21話 恩を仇で返す娘
自宅の駐車場で2人で慎重にカブを降ろした。
父はまだ大阪から帰宅していない。夕方には帰宅する予定だ。
帰ってきたらカブを診てもらって、治してもらうつもりだ。
可能であれば、私もある程度自分で修理をできるようになりたいと思った。
今回は上手く行かなかったけど、今後も私はバイクで遠くへ行きたいと思っている。
きっとまたトラブルは起きるだろう。
今回みたいに助けてくれる人がいることは稀だと思う。
対処する能力を身につける必要がある気がした。
私はリアムさんに頭を下げ感謝を伝える
「このお礼はいつか必ず」
「い、いやいや、た、大したことじゃないから」
と手を振る。
「仇で返します」
「いらんわ!」
私がボケるとツッコミを入れてくれた。
2人でひとしきり笑った後
「じゃあ、また」
そう言ってリアムさんは隣駅の自宅にあっさりと帰って行った。
自宅の玄関を開ける。
「ただいまぁー」
「あら晴。お帰り。遅かったわね。今なんか晴宛の宅急便来たわよ。」
母が今まさに発砲スチロールを開けていた。
それを見てリアムさんが
「そういえば青森で買うのを忘れちゃった」
と、福島のSAでお土産を買っていたのを思い出した。
私は発砲スチロールの中身をひとつ保冷バッグに入れた。
「お母さんちょっと自転車貸して。」
「あ…うん。どうぞ。」
私は少しウキウキしながら、保冷バッグを前カゴに放り込み、自転車で隣駅まで走った。
夜になって父が帰宅した。
「お、マグロ届いてるんだろ?ビール買ってきた。」
冷蔵庫を開けて数秒、固まる父。
「…マグロがない」
母が何でもないように答える。
「ああ、リア君が食べたわよ」
「え?リア!? 来たの?」
「来たといえば来たかな」
「俺のマグロは!?」
私は少し気まずくなりながらも真実を告げた。
「リア君が食べた」
父が天井を見上げて呟いた。
「…よく分からんが、リアムめ覚えとけよ。この借りは必ず!」
それからしぱらくして私はリアムさんと付き合う事になった。リアムさんが父に付き合った事を報告する時の話も面白いんだけど、それはまた今度。




