11話 偶然
この男性は一体誰だろう?
見た事はある気かするのだけれど…全く思い出せない。
「あ、あの…ぼ、僕リアムです。真さんに色々とお世話になってる。お、覚えてないかな?」
「リアム…リアム君って父の運営していた子サルに来ていたリアム君?」
全然当時とは別人に見える。小さくて太っていた大人しい感じの人だったと思う。
確か2個上だったような。
「そ、そうです。晴ちゃんとも小学生の時何度かあ、あってて。」
「えー!?よく私の事分かりましたね。え?この辺に住んでるんですか?凄い偶然!」
「いや、ぼ、僕は今も藤沢だけど、しゃ、車中泊で、た、旅をしていて。せ、先月真さんとキャンプした時に、は、晴ちゃんの写真をみ、みせてもらってて。」
そういえば、先月サッカーの教え子達とキャンプするとか嬉しそうに言っていた。
「は、晴ちゃんはなぜここに?とんでもない所で、ぐ、偶然だね。」
「バイクで旅行に来てて…」
「ば、バイクで?と、遠すぎない?」
相当に驚いているようだ。
「遠かったですね。昨日は盛岡に泊まりましたけど。今日は大間崎のキャンプ場で泊まる予定です。」
リアムさんの少し表情が緩んだ気がする。
「僕もそこで、しゃ、車中泊するつもり、おんなじだね。こ、ここは、ハンバーグが有名らしいよ。良かったら、い、い、い…」
私は自然と微笑んで言った。
「一緒に食べますか?」
「…うん。」
リアムさんが笑顔になる。
口ひげと長髪でだいぶ歳上に見えるけど笑うと可愛いな。
と思った。っていうか、めっちゃイケメンだ。
「あのー受け付けしてくれる?」
受け付けのカウンターに座っている、おばさんが不機嫌そうに言う。
2人で
「すっすいません。」
と声が重なった。
受け付けで支払いを済ませ、先にご飯を食べようという話になった。
2人で食券機で同じハンバーグ定食を注文する。
館内のレストランはかなり混雑していて、ハンバーグが来るまで大分時間がかかった。
私たちは向かい合わせに座り、沢山おしゃべりをした。
リアムさんはあまり滑舌は良くないけど、沢山の会話をした。
父真の話題ならお互いいくらでも話せるし、藤沢の大盛りで有名な定食屋さんが代替わりしたら味が落ちただとか、子サルに来ていたミキさんの事など会話は尽きなかった。
30分以上待ってやっと到着したハンバーグ定食が少し覚めていたり、値段の割にイマイチだったりもしたのだけれど、ほぼ同じタイミングで食べ終わって、各々温泉へ入った。




