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新米教師の革命クラス  作者: YUME
欠陥クラス?
2/6

第2教室

 始業式が終わり、俺と凛はG組の教室に向かっていた。

 しかし……。

「おっかしいなー。G組の教室が見当たらないぞ」

「んー、どうもこの校舎には無さそうですね」

 凛が今朝渡された学院パンフレットを見ながら俺に告げる。

 俺もポケットに入っている学院パンフレットを広げてみる。確かに、俺らが担当になっている2年G組の教室は見つからない。

「おいおい、これじゃあ教室が見つからねえぞ」

 そう言いながらパンフレットの次のページを開く。

 すると……。

「……なあ凛」

「……ええ和人」

 お互い同じページを開いてるが、そこには……。

「「2年G組、第2校舎……」」

 手書きで描かれた地図に矢印で『ここ』と書かれているだけだった。

「私にはものすごく嫌な予感がするのですが……」

「俺も同感だ」

 二人とも目を合わせる。

 どちらも疲れた目をしている。

「ハァ、とりあえず第2校舎に向かってみますか」

「いや、その前にあっちに向かおう」

 踵を返して目的の所に向かって歩き始める。




 バァン!


 勢いよくドアを開いたら目的の人物はバッチリ居た。

 今、俺らの前にいるのは桐生学院、学院長の桐生玄一きりゅうげんいちただ一人である。

「おや? どうしたんだい君たち。そろそろHRが始まる時間だよ」

「HRに行く前に少し学院長に聞きたいことがありまして」

「聞きたいこと? なんだね?」

「2年G組の教室だけどうして第2校舎とかいう場所にあるんですか? それと第2校舎はどこにあるのか教えてもらいに来ました」

 突然の問い詰めた俺の質問に学院長はよどみなく答えた。

「そうだね、まず1つ目の質問については、第1校舎の教室が足らなくてね、2年のG組だけ第2校舎に移動してもらったんだ」

 ピシッと人差し指を立てて喋った学院長が指を増やす。

「2つ目に関しては、一度、校庭に出てみればすぐに分かるよ」

「そうですか、ありがとうございます学院長」

 凛が丁寧にお辞儀をする。

「あ、そうだ桐島君」

「はい、何ですか?」

 呼ばれて振り返ると1冊のファイルを渡された。

「それが2年G組の名簿だから教え子の名前は早く覚えてね~。あとは一緒に過ごしながら感じ取ってね~」

 感じ取る? 最後の言葉に疑問を持ちながら学院長室を出て行った。



「なるほど、ここにあったのか」

「ハァ、ハァ、ハァ、遠すぎませんか……」

 隣にいる凛は肩で息をしながら追いついた。

「おいおい、走ってもいないのにそんなにバテて大丈夫なのかよ」

「ハァ、ハァ……だ、大丈夫」

 全然そうには見えんぞ……。

「よし、和人。今日から1年間頑張りましょ!」

 両手を頭上に突き出す仕草がなんとも愛らしいと感じるのは俺だけじゃなく世の男性のほと んどが思うだろう。

「……おー」

「……覇気が感じられないけどちゃんと生徒の前ではしっかりしてよね」

 ふくれっ面になってるのも可愛らしいと思ってしまうが顔には出さない。

「さ、行きますよ」


 ガラッ


 凛が開けてから思ったのだがこういうときって副担任が先に教室に入っていいものなのだろうか。



「みなさーん! おはようございます!」

「「「……ウィーッス」」」

 凛の最初の挨拶にやや間があったもののG組の生徒は反応を示した。

「あー、今日からこのクラスの担任となった桐島和人きりしまかずとだ。教師になったばかりで分からないことばかりだがよろしく頼む」

とりあえず、担任である俺から挨拶を始めた。

「んで、俺の隣にいる女性が鳥海凛とりうみりんさん。このクラスの副担任を務めることになった」

「よろしくお願いします」

 ペコリと凛がお辞儀する。

「さて、そうだなー……とりあえず一人ずつ名前を呼ぶから呼ばれた人から自己紹介してくれ」

 G組のメンバーの名前と顔を一致させるために、まず自己紹介をさせることにした。

 実際は特にやることがないのだ。

 というのも、この学院は始業式の日は授業を行わないらしい。

「そんじゃまずは……青山悠斗あおやまゆうと

「は、はい!」

 緊張したような返事で立ち上がったのが青山悠斗なのだろう。

 見た感じは真面目そうな好青年といったものか。

「青山悠斗といいます! これからよろしくお願いします!」

 バッ! と音が出そうな勢いで動く悠斗。学院長から渡された名簿を見てちょっとした違和感を感じた。

「はーい、次は……伊澤葵いざわあおい

「はーい」

 次に立ち上がったのは制服の中に着ているカーディガンを少しはみ出している女子だ。

「伊澤葵でーす。ま、よろしくです」

 なるほど、今の二人で学院長からの名簿に書いてある意味がなんとなく分かった。

そして、学院長が俺たちにこのクラスを任せて、どうしてほしいのかってのも、俺はなんとなく感じてしまった。

 隣にいる凛の顔を覗いてみると、凛も学院長から貰った名簿を見ながら神妙な顔をしていた。

 (どうやら凛も同じことを考えていたみたいだな)

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