表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の尻を持つ俺がゲームの世界で最高のエンディングを目指す!  作者: きゅんZ
第四章 ロイヤルナイツとミステリー
53/164

53、王子様と神の尻

 俺達は城の闘技場にやってきた。


 闘技場はグルッと大きく円形状になっており、地面もキチンと整地されている。


 人が戦うには十分で、しっかりと客席も用意されている。


 俺達はエリシリアに会った後、老紳士に席まで案内された。


 俺達の席は、観客席とは別の場所にあった。


 闘技場の南側にある、一番上の豪華な席、おそらく王様用の席だろう。

 その下に設けられた場所、そこが俺達の席だった。


「なんだか、特等席! って感じだね」


 ユミーリアは興奮していた。


 コルットも大はしゃぎしている。


「おにーちゃん! わたしもここで戦ってみたい!」


 最近コルットが戦闘民族化している気がする。修行のせいだろうか。


「そうだな、またの機会にだな」

「えー」


 コルットが残念そうにしている。


 ストーリー通りなら、俺達はいずれまた、ここに来る事になる。


 むしろこういった形でここにおとずれる事になるとは思わなかった。


 ストーリー中盤で、俺達はここでモンスターと戦う事になる。


 王様が邪神の使徒に騙されてしまい、それを暴いたら、邪神の使徒がモンスターを呼び寄せるんだ。


 そのモンスターと戦うのが、この闘技場だ。


「どうぞ、お召し上がり下さい」


 老紳士がお茶とお菓子をくれた。


 おや? これって……


 俺はお菓子を手にとって驚いた。


「おにーちゃん! これおいしいよ!」


 コルットが早速お菓子を食べてよろこんでいた。


「これは、ドーナツにございます」


 やっぱりドーナツか。


「ドーナツライオンというモンスターが稀にドロップする菓子でございます。どうぞご賞味ください」


 へえ、モンスターってお菓子もドロップするのか。


 俺が知らないモンスターが増えてるな。


 ちょっと怖いが、今回の様にお菓子をドロップするモンスターなら歓迎だ。


 今度生息地を聞いて狙ってみるか。


「ふわ~これほんとにおいしいよーリクト」


 ユミーリアも感激している。


 決めた、今度ドーナツライオンを狩りに行こう。


 俺はドーナツを食べながら、その時にはエリシリアも一緒だといいなと考えていた。



「王様のーおなーりー!」



 どうやら王様がきたみたいだ。


 俺は上を見上げてみる。


 そこには王様と……王様の横には、すでに邪神の使徒が居た。


 長い髪の、丸い眼鏡をした大臣、それが邪神の使徒が化けている姿だ。


 本物の大臣は、もっと丸っこい姿で、邪神の使徒のアジトに幽閉されている。


 すでにこの段階で潜伏していたんだな。



 ちなみに、わかっているなら今ここで偽の大臣を倒す、というのは無しだ。大臣を助けるのも無し。


 ヘタにストーリーを変えてしまったら、また知らない敵が現れたり、とんでもない事態になるに決まっている。


 大臣は俺達が助けるまで生きているんだ、悪いが放っておくしかない。

 いずれストーリーが進んだら、ちゃんと助けよう。


 そんな風に考えていると、王様の演説が始まった。


 ふと見渡してみれば、観客席も満員だった。


「みなの者! よく集まってくれた。今日はロイヤルナイツを含めた我が王国軍の力試しと聞いておる! 各々ぞんぶんに力を発揮し、わしにその力を見せてくれ!」


 あ、建前上はそういう大会なんだ、これ。


 さすがにエリシリア争奪戦とは言えないか。


 ちなみにそのエリシリアは、王様の近くに待機していた。


 ちょっと困った顔をしているのがまた可愛い。



 そして、大会が始まった。


 兵士達がトーナメント方式で、次々と戦っていく。


「エリシリアさんは俺のものだー!」

「ふざけんな! 俺のだ!」


 あれはいいのだろうか。王様やエリシリアに聞こえてるんじゃないのか?


 どいつもこいつもエリシリアの為にと、目が血走っている。


 エリシリア人気だな。


 しかしなんだ、俺はともかく、こいつらは勝ちあがっても、別にエリシリアとどうこうなるわけじゃないんだよな。


 エリシリアがお願いを聞いてくれるのはあくまで俺だけだ。


 なのにこいつらは、なんでこんなに頑張っているのだろう。


 しかもだ、俺は最後に優勝したやつと戦うだけでいいという。

 なんだかちょっと申し訳ない気持ちになった。



 そうこうしている内に、知っている顔同士の対戦が始まった。


 この国の王子様と、ざ……なんとかって男だ。


 ていうか王子様なのに参加していいのか?


「よう王子様! 俺は王子様が相手でも、手加減しねーぜ?」

「ふん! ザイン! お前とは小さい頃からのライバルであったからな! 余の方こそ、手加減などせんぞ?」


 そうそう、ザインだ。

 二人は幼馴染だったのか、ザインの王子様に対する態度にも納得がいった。


 二人の戦いが始まった。戦いはほぼ互角だった。


 最後に、クロスカウンターが決まり、倒れたのは王子様の方だった。


「はあ、はあ! 俺様の勝ちだ!」


 ザインが右手を高くあげた。


 勝っちゃったけどいいのかなと、チラッと王様を見たが、王様は満足そうに笑っていた。



 その後も試合は続くが、やはり強いのはロイヤルナイツである、レズリーだ。


 他のロイヤルナイツは不参加らしい。そのせいで、レズリーが頭ひとつ飛びぬけている。


 結局、決勝はレズリーとザインの戦いになった。


 しかし、余裕のあるレズリーと比べて、ザインはボロボロだった。


 勝負はあっけなく終わった。


 レズリーの圧勝だ。


「ち、ちくしょう! テメエ、負けたらゆるさねえからな!」


 そう言い残して、ザインは気を失った。


「当たり前です。お姉様は誰にも渡しません。もちろん、あなたにもね」


 レズリーがこちらをにらんできた。


 どうやら俺の相手は、レズリーに決まった様だ。


 俺はレズリーを注意深く見てみる。


 そうすると、俺の尻が光り、ピンク色の光は、俺の前で文字となる。



《レズリー レベル30 冒険力:2万1000》



 思ったより強かった。


 というかなんだ、俺の尻の光、いつの間にか完全にピンク色になってないか? コートのせいじゃないだろこれ。


 俺は小さくため息をついた。



「いよいよだね、リクト!」


 ユミーリアが立ち上がる。


「がんばって! おにーちゃん!」


 コルットも握りこぶしを作って、俺を応援してくれた。


「ああ、二人に特訓してもらったんだ、負けはしないさ!」


 俺も椅子から立ち上がる。


 そして俺は、闘技場の中央へ向かった。



「待った!」



 突然、上から声が聞こえた。


 すると王様の席から、ひとりの男が飛び出してきた。


「お前の相手は、余だ!」


 王子様だった。


「ちょっと王子! どういうつもり? 今から私がこいつを倒す所なんだけど!?」


 王子に文句を言ったのは、レズリーだった。


「余は認めぬ! 誰になんと言われようとも、エリシリアの事を決めるのは、余だ! 他の誰にもゆずりはせん!」


 王子様がこちらに歩いてくる。敵意むき出しだった。


「レズリー! 下がっておれ、この余が決着をつける!」


 王子様は俺とレズリーの間に割って入ってきた。


「だが万が一、余が負けた時は……頼んだぞ」


 フッと笑う王子様。


 しかし、レズリーはさめた目でそれを見ていた。


「はぁ、わかったわよ、もういいからさっさと負けてどいてちょうだい」


 みんな王子様に対して冷たくないか?


 ほら、ちょっと涙目になってるし、王子様。


「くっ! いいから下がっておれ! こやつは、余が倒す!」


 王子様は目をこすると、剣を抜いた。


 ていうかこれ、戦わないといけないのか?


 俺は本来の対戦相手のレズリーを見る。


「いいからさっさと倒して、ていうかどうせならここで負けなさい」


 メチャクチャ言っている。


 どうやら、王子様とは戦わなければいけないみたいだ。


 レズリーが下がっていく。


 そして俺は、王子様と向き合った。



「キサマにエリシリアを渡しはせぬ! あれほどの素晴らしい女性を、余は見た事が無い!」


 やっぱり王子様もエリシリアにベタ惚れなのか。


 それにしてもどうしたものか。



「それではこれより、エキシビションマッチを行う!」


 これまで黙っていた審判が、叫んだ。


 ほんとにやっちゃっていいのか、これ?


「はじめ!」


 俺が悩んでいると、審判が号令をかけた。


 すると速攻で、王子様が剣をこちらに向け、突撃してきた。


「うおおおお! 消えろおお! この部外者めええ!」


 ……部外者、か。


 確かに俺は部外者だ。


 正直、俺ひとりだったら、エリシリアの事はあきらめていたかもしれない。


 だけど。



「ぐふっ!」


 俺は刀の柄で、王子様の腹を突いた。


 王子様はそのまま倒れこむ。



 ユミーリア達が、エリシリアを仲間にしたいと言ってくれた。


 だから俺は、今日は全力で勝つ! 勝ってエリシリアを仲間にするんだ。



「勝者! 素晴らしき尻魔道士、シリトおおおおおお!」


「だから俺の名前はリクトだって言ってんだろおお!」


 審判まで俺の名前を間違えていた。むしろわざとか? コノヤロウ。


「ぐっ! なんという強さだ、余の負けだ……くそ!」


 王子様が起き上がり、腹をおさえてこちらを見ていた。


「くそっ! どうせキサマ、エリシリアのあの素晴らしい尻を撫でるつもりなんだろう! 余でさえまだ触った事がないのに! くそ!」


 王子様がものすごく悔しがっていた。


 ていうか待て、なんだそれ。エリシリアの尻?


 俺はエリシリアの方を見る。


 エリシリアが笑って手を振っていた。可愛い。


「キサマの様なヤツに、あの素晴らしい尻を奪われるとは! 何が素晴らしき尻魔道士だ! キサマの尻など所詮! ……しょせん……」


 不意に、王子様が黙った。


 なんだ? と思って振り向くと、王子様が俺の尻を見ていた。


「な、なんという事だ」


 王子様の目が、大きく見開いていた。


「素晴らしい……素晴らしい尻だ! そのピンク色のコートを脱げ! もっとよく見せろ!」


 王子様がコートを引っ張ってきた。


「い、いや、なんだよいきなり!?」


「ええい! こうなったら!」


 王子様がコートの下から入り込んできた。


「ぐえっ!? 何してるんだよ!?」

「おおおおお! 素晴らしいいいいい! なんという尻だ! こんな、こんな尻がこの世にあったのか!」


 王子様が俺のコートの中で叫んでいる。


「ああ! 今ならわかる。これこそまさに神の尻! 素晴らしいぞ尻魔道士よ! 余の物となれ! 余はお主に惚れた!」


「だ、誰か助けてくれ! 気持ち悪い! この王子様ヤダ!」


 俺は必死に助けを求める。


 すると先ほどの老紳士が現れ、コートの中の王子様を攻撃した。


「ぐはっ!」


 グッタリとした王子様を、俺のコートの中から引きずり出した。


「ハッハッハ、これは申し訳ない。殿下は小さい頃から、お尻が大好きな方でして。あなたの素晴らしいお尻にひかれてしまったのでしょう。お許し下さい」


 老紳士は王子様を抱えて去っていった。


 なんなんだよもう。


 アレか、王子様が惚れていたのは、エリシリアじゃなくて尻だったって事か?

 ていうかいいのか、王子様がアレで?


 俺は王様を見た。


 王様は目をそらしていた。オイ。


 俺はなんだかドッと力が抜けた。


 しかし、そんな俺を待ってくれない人が居た。


「茶番は終わったかしら?」


 レズリーだ。


 彼女はすでに、戦う体制に入っていた。


「こっちはあんたをブッ飛ばしたくてウズウズしてるの、そろそろいいわよね?」


 彼女はコルットと同じ、格闘家だ。


 拳をあわせて、こちらを射抜く様に見つめてくる。



 俺は気合いを入れ直す為、深呼吸をする。


 相手はロイヤルナイツだ。今の気が抜けた状態で勝てる相手ではない。


 俺は深く深呼吸をして、相手を見た。


「へえ? さっきの王子を倒したのもそうだけど、ただ尻が光るだけの男じゃないみたいね?」


 レズリーも一度、大きく深呼吸した。


 そして、俺達はお互い、構えをとる。


「さあ! やるわよ! お姉様は絶対に、私が守るんだから!」


「悪いが俺も、負けられないんだ」


 俺達はにらみ合い、審判の開始の号令を待つ。


「両者、準備はいいな? ……それでは! はじめ!」


 審判の号令と共に、俺達は相手に向かって駆け出した。




 王子様との前座が嘘の様な、激しい戦いが、始まった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ