街中の子供たち
――里内 街中――
「あとは牛乳………」
凛桜は街中を散策しながら
雪のおつかいメモに書いてある牛乳を探していた
街中には基本的な生活必需品は全て揃っている
里の維持に必要な物資調達をしている者が
人の世から配達しているからだ
他にも
天狗達はこの里を維持する為に様々な仕事をしている
五峯神からの任務を
共に遂行する軍隊に所属している者や
任務遂行の為に人の世に溶け込み
情報収集を専門としている諜報部隊に属している者もいる
中には里の子供たちに人の世について教える事で
里を支える次代の天狗を育成している者もいる
この里は沢山の天狗達によって平和が維持されている
この街中を歩くだけでそれが伝わってくる
この里を守る立場…
頭領として慕ってくれる人々に恩返しをしたい。
そう思って今まで頑張ってきた。
………今はどうだ?
自分は頭領として相応しい行動が出来ているのか…
昨日の事が頭から離れず、
つい下を向いてしまった凛桜の耳に
「あーーー!!凛桜じゃん!!」
騒がしい声が聞こえた
声のした方を向くと
笑顔の黒丸、その後ろからは秘密基地で会った
子供達が走ってきていた
「どしたのこんなとこで?凛桜がいるのめずらしー」
凛桜の顔を黒丸の大きな目が覗き込む
凛桜が牛乳を探していることを伝えると
「こっち!こっちにある!!きて!」
子供たちが凛桜の手を引いて案内してくれた
小さな手に触れた時、
るいのことを思い出して少し苦しくなったが
そんな事お構い無しに喋り倒す子供達につられ
凛桜の顔には少し笑みが浮かんだ
――――
「おかえり凛桜ちゃん!………あら?」
屋敷に帰ってきた凛桜を出迎えた雪は
凛桜の後ろで目を輝かせている子供達を見て苦笑した
「ごめん……買い物手伝って貰ったらぜった
「絶対パンケーキだろこれ!作るんだよな母さん!」
黒丸が凛桜の声を遮り雪に抱きつく
「姫様とお呼びなさい。」
ペシッと黒丸の頭を叩きながら
雪は凛桜と子供たちに目を向ける
「正解よ。凛桜ちゃんも皆も手伝ってくれる?」
和やかな雰囲気の一行は子供の歓声と共に
屋敷内のキッチンへと入って行った
「ひめさまぁ…これここ入れればいいの?」
「いや、こっちで割った後に黄身だけ別に…あぁ…」
子供たちと卵割りに苦戦している凛桜を見て
雪は笑っていた
街中で黒丸と会うのは想定外だったわね…
昨日の今日だからあまり子供には会わない方がいいと
思ってたけど…
凛桜は自分の静止を聞かずに卵を掻き回し始めた子供を見て苦笑しながらも手伝っている
案外良い方向に向かうかもね…
雪は凛桜の表情を見て胸を撫で下ろした
子供のわちゃわちゃ感好きです
実際は大変でしょうが…凛桜頑張れ。
次回もよろしくお願いします




