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2-5話

キイィン、キイィンと剣がぶつかり合い森の中で木霊(こだま)する。

ユイカは人数の圧倒的不利さから、敵ひとりひとりと対峙(たいじ)するのではなく攻撃をいなして(かわ)し、道を走り抜ける。

囲まれたら一巻の終わりだ。


(どのぐらい進んだのかしら?)


おもったよりも早く他の敵に見つかってしまい、帰路の距離が稼げていないのは確かだ。

(かわ)しても躱しても間髪いれずに現れる敵のおかげで、よく慣れた森とはいえ出口へは着実に向かっているはずだが遠回りさせられてる感じは(いな)めない。


「 ちっ 」


ぬっとまた一人進路を塞ぐように現れる。


「 邪魔するなら容赦はしないわよ! 」


ユイカは攻撃に移った目の前の男に言い放つとそれまでの勢いを落とすことなく、敵の攻撃を回避し出来た隙をついて相手の剣を弾きあげる。

その動作の間に追いついた追手が横から突っ込んでくるのを足払いをして地面に倒し、その男達の横を駆け抜ける。

とどめを刺して少しでも人数を減らしたいところだが、それで後ろの追手に追いつかれる方が危険だ。


( おかしい。まだ出口に辿り着かないなんて・・・ )


ここまで街と湖は離れていなかったはず・・そう思った時だった。


「 ! 」


茂みを飛び越えたとたんユイカは空き地へ飛び出していた。

瞬間逃げ場がないようにしっかりと囲まれてしまう。


「 ユイカ、観念しろ! 」


ユイカは剣を持ったまま周りを見回し、逃げる隙を伺ったが見当たらないのを見て、諦めたように軽く肩を上げると構えを解いた。


「 たった一人にこの人数は卑怯だと思うんだけど? 」


「 ふん、勝てればいいんだよ! さすがのお前もこれだけの人数を相手に勝つことはできまい 」


「 勝てる勝てないはともかく、こんなやり方で勝って嬉しいの? 」


「 うるさい!! どんなやり方で勝とうとそれだけで俺達の名は上がるんだ!! 」


男がそう答え、仲間に合図する。

ユイカを囲む敵の輪がジリジリと狭まり始めた。


( こんだけ人数が多いと、私が負けたとしてもそんなに自慢にならないと思うんだけど・・・ )


まぁ、負ける気は毛頭ないのだが、多少の怪我は覚悟するしかないだろう。

誰かが大声でわめく姿が目に見えるようで、ユイカは内心ふっと微笑むと目をつぶり、ゆっくりと剣を水平に構えた。


「 ほう、勝てればよいのか 」


突然聞きなれた声が響き渡り、思わず集中が解けてユイカは驚きに目を見開いた。

よく知っている人物が堂々たる面持ちで腕を組み、こちらを見ている。


「 王子殿下! 」


「 げっ… 」


王宮兵士一団体を引き連れエリカスが現れたのだ。


「 お前達は包囲されている。速やかに武器を下ろし、投降しろ! 」


「 くっそ~! 」


敵達は歯噛みし悔しがった。まさかここで兵士に囲まれるとは思っていなかったのだ。

しかし、エリカスも爪が甘いというか忘れていることがある。

彼らの目的はユイカで彼女は輪の中心にいるのだ。


「 このまま大人しく捕まってたまるか!! 」


「 ただでは捕まらんぞ! ユイカを道連れにしろ!! 」


敵達はユイカに向かって、一斉に飛びかかった。


「 ユイカ!! 」


一斉に輪の中心へと群がる敵にユイカの姿が見えなくなり、エリカスは叫んだ。

と、中心から爆風が起こったかの様に敵が吹き飛ばされていく。

再び見えるようになったユイカは片手で低く剣を構えていた。

敵の攻撃を受け止め弾き返すと、円を描くように薙ぎ払ったのだ。


「 ったく、詰めが甘いぜ! エリカス! よっと 」


頭上で声がし、一人の男が木の枝の上からユイカの側へ降り立った。

切っ先が反り返った剣を握るその男は・・


「 ビッツ!! 」


「 よっ。

  助っ人登場!!っと格好よくいくつもりだったんだが・・・ 」


ビッツは辺りを見回しながら、ポリポリと頭を掻いた。


「 この様子じゃ、いらなかったかな 」


「 いいえ。助かるわ 」


「 そうか? 」


「 ええ 」


ユイカは軽く微笑んだ。


「 ビッツが手伝ってくれれば、早く帰れるもの 」


「 そうか…。

  んじゃ、さっさと終らせるか 」


「 ええ 」


二人は背中合わせに立つと剣を構えた。

ユイカの敵に向き直った瞳が、先ほどと打って変わり冷たく光る。

ビッツの方は対象的に張り詰めた空気は無く、顔には余裕そうな表情が浮かんでいる。


「 ちっ。あいつまで出てきやがったか・・ 」


男は(うめ)いた。


「 奴は何者だ? 」


彼を良く知らない男はその男に尋ねた。


「 元王宮兵士 王子殿下の直属部隊 隊長だ。

 当時、奴の剣の腕前はユイカと1・2を争うと言われていた。

  引退してたはずなんだがな 」


「 そんな奴がどうしてここに? 」


「 知るか! 

 くそっ…。くるぞ!!!」


質問していた男が慌てて前を向くと、ユイカとビッツがそれぞれの方向に走り出した後で、ユイカが目前まで迫っていた。


ユイカは武器を構えている敵の目前で足を踏み切ると、空高く舞い上がった。

自重と落下速度を加えて剣圧を下へと叩き付ける。


「うわあぁ!」


あまりの衝撃に耐えられず、野党達は地に平伏した。

それを見たビッツは思わずその場に立ち止まる。

チャンスとばかりに襲い掛かる敵の攻撃を避けながら器用にヒューッと軽く口笛を吹く。


「 さすがユイカだ。 俺も負けてられないな 」


ビッツはニッと笑うと、対峙した相手の攻撃を剣で受け止めた。

弾かず、そのまま相手を巻き込むように体を回転させ、敵グループへ投げつける。

向こうが怯んでいる隙に追撃をしかけ、二人まとめて薙ぎ払った。

ガクリと気絶する相手に、


「 手加減はしといたからな 」


そう言うと、ビッツは不適に笑った。

本気でやれば、気絶するだけでは終わらなかっただろう。


「 さて、こんなもんか 」


パンパンッとビッツは服の(ほこり)を払った。

あれから戦い続けること数十分、二人の周りには伸びきった敵達の姿が在った。


ユイカを倒し名を上げるために大人数を集めた野党達だったが、ユイカとビッツに内側から、エリカス率いる王宮兵士達に外側から攻められ、反撃らしい反撃をすることができないままに、捕らえられることとなったのだった。

兵士たちに指示を出したエリカスは急いでユイカのもとへと向かった。


「 ユイカ! 怪我はないか?」


「 はい、大丈夫です。王子殿下 」


「 そうか…無事で何よりだ 」


「 ハッハッハ、相変わらず強いなお前は。

 本当に俺の助けが必要だったのか? 」


「 ビッツが加勢してくれなかったら、怪我をせずに全員倒す事は出来なかったわ。

  ありがとう。ほんとはこんな人数簡単に倒せるぐらい強くならないといけない…」


ユイカはそこで言葉をとぎらせるとクシャミを一つした。


「 ん?お前びしょぬれじゃないか、どうやったらそんなに濡れるんだ? 」


「 …湖で泳いでいた所を襲われたから… 」


「 よし、それなら早く乾かした方がいい、急いで帰ろう 」


エリカスはそう言うと、兵士に命令して馬を1頭連れてこさせた。


「 え?きゃ! 」


ふわりと、ユイカを抱き上げ馬上へ乗せると、自分もヒラリと後ろへ(またが)る。


「 城へ戻る!全体進め!! 」


「 はっ!!! 」


兵士達は足並みをそろえ、行進し始めた。


「 私、城に戻らなくても宿が… 」


「 じゃあなビッツ、じゃじゃ馬は連れて帰る。また会おう 」


「 おう 」


ビッツはヒラヒラと手を振り城へ戻るエリカス達を見送った。

ぎこちないのがわかると思いますが、戦闘シーン書くの苦手です。

ユイカが超人のようになってしまった・・・

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