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孤立無援の荷物持ち  作者: 十鳥
第一章:召喚されたぼっちな僕
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chapter⒉いつか奪われた絆

過去編モノローグです

 十鳥朝睹(ととりあさと)十鳥夜祭(ととりよはれ)



 双子の兄と僕はいつも一緒にいたが

 兄の朝睹は僕とは正反対だった


 彼は僕には無いカリスマ性に、協調性

 およそ人と関わり合う中で、特に大事なものをすべて持っていた


 そんな人だったから、彼の周囲には沢山の人がいた

 僕もその1人だった


 彼は周囲に期待され、その期待に彼も答えていった

 僕は彼よりできなかった



 こういうと、僕が人より劣っているように聞こえるが、決してできなかったわけではない

 彼が出来すぎたせいで、僕が劣っているように見られてしまっていた



 光が光るほど影が目立つように

 彼が期待に応えるほど、僕の評価は落ちていた


 でも決して、僕は彼を恨んでなどいない


 なぜなら彼は、周囲がどんなに僕を責めようとも、彼だけは僕の味方だったからだ


 幼稚園にいた園児や、保育士の方たち

 両親に至ってまで、僕のことを

『兄よりもできない、出来損ないの弟』



 そう思われていたのにも関わらず、彼は決して僕を出来損ないと呼ばず、寧ろ弟のことを自慢するかのようだった


 そんな、まるで僕にとっての希望そのものだった兄

 また、周囲にも期待され、そして期待に応えていった兄



 ____________________


これはよくある思い出

ありふれた町で起きたありふれた悲劇



小学1年生の頃の暑い夏休みのこと


 

 僕は彼と公園でサッカーをして遊んでいた


 しかし僕が、後ろにボールを逸らし、ボールは車道に出てしまった

 慌ててボールを拾おうと道路に出た僕の目の前に現れたのは、トラックだった


 とっさに逃げようとしたが体が動かず、そのままトラックが突っ込んでくる

 硬着し、動けない僕はその時死を覚悟した


 しかし訪れるはずの死は来なかった


 トラックに引かれそうになる僕を、兄が道路の反対側に突き飛ばしたからだ


 突き飛ばされた僕は驚き、トラックの方を見た


 スローモーションのように動く世界の中

 僕を突き飛ばした兄は、一瞬、満足そうに笑い

 そして次の瞬間、トラックに引かれた


 辺りに充満する鉄の匂いと、兄が僕を庇いそして引かれたという事実に耐え切れず、そこで僕の意識は途切れた



 ____________________



 目が覚めたとき僕がいたのは、病院のベッドの上

 病室に設置されていた、デジタル時計を見ると、あの日から2日経っていた


 兄はどうなったのか、と両親に聞くと

 2人とも泣き始めてしまった


 この時、僕は悟った

 彼はあの日、トラックに引かれるはずだった僕を庇い、そして死んだのだ、と


 そして気付く、気付いてしまう


 両親は恐らく、何故兄ではなく僕が死ななかったのか、と思っていることに


 いや、両親だけじゃない

 兄の友人、知人のほぼ全てがそう思っているだろう


 そう気付いたとき、僕の意識は再び深い闇の中に沈んでいった


 再び目を覚ました後は、正直よく覚えていない


 兄を事実上、殺してしまった


 そのことで僕の中で罪悪感が膨れあがる

 罪の意識に苛まれ、精神が不安定になっていたからだ



 そんな僕が、1人になることが多くなるの必然だった

 また、事故の日からまるで神が僕を1人にしようとしているかのように、人と関わることがなくなっていったのも関係しているだろう


 流石に、どんな時でも1人になってしまうという体質になってしまったのは驚いたが、これも僕が兄を殺した事への天罰なのだろうと思った



 そう思い、僕は1人で生き続け、そしてこの世界に召喚された



 何の因果か、召喚された世界で僕は、死んでいたはずの兄と再会することになった

誤字脱字、文法の間違い等ありましたら、ご指摘お願いします



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