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7-1話

※情景描写のみです

明るいとはいえないが、完全に暗くもない、そんな空が色を取り戻し始めるはざまの時刻。


ゴーン・・ゴーン・・・ゴーン・・ゴーン・・・


普段なら鳴ることのない鐘が時を告げ、それを合図に眠っていたはずの街がゆっくりと眼を覚ます。ひとつ、またひとつ・・・家や街灯に灯がともり、下層を一定方向に巡りながら増えるそれは、一巡すれば上の層へ、そこが一巡すればさらに上の層へと昇ってゆく。

最後にいただきをひときわ強い城の灯りが飾り、日暮れ時とはまた違う冠の姿を街は明け闇に浮かび上がらせたのだった。







***





コンコン・・・コンコンコン・・・



2回と3回。常時なら3回だけノックされるはずの音に、ユイカは伏せていた顔を上げた。



・・・カチャッ・・・・



許可を待つことなく開かれる扉から足音をひそめた人影が複数入ってくる。

しかし、警戒をする必要はない。入ってきたのは侍女達で、彼女らは自分ユイカの身支度を整えにやってきたのだ。


椅子から立ち上がると心得たように近づく侍女達は、サラサラと衣擦れの音のみをさせ、無言で素早く的確に着付けていく。

自分のことなのに出来ることは何一つ無く、されるがままにチラリと姿見を見れば、そこには現代の流行とはかけ離れ、古風に編みこまれた髪型にセピア色をした古い型のドレスに身を包んだ自分の姿があった。


今から行われるのは婚礼式ではない。

けれどもそれよりも重要なもので、ある意味儀式とも言える。

先程から誰もが無言をつらぬいているのも、流行とはかけ離れた過去の正装をするのもそのためだ。



侍女たちが周りを離れ、部屋の隅へと向かう。どうやら支度が終わったようだ。

そのままこうべれる彼女達の姿を目の端に映しながら、数歩扉の前まで歩むとゆっくり扉を開いた。


そこには、中とは別の侍女数名と近衛兵士が控えていた。


ひとり奥で灯りを持って立つ侍女に頷いて見せる。

彼女も同じように頷くと反転して歩き始めた。

その後ろについて、等間隔にろうそくが灯された薄暗い廊下を進む。

灯りがあるのは進む通路のみで、通らない通路にあるのは闇ばかり。




薄闇と静寂


儀式それは進行していく



下へ下へ向かって






一年更新停滞はまぬがれました・・・けど遅くなってすいません;

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