19話 積載
あれ?
ここ精神と時の部屋だっけ?
って錯覚するほど進まないスマホの時計を眺めていると
「は、晴ちゃん?」
と、テントの外から声を掛けられた。
激しい雷雨、それに強風の音で車が近くに止まったのに気が付かなかった。
予定より15分ほど早く到着してくれた。ありがたい。
テントから出ると相変わらずの高身長イケメンがいた。
抱きつきたくなる衝動を抑えつつお礼を言う。
「ぶ、無事でよかった。」
リアムさんの一言に涙が出そうになる。
「か、カブ載せちゃおう。」
リアムさんはハイエースの後ろを開けて車内に乗り込んだ。
覗いてみると、丁度カブが乗るくらいのスペースを空けてくれている。
私はカブをハイエースの後ろに押した所で気がついた。
…これ持ち上げるの無理じゃない?
リアムさんは車内を片付けている。
私は試しにハンドルを思い切り持ち上げてみた。
…ちょっと前輪が浮く程度しか上がらない。
「リアムさん。これ載せられますか?」
「あ、だ、大丈夫。か、買ってきたから。」
そう言って2列目からビニールに入ったシルバーの板状の物を引っ張り出す。
驚いた。
私は車にどうやって載せるかなんて今の今まで全く考えていなかった。
シルバーの板を車にセットする。
リアムさんがカブをなんとか押して途中から私が車内へ引っ張るようにして積載した。
緑色の荷締めロープで2ヶ所しっかりと固定した。
積載が終わるとリアムさんは大きめのタオルを渡してくれる。
「ほ、本当に、た、大変だったね。む、迎えにこ、これて良かった。」
「本当にありがとうございます。ラダーの料金払います。」
「ん。だ、大丈夫。て、テントもたたんじゃおう。」
私はテントを解体して大きなビニールに入れカブの近くに置いた。
「じゃ、じ、助手席、乗って。帰ろう。」
私は濡れた部分を拭いて助手席に乗り込んだ。
車に乗ると安心感を感じる。
今までひとりで色々な所に行ったけれど、はじめて自力で帰れなくなってしまった。
彩ちゃんとの時は色々あったけれどなんとか自走で帰れた。
リアムさんと連絡が取れなかったら私はどうしたんだろう。
私の判断のどこが悪かったのか、まだよく分からない。
回避できた故障なのかな?
そんな事をポツポツと会話をしながら私は気を失うように眠りについた。




