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夜空の渡り人  作者: 澪露
全てのはじまり
22/104

初任務

――翌日――


「よし。では行こう」


……これと一緒に人の世を歩くのか…


夜も深けた22時頃

初めての任務に向かう為準備をして外に出てきた凛桜は雅の姿を見て渋い顔をした。


人の世…

特に人が集まる夜の街へこれから行くというのに

この顔面偏差値高めの隣を歩く…

服装も人に紛れる為に年相応の洋服を来ている。

パッと見どこかの俳優?という位には仕上がっている


「あの…もうちょい顔隠すとか出来ます?」


人だかりが出来て任務どころでは無くなるだろう…


「俺結構かっこいいでしょ」

「黙れ腹黒。」


顔の良さは認めるがそれ以上でも以下でもない。


凛桜は溜息を吐く



こんな言い合いが出来るくらいにはまだ自分は落ち着いている。


だが、今日自分は妖を殺しに行くのだ。

腰には目立たないように小さくした刀を携えている。



この刀は妖力を注いだらすぐに元の形に戻るようになっているらしい。


抹殺対象の妖がいたら

自分の妖力で刀を元の姿に戻して切る。


言葉で言うのは簡単だが…



浮かない顔をしている凛桜の頭を雅の手がポンと叩く


「おい。やるって決めたんだろ。

大丈夫、今のお前なら大体の野良は敵じゃない。

そして任務の遂行には抹殺は必須だ。

だからこそせめて一発で仕留めてやれ」


雅の言う通りだ。

自分に出来ることは苦しまないように消滅させる事。


「わかってる。頭領としてちゃんと任務は遂行する」


大きく深呼吸をする


「よし!行こう!」


覚悟を決めて歩き出した凛桜を雅が慌てて引き止める


「待て待てどこに行くつもりだ!」


「どこっていつもの里の出口…鳥居だけど?」


キョトンとする凛桜を素早く抱え上げて飛び立つ雅


「今日は里の者しか知らない出入口から行く。

落とされたくなければしっかり掴まってろ」


「ちょっ!!あの!

飛ぶの初めてなんですけどぉぉぉ!!!!」



凛桜の叫び声は夜空に響き渡った




――――


ザワザワ……ガヤガヤ…


人の喧騒に紛れて天狗が建物の影に降り立つ


「どうでした?初めての空の旅は?」


羽をしまいながら得意げに凛桜を見る


「まぁ…結構良かったといいますか…?

羽欲しいって思ったね…」


季節的に寒さは大分キツいが

それでも風に乗って空を飛ぶのは

とても気持ちが良かった


「……帰りも飛んでくれる?」


凛桜の問に雅は笑いながら頷く


「もちろん、ちゃんと仕事終わったらな!

さて、ではまず害のある野良の見分け方だが…」


雅が建物の影から大通りの方を指さす


「人に取り憑いている場合は

取り憑かれてる人間の周囲に黒いモヤが見える。

中にはモヤが見えないくらい弱い妖や

モヤを隠せるくらい強い妖もいるが…

とりあえずはモヤを頼りに探せばいい。

では、取り憑いている妖を殺すにはどうする?」


「まず、対象の人間に妖力を流して

取り憑いている妖を引き剥がす。

その後眼を見て赤黒く変化していたら…殺す。」



完璧な答えに雅が満足気な笑顔になる


「流石だ。じゃあ早速探しに行こうか」



雅が凛桜の手を引いて人混みの中へと入っていく


赤黒い眼。

まだ実際に見たことは無いが

人に害を与え、人の精気を吸ったもの…

その妖は目の色が赤黒く変わるらしい。


周囲の人間を確認しながら人の波に飲まれないように

雅の手をぎゅっと握る



友達と話しながら歩いている人

腕を組んで仲良さそうに歩いている人

仕事終わりなのか、スーツ姿で歩いている人


様々な人が入り交じっている中………



少し先に黒いモヤが見えた



「雅、あそこ。…50m先くらいの男の人…」


雅に耳打ちする


「ほんとだな。では始めようか。

何かあったらすぐ助ける。まずは一人でやってみろ」


雅と共に男性に近づいていく

近くで見ると男性の顔が大分やつれている。

精気を吸われた影響だろうか…?

このまま吸われ続ければこの人の命は消えるだろう。



この人を助ける。その為に妖を殺す。



凛桜は覚悟を決めて妖力を男性へと向けた







命を助ける為に命を消す。

きっと凛桜の心中は複雑なのだと思います。

それでも頭領として渡り人として…苦しみながらも凛桜は成長していきます。

是非応援よろしくお願いいたします

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