chapter⒊ぼっちな僕は断れない、断らない
8話です
多少おかしいかもしれませんが、どうか生暖かい目で見守ってください
「……………兄……さ…ん?」
「うん、そうだね。十鳥 夜祭の兄の十鳥 朝睹だよ。」
「……な…んで…ここに…?」
「そりゃもちろん、君を助ける為だよ。」
「死……んだはず……じゃ……。」
「おいおい、勝手に殺さないでくれよ? 僕があんな引かれたくらいで死ぬわけないだろう?」
「……は? いや……だって……」
「嘘だよ。何驚いてるんだい? 俺は一度死んださ。」
「……………………。」
僕ら恨みがましい目で兄さんを睨んだ
「おっと、怖いねぇ。 そんな顔せず、兄との再会を喜べばいいのに。」
「兄さんが悪いだろ!!」
「まぁまて、焦らずに…ね?」
「…………もういい。 本当に、相変わらずだな。」
「これが俺という人間だからね。 しょうがないさ。 否定するということは、喫煙者にタバコを吸うなと言う事と同じさ。 止められないんだよ。」
「そうだよな、それが兄さんだった。 じゃあなんでここにいるんだ?」
「まぁ、それはこれから教えるんだけど………魔物たちが邪魔だね。 夜祭、やっちゃおう。」
「いやあの、これどうなってんの?」
「あぁ、それ? 時間止まってるから安心してやっちゃっていいよ。」
「……時間が止まってるって…………もういい、とにかく片付ける。」
「そうだね、頼むよ」
「いや、兄さんもやれよ!!」
「レベル、上がるよ?」
「任せろ、僕が全部やる。」
「相変わらず、切り替え早いね。 うん、いい事だ。」
……感心してる場合じゃないよ、全く
そう思いつつもレベルは上げたかったので、1人で全部の魔物を倒した
僕は攻撃力が低かったので、恐ろしく時間がかかったが、何とか全部倒しきった
今は兄さんが用意した(その場にいきなり出現した)椅子に座り、テーブルを挟んでご飯を食べていた
「兄さん、これは一体どういうことなんだ? 説明してもらいたい。」
「夜祭。 食事中は喋っちゃいけないって、母さんに言われたろ?」
「今それを持ち出すのかよ…………」
そうはいいつつも、兄さんの言う通りにした
そして2人でご飯を食べ終わったあと、僕はかねてから持っていた疑問を彼にぶつけた
「兄さん、これは本当にどういうことなんだ?」
「…………………教えない。」
「そう…………か………」
やっぱ教えられないよな、と僕が考えていると
「フフッ、ハハハハハ!!」
突然兄さんが笑い出した
ついに気でも違ったのだろうか
と、僕が兄の精神を心配していると
「フフッ、そんな顔しないで、教えてあげるからさ。」
「………………一回殴ろうか?」
「おっと、怖い怖い。 まぁ怒るなって、ちゃんと教えるからさ」
「………………………。」
「いや、そんな目しないでよ。 本当に教えるからさ。」
「………わかったよ。 で、実の所どうなんだ? なんで兄さんがここにいるんだ?」
僕が聞くと、彼は少し考えたあとこう宣った
「実は俺さ………神様になったんだよ」
「……………………帰る。」
「わー!! 待て待て! ほんとだよ、本当の事なんだよ!」
僕は何言ってんの?こいつ、という目をすると
「本当さ、俺はあの日死んで、気付いたら神に拾われてたんだよ。 でその神が俺に、『可愛そうだから、神にしてやる』とか言ったんだよ。」
「ふざけた神だな。 でどうしたんだ?」
「俺としては、神様ってのにはなってみたかったからね。 とりあえず………なってみた☆」
兄さんはウインクしながら、そういいやがった
「何がなってみた☆ だよ!!」
「まぁ、過ぎたことは関係ないね。 そうだよね?」
「大ありだ!! 神って何なんだよ!!」
「うーん……神…?」
駄目だコイツ、もう末期だよ
「まぁとにかく、俺は神になったわけだね。 で、神になったはいいんだけどさ、どうやら最近゛魔神゛が動き始めているんだよ。」
「゛魔神゛? 神とは違うよな、字からして。」
「うん、゛魔神゛っていうのは、読んで字のごとく、魔の神だよ。まぁ違う゛魔神゛もいるみたいだけど、今動いているのは魔の神だ。」
「なんだってそんな奴が?」
「【魔種】との戦争。」
「ッ!! まさか!」
「うん、そのまさかだ。 ゛魔神゛は【魔種】のバックにいる……というより、実質的なリーダーかな?」
「目的はなんだ?」
「あまり詳細はわからないっていうのが現状だね。 まぁ、理由なんて知りたくもないけど。」
「゛魔神゛ってのはどんな奴なんだ?」
「゛魔神゛っていうのはね、言わば堕ちた神のことだよ。 元々は神だったんだけどね。あいつらは神を殺しすぎた、だから堕とされたんだよ。」
「………………………。」
「でね、その堕ちた神たちが今、【魔種】を焚きつけて動いてるってわけだ。 で神側は主に【人類種】に加勢してるんだよね。 ある意味神々の代理戦争だね。」
「…神々の代理戦争……か。 まさか本当に起きているとはな。 で結局どういうことなんだ? どうして僕を助けた?」
そう聞くと、途端に今まで笑っていた兄さんの顔が、真顔になった
「……ここから先の話は一方通行さ。 ここより先に行っちゃうとね、神々の代理戦争の当事者になってしまうわけなんだよ。 もう後戻りはできなくなる………それでもやるのかな?」
「……OK。 わかった、いいよ。 受ける。」
「即答……か。 理由を聞いてみてもいいかな?」
僕はあの日から罪悪感に苛まれてきた
兄に庇われて生きながらえた命
どうせあの日死んでいたはずの命だ
兄が頼む、と言うのなら受けてもいい
そう考えるが、いうのは恥ずかしいので
僕は別の理由を口にする
「兄さんに頼まれたら断れないね。 昔から色々助けてもらったしさ、兄さんから頼まれることなんて滅多にないしね。」
「そう……か。 ありがとう……本当はこんなことには巻き込みたくないんだけどね。」
フフッ、と兄さんは自嘲気味に笑った
しかしすぐに表情を元に戻し、僕に言った
「夜祭。 本当に神々の戦いに巻き込んでしまってごめんね。」
「だからいいって言ってるだろ? で、僕は具体的にどうすればいいんだ?」
「いや特別なことは何もしなくていいよ。 ただ【魔種】との戦争の時に【人類種】に加勢してくれればいい。」
「…? それじゃあ、勇者達と同じじゃないのか?」
「いや勇者達とは違うさ、なにせ神の加護を与えるからね。 神の加護を与えられた者は【魔種】との戦争で大いに役に立つんだよ。 ただし【人類種】全員には与えられないんだけどね。」
「ということは、これから僕は神の加護を兄さんから受ける、っていう事か?」
「理解が早くて助かるよ。 そうだね、そういう事になるね。 じゃあこれから加護を渡すね。」
兄さんがそう言うと、いきなり彼の足元と僕の足元に幾何学的な模様が発生した
兄さんが呪文らしきものを唱え始める
そのまま見ていると、突然足元の模様から光が迸り、僕と兄さんの周りを駆け巡る
そのまま光は僕たちの周りを円を描きながら走り、そして収束し消えて行った
「ふー、これで加護は授け終わったよ。 じゃあこれから頑張って実力を上げて、【魔種】との戦争に臨んでくれ。 決して、死なないでね?」
「………責任重大だな。 大丈夫だよ、もうあの日みたいなヘマはやらかさない。」
「それならよかった。 じゃあこれでお別れだね。」
「あぁ、じゃあな。 朝睹兄さん。」
「うん、ばいばい、夜祭。 頑張ってくれよ?」
そう言って兄さんは、消えて行った
残された僕はそこで気付く
「ダンジョンからどうやって出るんだよ!!!!」
狭い洞窟の中に僕の声が木霊した
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ヨハレ・トトリ
性別 男
種族 【異世界型人類種】
天職 【運び屋】
称号
レベル 34
HP 389/389
MP 684/684
STR 126
VIT 86
AGI 1237
DEX 892
INT 341
固有スキル
【収納魔法】
スキル
加護
【孤独神の加護】
・あらゆる状況で孤立する孤独な神に与えられた加護。
《孤軍奮闘》
・孤立時にステータス大幅補正。
???
【光輝神の加護】
・光輝神である朝睹に与えられた加護。
《無傷娯楽》
・物理攻撃を無効化する。
《若き木》
・自らのスキルを『拡張・強化・合成』することができる。
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今回も読んでくださりありがとうございます
次回は明日、夜投稿したいと思います