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5話 空気感

福島県に入ってすぐの道の駅安達でライダーの義務を果たす。

ツーリング中にソフトクリームを食べるのはライダーの義務らしい。

 今日はGWにしてはかなり暑い。

最高気温27℃位になる予報だ。

まだお昼くらいだけどもう25℃近くはありそうな体感。

この辺りまで来ると信号も少なく、ほとんど止まることもない。

快適に走れていたので、道の駅でバイクを止めてから、自分が意外と汗をかいていることを実感する。

夜中に出発した時のままの服装だから当たり前だ。

 自宅を出てから既に約330km、行程としては半分以上走った。

これだけ走っても、乗っているだけだから空腹感はあまりない。

ツーリングにはソフトクリームが丁度良いのかもしれない。

 

私はロングツーリングをすると、おしりが痛くなる。

少し休憩すればすぐに回復するのだけど、今回はまだ平気だ。


 前回のエリミネーターで高知へ行った時は、本当にキツかった。

 自宅から高速道路の入口まで信号が6個ある。

そこからずっと高速道路を走ったので、7個目の信号は高知県に入ってからだった。

あれは本当に疲れた。

緊張感は強いし、風が強く体もキツかった。帰りの最後の方は毎SAに停まって体を伸ばす必要があるほどだった。

やはり私は今回のようにカブで下道で風景や空気感を感じながら走るのが合っている気がする。

まあ、楽さで言ったらやっぱり車が一番だけど。

 

近くのスタンドで本日3回目の給油をして北上していく途中の事だ。

 

なんだか山道に入りスマホの電波が怪しくなり、霧が濃くなってきた。

道路脇の看板に4号線と表記があるので道は間違えてはいない。

前後に車やバイクは見えなくなり、対向車もほとんど来ない。

そんな山道を道なりに走っていると、左側の木々の隙間に寂れたベンチと自動販売機がポツンと1つ視界に入った。

 

…何か違和感を感じる。

 

自動販売機の上に、木が多くかかっているのだけど、その隙間から赤いものがチラチラと見える。

なんだか冷たい風が吹いてきて身震いをする。

さっき道の駅でインナーを脱いでしまったので今ロンTの上にプロテクター付きのジャケットだけだ。

自動販売機の近くまで走っていくと違和感は強くなり、真横を走る時横をチラっと見ると、

ランドセルを背負った女の子と目が合った。

サラサラのセミロングの髪。少し世代が古い印象を受ける花柄のワンピース。

大きく目を見開いていた。

ただ、その少女が立っていたのは、自動販売機の上だ。

周りには車も歩行者も誰もいない。

自動販売機の上に直立不動で立ってこちらを見ている。

 

見てしまった!

目が合った!

今の本当?

…実際にいたの?

…それとも???

 

幽霊だとしたら走って追いかけてきたりするのかと思い、恐る恐るミラーをみると既に自動販売機すら映っていない。

もしかして後ろに乗ってたり…と思い、一瞬振り返るが、幽霊でも乗るのは無理。って程に荷物を積載してある。

気のせい…にしては記憶がリアル過ぎる。

とにかくその場を早く離れたくて私はアクセルをいつもより少しだけ空け北上を続けた。

 私がカブで味わいたい空気感はコレじゃない!

 

 



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