お披露目
――お披露目当日――
凛桜は控え室で着付けなどお披露目の準備をしていた
「……緊張する…」
凛桜は大きく深呼吸をする。
どこから漏れたかは不明だが、雅曰く
各里にも烏天狗の里に新しい頭領が来たというのは
伝わっているらしい。
歓迎してくれている里もあれば
たかが小娘に……と思っている里も多いとか
雪は優しく凛桜の背中を撫でる
「大丈夫よ。
今の凛桜ちゃんはどこに出しても恥ずかしくないわ!
姫様は我が里の頭領として堂々としてればいいのよ。
まぁ何か言ってくる里はあると思うけど、
そこは族長の雅がどうにかする問題だからね!
でも…それでも言って来る輩には…どう対処する?」
どう……とは?
黙ってやり過ごすのもアリな場合はあるだろうが、
下手すれば余計下に見られる可能性もある…
かと言って実力行使は危険すぎる…
悩む凛桜を見て雪はニッコリ笑う
「いい?
大事なのはいかに相手の流れに乗らないか…
そして自分の流れに引き込む為に
相手を動揺させるのよ。
凛桜ちゃんだからこそ出来る必殺技があるの…
1回しか使えないんだけど………」
そう言って雪は凛桜に耳打ちする
………なるほど。これは確かに一回しか使えないが
私を低く見ている人達には効果的だろう
「わかった。いざと言う時はそれする!」
凛桜と雪は顔を見合わせて笑った
コンコン…
「雅だけど…入りまーす」
雅は部屋に入った途端固まる
雪はそんな雅を見て自慢げに胸を張る
「どうですか!凛桜ちゃん綺麗でしょ!
お披露目では第一印象で見くびられないようにしないとだしね…頑張りました!」
「今日はよろしく…雅……」
秘密基地の一件から、
雅はあまりからかってこなくなった
楽だから良いが、それはそれで気持ち悪い……。
「よろしく。
……まぁ頭領らしさは出てるんじゃないか?」
雅は書類を凛桜に渡しながらつぶやく
「今日参加している人達のリストだ。
以前渡したのと変更点はないが…一応渡しとく」
雅がくれた書類には
お披露目に参加する各族長と頭領の名前が載っている。
上から白狐族、たぬき族、女郎蜘蛛族……
大体30くらいの里、計60名程が自分を品定めに来る
「…頑張ろう。」
この1ヶ月間。自分に出来ることは全てしてきた。
後は堂々とする事に集中しよう。
「姫様、雅様。お願いいたします。」
呼びに来てくれた侍女が2人を呼ぶ
「さぁ!行きましょうか姫様。」
凛桜は大きく深呼吸をして
雅のエスコートを受けながら会場へと歩き出した。
――――
会場内は
集まった各里の族長、頭領の話し声で満ちていた。
約60名の来客を前にして
烏天狗族の隊長達はため息をつく
「今回の頭領は年端もいかない女だとか…」
「それにまだ妖力を操りきれてないらしいわよ?」
「いや!操るだけの力がないと聞いたが?」
隊長達は凛桜や族長と共に任務を遂行している部隊の長だ。
そんな隊長達はこの1ヶ月間努力していた凛桜を
同じ訓練所での鍛錬時に見ている。
そんな自分達の長が貶されるような噂話に怒りを感じていた。
「烏天狗族頭領 凛桜様!族長 雅様のおなりです!」
進行役の声が会場に響く
皆の目が一斉に入場口の扉へ向いた
扉が徐々に開く
現れた烏天狗族の頭領………
その姿はとても18歳とは思えない
気品を纏った一人の人間だった。
「……………。」
ゆっくり歩いて行く凛桜を皆が見つめている
雅は凛桜の半歩後ろを歩きながら周囲を見渡す
……第一印象はまぁまぁってところだな。
警戒を強める者、見惚れている者、なんとも思ってなさそうな者…
少なくとも"ただの小娘"と言う認識は消せた。
後はいかに頭領としての気迫を見せられるかだ。
雅は凛桜の手を取り、壇上の椅子へと誘導する。
「皆様。
本日は我が里の頭領お披露目にお越しくださり、
誠にありがとうございます。
これより、頭領よりご挨拶の後
各里の皆様との交流に移らせて頂きます。」
雅は一礼して凛桜の隣に立つ。
さぁ凛桜…頭領としての格を見せつけてやれ。
お披露目…いや、他の里との牽制の始まりだ。
とうとうお披露目当日です!
新キャラは次回になっちゃいましたが…
凛桜の頭領としての初仕事です!
これから様々な妖との物語が始まります。
凛桜を取り巻く環境は楽しく、時に苦しく変わっていきます。
ここまでで沢山の方に小説を読んで頂き、本当に嬉しい限りです。
これからもより一層励んで参ります。
是非今後とも応援頂けますと幸いです。




