東京へ
「うわっ!これ俺が飛ぶより早いっうんむむ……」
「バカ!人間は飛びません……!」
咄嗟に黒丸の口を塞ぐ雅を見て
反対側に座っている凛桜と女子組は苦笑する
初めて新幹線に乗るんだから
テンションが上がるのはわかるが……
「新幹線初めてでしょ?キャー!とかならないの?」
凛桜は大人しく座っている女子達に聞くが
3人とも栞を読みながら答える
「だってここで体力使ったら今日楽しめないよ?
黒丸とか絶対途中寝るよあれ。」
……おっしゃる通りすぎる。
「…私も体力温存しとかないと」
そう言って窓から外を眺める
……初めての新幹線、初めての旅行
こんなにワクワクするものなのか。
「………何笑ってんの?」
「へ?!みっ雅……」
瞬時に移りゆく景色に気を取られて
いつの間にか隣に座っている雅に全く気付かなかった
子供達は反対側の四人席に集合して楽しそうにトランプをしている
「んで?どしたの。もしかして新幹線初めてとか?」
凛桜は恥ずかしそうに笑う
「あはは…実はそうなの。雅は?
飛べるから新幹線とか乗らない感じ?」
「いや、流石に飛ぶより早いし楽だし……
族長になった時の挨拶回りの時に新幹線は乗ったことあるよ。
関東にもお世話になってる妖達は沢山いるからね。」
そうか…当たり前だが日本中に妖はいる。
関西から出た事がないから思いもしなかったが、
関東にも同じように里などがあるのだろう…
「そっか…なら純粋な旅行は初めてってこと?」
「おい…あくまで宿泊学習な?
まぁ、こんな感じに観光目的は初めてかも。
それに凛桜と観光なんて絶対たのしいじゃん?」
そう言って笑う雅
……案外無邪気に笑うんだな。
里の中では族長としての雅しか見ていなかったが、
洋服を着ていることもあって
今の雅はいつもよりも幼く見える。
「ね、雅って何歳なの。」
席を倒して寝ようとしていた雅は片目を開ける
「………急になに?」
「いや、今の雅若く見えるから…」
そう答えた凛桜をジト…と見る雅
「失礼だな。まだ150くらいだよ…
人間で言うなら19歳くらい」
「え……そんなに生きてんの?!大先輩じゃん…。」
驚く凛桜を一瞥して目を閉じる
「大先輩……ね。」
人間の凛桜からしたら途方もない年月なのだろう
それを嫌でも思い知らされる
俺の恋前途多難すぎるだろ…鈍感だし。
いや、伝える気はないが……。
だが今回の旅行は子供達が一緒とはいえ
任務から離れて凛桜と過ごせる貴重な機会だ。
凛桜が楽しく笑ってる姿が見れる。
それだけで満足しよう…
「はぁ………」
釈然としない気持ちを心の奥底にしまって
雅は眠りについた
違う凛桜!そうじゃない!!「私も楽しみ!」だろ!
って思ってる作者でした。
頑張れ雅。
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