリーも気になるが、俺は目の前にせまってきている巨大な気の塊に、ビビッていた。


「ど、どうすればいいんだ? ランラン丸!?」

「これだけ大きいと、逃げる場所もないでござるなー」


 気の塊は俺の3倍くらいの大きさだった。


 すでに逃げる時間はない。


「融合すればなんとかなるかもしれないでござるが」

「ダメだ! 今回それは無しだ! くそ! こうなったら、アレしかないか!」


 俺はアレの準備をする。


「おお!? 何か手があるのでござるか?」

「フッ、こうなったら、手はひとつしかないだろう?」


 俺は顔の前で腕を交差させる。


「耐えるしかないだろおおおお!」

「うそおおおお! それって無策じゃないでござるかー!」


 俺は全力で、巨大な気の塊に耐える事にした。


「ぐおおお! ヤバイいいい! これキツイいいいい!」

「あああ! これヤバイでござるー! リクト殿の馬鹿ああああ!」


 俺は必死で耐えるが、体力がゴリゴリ減っていくのがわかった。


 そして全身が悲鳴をあげている。


「だ、駄目か!?」


 そして次の瞬間、巨大な気の塊は、大爆発を起こした。



 闘技場の中心に、大きなクレーターが出来ていた。


「はぁ! はぁ!」


 レズリーは全身血だらけだった。

 それでもなんとかその場に立っていた。


 土煙があがり、リクトの姿は見えない。


 しかし、その土煙の中心からは、ピンク色の光があふれていた。


「う、うそ……」



 俺は無事だった。


 もう駄目だと思った所で、絶壁のコートがピンク色に輝き出し、俺を守ってくれた。


 とはいえ、結構ダメージを受けてしまった。


「ぐうっ! 身体中が痛い」

「生きてただけでもラッキーでござるよ、まったく」


 正直絶壁のコートがなければ、死んでいたと思う。

 こんな事で死に戻りをする所だった。危ない危ない。


 しかしこれはちょっと、試合にしてはやりすぎじゃないのか?


 俺はなんとか歩いてクレーターの外に出る。


 そこには、血だらけで立つ、レズリーが居た。


「だ、大丈夫か? なんか俺よりボロボロじゃない?」


 俺はレズリーに話しかける。


 しかし、返事はなかった。


 どうやら、立ったまま気絶しているらしい。


「はぁ、何やってるんだよお前……」


 レズリーは今回、敵対したとはいえ、ゲームでは元仲間、というか攻略した時、結婚もした仲だ。


 俺にとっては知らない相手でもないし、嫌いな相手でもない。


「ゴッドヒール!」


 俺はレズリーに、回復魔法を唱えた。


 俺の尻がピンク色に輝き、闘技場全体をまばゆく照らした。


「うう……あ……」


 レズリーが意識を取り戻し、倒れそうになる。


「おっと!」


 俺はそれを支えてやった。


「き、キサマ……なぜ?」


 レズリーがまだ不確かな意識で、俺を見た。


「エリシリアの事とはいえ、無茶しすぎだ。エリシリアだけじゃなく、もっと周りもちゃんと見ろって、言っただろう?」


 ……あ、言ったのはゲームの中の俺か。


「キサマは……うっ」


 回復はしたが、さすがに血を流しすぎたからか、レズリーはまだフラついていた。


「レズリーちゃん!」


 フレイラ達、ロイヤルナイツが駆けてきた。


 フラつくレズリーをフレイラが支えた。


「一応、回復魔法はかけておいたから、大丈夫だと思う」

「ありがとう、あなたに感謝を!」


 フレイラは涙目になっていた。


 まあ、仲間が全身から血を噴き出したんだから、無理もないか。


「すまなかったな、まさかレズリーがアレを使うとは思わなかった」


 軍団長も頭を下げてきた。


「なんだったんですか、アレ?」

「我が軍に伝わる、禁断の技だ。未熟なものが使用すれば、あの通り全身が技に耐えられず、最悪死に至る」


 おいおい、自爆覚悟な技かよ、カンベンしてくれ。


 ……ん? 自爆?

 最近どっかで聞いた様な気がするが……駄目だ、俺も結構ダメージが大きい。


「おい、大丈夫か?」

「ああ……なんとか」


 俺は少しフラフラする身体で、なんとか踏ん張った。


「リクト! 大丈夫か!?」


 エリシリアがこちらに駆けてきた。


 そうだ、エリシリアにお願いしないといけないんだった。


「エリシリア」


 俺は、これ以上邪魔が入るのは困ると思い、この場でエリシリアに向かって、お願いを言う事にした。



「エリシリア……お前がほしい」


「……え?」


 エリシリアの動きが止まる。


「俺の……に、なって、ほしい……んだ」


 あ、駄目だ。もう限界だ。


 俺はそのまま、前のめりに倒れた。


「り、リクトー!?」


 エリシリアの声が、聞こえた気がした。




 目が覚めると、知らない部屋のベッドに寝かされていた。


「リクト! 目が覚めたの?」


 一番最初に目に映ったのは、ユミーリアだった。


「ユミーリア……俺、どうしたんだっけ?」


 いまいち記憶が無い。確か、レズリーと戦って、なんかすごい技を使われて。


「そうだ、レズリーは無事か?」

「え? うん、相手の人は無事だったみたいだけど……って、そうじゃなくてリクトだよ! どうして自分に回復魔法を使わなかったの!?」


 ユミーリアが怒っていた。


 そう言われてみればそうだ、なんで俺はレズリーを回復して、自分を回復しなかったんだ?


 あの時は確か……エリシリアに早くお願いをしなきゃって思って……


「そういえば、結局大会はどうなったんだ? というか、俺が倒れてどれくらい時間が経ったんだ?」


 俺は、怒っているユミーリア可愛いと思いながら、聞いてみた。


「もう! 私怒ってるのに! ……えっとね、リクトが倒れてから、そんなに時間は経ってないよ。今は会場の撤収作業をしている所」


 そうか、目が覚めたら3日後とかじゃなくて良かった。


 いや、一番良かったのは死んでなかった事か。我ながらちゃんと自分も回復しろよと思う。


「ゴッドヒール!」


 俺は念の為、今さらだが回復魔法を唱えた。


「もう、遅いよ! ちゃんとお城の回復魔法を使える人が、回復してくれたよ」


 そ、そうなのか。


「あはは、ごめんごめん。次からは気をつけるから」

「絶対だよ!?」


 ああ、怒ってるユミーリア可愛い。頬を膨らませてるの超絶可愛い。



「リクト、目が覚めたのか」


 可愛いユミーリアを見ていたら、エリシリアとコルットがやってきた。


「おにーちゃん!」


 コルットが飛び込んできた。


「もうだいじょうぶ?」

「ああ、ごめんな、心配かけて」


 コルットは涙目だった。さすがに罪悪感がわいてきた。


「元気になって何よりだ。それでだリクト、早速で悪いが、王様が呼んでいるんだ。動けるか?」


 エリシリアに聞かれて、俺は身体を動かしてみた。


「うん、大丈夫だ」


 さすがはゴッドヒール。もうなんともない。むしろ元気が有り余ってるくらいだ。


「それは良かった、ついてきてくれ。王様の所に案内しよう」


 俺はベッドから出て、エリシリアについていった。



 俺はてっきり謁見の間とかにつれていかれるのかと思ったが、つれてこられたのは闘技場だった。


「あれ?」


 なぜか観客がまだ居た。というか満員のままだ。どうなってるんだ?


「お前のあの発言のせいで、みんな結果を聞くまで帰らないというんだ」


 エリシリアが苦い顔をしていた。


 発言? 何の事だ?


「おい待て、その顔、まさかさっきの発言を覚えてないというんじゃないだろうな?」


 エリシリアがにらんできた。


「……ハハっ!」


 俺は陽気なマスコットの真似をして笑ってみる。


 だが、駄目だった。


「お前というヤツは! もういい! さっさと来い!」


 俺は無理矢理、闘技場の真ん中につれてこられた。



「おお! 目覚めたか、尻魔道士よ」


 王様もまだ残っていた。


 本当に、みんな何やってるんだ? そこら中から視線を感じる。



「お待たせしました。それでは王よ、リクトが目覚めたので、先ほどの返事をしたいと思います」


 エリシリアがひざまづいて宣言した。


 ユミーリアとコルットもひざまづいたので、俺も真似してひざまづいてみた。


「うむ、聞けば今回、優勝者の言う事を、エリシリアが何でも聞くと約束していた様だな」


 王様が笑う。


 なんと、そういう話になっていたのか。


「はっ! そしてこのリクトは見事優勝しました。したがって彼の願いを、私は聞きたいと思います」

「うむ、先ほどのこの者の願いは……」


 先ほど? 俺はいったい、何を言ったんだ? どうも気を失う前の記憶があいまいだ。


 ……ああ! 思い出した! 確か俺の仲間になってほしいって、言ったんだっけ?



「確か、エリシリアに向かって、お前がほしい、俺のモノになってくれ、だったか?」


 王様がエリシリアに確認する。



 ……アレ? なんかちがくない?


 会場がどよめいていた。


 ちょっと待った、もしかしてこの返事をみんな聞きたくて、俺の目が覚めるまで待っていたのか?


「はっ! その通りです!」


 エリシリアが答える。


 いやいや待った、ちょっと待った! 俺のモノになれとか言ってないから! 仲間になってほしいだけだから!


 これでは完全に断られると、エリシリアを止めようとした。


 しかし、俺の制止を聞くまでも無く、エリシリアは高々と宣言した。



「騎士に二言はありません! リクト! お前のその願い、聞き届けよう! この瞬間から私は……お前のモノだ!」


 エリシリアが顔を真っ赤にして、こちらを見る。



 へ? 今なんて?




 エリシリアが再び爆弾発言を落とし、俺は思考は完全に停止してしまった。



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