学院長の思惑?
その後、クラスの自己紹介が終わり、LHRをして今日の一日は終わった。
放課後となった今、俺と凛は二人で頭を悩ませていたところだった。
「まさか、あれほどのクラスとは思っていませんでした」
「なるほどな、学院長の言いたいことが教師一日目にしてよーく分かったな」
HRでの出来事でなぜ他の先生たちがG組を受け持たなかったのか、学院長がなぜG組を俺ら新任教師二人に任せたのか。
「あの学院長……単にめんどくさい事を押し付けただけじゃねーか!」
「あら、ばれちゃった?」
背後から突然の声が聞こえてきた。
突如響いた聞き覚えのある声に俺と凛の二人は一度顔を見合わせ、ギギギって音が出そうなほど、ぎこちなく後ろを振り返って見ると……。
「やっほー♪」
「げっ!?」
「が、学院長先生……」
ドアに寄り掛っている学院長がそこにいた。
☆
「……どういうことですか」
ドアに寄り掛っていた学院長との距離を詰めて問いただす。
(さっきの俺らの会話を間違いなく聞いていただろうからな)
「男同士でドアを背に距離を縮める……面白い展開です。壁ドンならぬドアドンですか。メモしないと!」
「おいこら凛、顔が怖いぞ」
というか今までで見たことない顔だったぞ。
「それで学院長、なぜ新任である俺らにG組を任せたのですか」
「どうもこうも君の推察した通りだよ。ただ、それ以外にも君たちを選んだ理由はちゃんとあるからね」
俺たちを選んだ理由?
「ま、それは置いといて、君たちは初日で疲れているだろう? 今日は早く帰って明日に備えなさい。」
「はあ……」
「明日からはきっとハードな出来事が増えそうだからね」
「なんかうまくまとめられている気がするんですけど」
「気のせいじゃない?」
学院長の飄々とした表情から考えていることが読み取れない。
「そんじゃ、お疲れさまー」
気付いた時には学院長は既に教室から出ていた。
「……どうします和人?」
「仕方ねぇ、今日は学院長の言う通り帰らせてもらうか」
「そうですね」
こうして俺らの教師生活一日目が終了した。
☆
「あー、さっぱりした!」
家に帰ってすぐ夕食とシャワーを済ませた俺はベットで横になっていた。
「教師ってこんな感じなのかな……」
今日一日を思い返してみると色々なことがあった気がする。
教師生活一日目にして遅刻しそうになったり、いきなり問題クラスであるG組の担任をさせられたり、そのG組が第2教室にあり、探し回ったこと。G組の生徒たちが実は予想以上に問題だらけであること。あと、学院長がよく分からなかったり……。
「出来事が多すぎて頭が回らねえ!!」
ガバッと起き上がり手元にあるスマホとテーブルに置いてある端末の電源を入れる。
ピンピロリン♪
端末の電源を入れたら突然通知音が鳴った。端末に連絡が来ることなど滅多にないのだが……。
「んー……は?」
送られてきたメールを開くと、送り主は登録されていないアドレスだった。
「桐島君へ G組の生徒の細かいデータをお送りするね♪ byがっくいんちょ~……………………」
あの人どうやって送ってきやがったんだ。
もはや恐怖だよ!
とりあえず学院長から送られてきたファイルを開く。
「……名簿と書いている事と大して変わってない気がするが何が言いたいんだあの男」
端末をスクロールさせながら流し見ていると。
「……! おいおい、こんな情報いいのかよ……ってか、どうやって手に入れたんだあの人」
あの人本当にただの学院長なのか。
「何者だあの人……」
☆
「……学院長先生どうやってこのアドレス知ったのだろう?」
突然、学院長から送られてきたメールの中身を確認しながらそんなことを考えていた。
「うーん? これって名簿とあまり変わりないような気がするのです…」
どうして学院長はわざわざこのメールを送ってきたのでしょう?
それに送った相手は私の端末用アドレスともう一つ登録されていないアドレスに送られている。
「これはたぶん……和人だとは思いますけどね」
言いながらなぜか微笑んでしまう。
「よし! 明日も頑張るぞ!」