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夜空の渡り人  作者: 澪露
るい編
31/100

子供たちの抱擁


「できたぁぁぁ!!」


子供たちの歓声がキッチンで響く


雪特製のパンケーキが完成し、

子供たちが楽しそうにテーブルに運んでいく


「では…せーのっ!」


「「いただきまーーす!!」」


一斉に食べ始める子供たち


凛桜はそんな子供らを眺めていた


無垢で何も曇りのない笑顔。

本来の子供の笑顔とはこうあるべきだと思う…


るいは……るいは今どうしているのだろう

ご飯は食べれているんだろうか?

怪我は痛くないだろうか?

………ちゃんと笑える環境にいるのだろうか?



「ひめさま泣いてる…?」


子供の声で凛桜は自分が泣いていることに気付く


「あ、あれ……ごめんねなんでも……ないから…」


涙が止まらない。


自分が今こうして幸せに浸っている時にも

るいは不幸の中にいるのではないか?

もっと自分に出来ることは沢山あったはず…

もっと早く助けられていたら…


子供たちは凛桜を囲み

小さな手で凛桜の頭を撫でる


「よしよし。だいじょうぶだよ?だいじょうぶ。」


親の真似なのだろう。

まだ舌っ足らずな声で励ましてくれる



任務を遂行する上で

きっとこの先も苦しいことは沢山あるはずだ。

今回みたいな命の選択を迫られる事もあるだろう。

その度に心が苦しくなることもあるだろう。


だが、ずっと後悔だけしていてはこの里を守れない。




凛桜は子供たちを強く抱きしめる


「ありがとう……ありがとうね。」


この子達の笑顔が絶えないように…

今自分に出来ることを少しずつしていこう。


「ひめさまパンケーキ冷めちゃうよ?」


1人の子供が凛桜の腕を抜け出し

パンケーキを持ってくる


「あ、あぁそうだね。……皆一口ずつ食べる?」


子供は凛桜の提案に大喜びし、急いで1列に並び

嬉しそうに大きな口を開けパンケーキを頬張っていく



子供たちにパンケーキをあげる凛桜の笑顔を見て

雪は安堵の笑みを浮かべた






――――


朝日が昇る頃、

雅は自分の腕の中で寝むった凛桜をそっとベッドに寝かせた


夜通し泣いていた凛桜は酷く疲れた顔をしている



「今日は休ませるべきだな……」


身体的にはそこまで酷くないが、

メンタル面での不調は

任務では命取りになる可能性が高い。



それに…少し調べたい事もある。


可能性は低いが、

今回の件が

凛桜を狙った事件である線も捨てきれない。

烏天狗は任務的に野良からの反感を常に買っている。

凛桜はそんな烏天狗の中でも目立つ存在だ。

いつ狙われてもおかしくは無いだろう。


そして、

凛桜と初めて子供…るいを見た時

自分でも妖が取り憑いている事に気付けなかった。


その位妖力が弱い猫又だったのか、

隠し通せるくらい強い妖が裏で糸を引いているのか…


それに恐らく凛桜は気付いていないが

凛桜とるいが昼の公園で会っていた時と

夜アパートに乗り込んだ時……




誰かがずっとこちらを見ていた。





「とりあえず調べてくるか」


雅は静かに凛桜の自室を出て空に飛び立った








凛桜が子供たちによって少しずつ立ち直って来ました。

パンケーキ…美味しいですよね。


次回は雅が今回の件の裏側を知る回です。

よろしくお願いします。

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