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夜空の渡り人  作者: 澪露
全てのはじまり
23/101

"命を奪う"という事


凛桜は男性へ妖力を伸ばし、ゆっくり流し込んでいく


男性は気付かず凛桜達の少し前を歩いているが

その身体から出ているモヤは徐々に濃くなり…


モヤと共に小さな鬼が出てきた


「雅……!!出てきた!」


鬼が逃げていくのを慌てて追いかける


鬼は人混みを器用にすり抜け素早く路地に逃げ込んだ


凛桜も急いで路地に入ったが


「……いない。逃げられた…?」


息を整えながら周囲を確認する。


周囲はかなり暗く

小さな鬼1匹が隠れるには絶好の場だ



「いや、まだ諦めるには早い。

しっかり鬼の妖力を感じろ

今のお前なら見つけられるはずだ。」


雅が後ろから歩きつつ凛桜に告げる


……今まではこういう時絶対に煽ってきてたのに

一体どうしたのか?


だが、雅ができると言うのなら…


凛桜は目を瞑って大きく息を吐く



大丈夫。ずっと練習した

集中して周囲の妖力を把握する…

手前から徐々に範囲を広げて……



「いた!!前方70mくらい!」



妖力を足に集中させて一気に駆け出す


気付いた鬼は慌てて駆け出すが

凛桜は瞬時に追いついた


鬼と対峙し、まっすぐその目を見る


………赤黒い。抹殺対象だ。


凛桜は刀を構える


「一瞬で、苦しめずに終わらすから。」


集中して鬼へと向かっていき、刀を振り下ろす



その瞬間鬼は声も発さずに黒いモヤとなって消えた



"妖が煙のように消えたら抹殺完了だ。

逆に、消えなかったらまだ魂が体に残っている。

反撃される前に確実に殺せ。"


雅の言葉通りなら抹殺出来たのだろう。


凛桜は力が抜けたようにその場に座り込む


殺した。自分が。この手で命を終わらせた。

達成感や罪悪感…複雑な気持ちが渦を巻いている


「これに慣れないといけないのか……」


時間はかかるだろう。

だが慣れなければ…自分が救える命も救えなくなる。



よし。大きく息を吸って上で見ている雅を見上げる


「雅。次の任務に行こう」



――――


妖力を使って見事鬼を見つけたな。


雅は凛桜が鬼に向かって走って行くのを

近くの廃ビルに座って見ていた。


鬼を追い詰めた凛桜

刀の構え方も大分板に付いてきた。


「さぁ……ここからだな。」


命を殺める…それは初めてだと結構失敗するものだ。


過去の自分も苦しんだ記憶がある

切った時の感覚、切られた時の断末魔

今でも思い出す事があるくらいだ


心優しい凛桜には苦しいかもしれない

殺せずに反撃される可能性もある…

いざという時は助けに入るつもりだ。


凛桜が鬼に向かって行ったのを見て

刀を構える。………が


「おぉ…迷いなしか…」


まさか一太刀で殺すとは……


一発で真っ二つに鬼を切った凛桜を見て唖然とする


綺麗な…完全に殺すための切り方だった。

それを初めての任務でやり、実際一太刀で殺した。


「ん?あれ?大丈夫か…?」


……と思ったら急に座り込む

その体は少し震えており、余計小さく見えた。


優しいクセに殺す時は容赦しない


そしてあの目…。

訓練時もだが、

何かに挑んでいる凛桜の目にはどうも心揺さぶられる


立ち上がった凛桜に声を掛けられ

雅は静かに凛桜の元へ降りていく


先程の震えていた少女とは思えない凛々しい顔だ。



「ほんっと…面白いねお前は。」



雅は小さく笑った











初任務です。

凛桜の覚悟、雅の気持ち

それぞれを感じて頂ければ嬉しいです。


次回は少し時が経ち…

とある任務と凛桜のお話です。

引き続き宜しくお願いいたします。

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