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夜空の渡り人  作者: 澪露
全てのはじまり
18/102

雅と本心


……なんの音もしない。


無事秘密基地を見つけた雅は静かな森の中で

耳を澄ます


物音一つしない秘密基地。

だが微かに中から人の気配を感じる。


警戒しつつ秘密基地の中を覗く雅



「……なんだ寝てるのか」



子供たちに囲まれ同じように寝ている凛桜を見つけて

ほっと息を吐く



………。


随分とあどけない顔だ。

それもそうだ、彼女はまだ18歳。

本来はこれから様々な楽しみを知っていく年頃だ。

……こんな大きなものを背負う歳ではない。



「悪かった。」


凛桜を起こさないように呟く


黒丸との出会いが偶然とはいえ

この世界に来るよう仕向けたのは自分だ。

それなのに逃げ場を無くすために

凛桜自身がこの道を選んだように仕向けて

煽って…追い込んだ。


強い頭領になってもらう為に

この世界で潰れてしまわないように…


そうまでしないといけないくらい

この世界は弱肉強食だからだ


そしてその事を凛桜は明日のお披露目で

嫌という程感じるだろう


凛桜が烏天狗の頭領になったと言うことは他の里も

既に知っている。

たかが18の小娘が……という意見も多数耳に入る。


明日のお披露目は凛桜にとって苦しいものになるだろう


…だが、彼女を守る為に族長であり側近の俺がいる。

例えこの先どんな困難で苦しもうが…


「絶対、守ってやるからな。」


雅は凛桜の髪に優しく触れた。



――――



「…………んぁ?」


秘密基地に差し込む光がオレンジ色になっている

子供たちと遊んだ後すっかり寝てしまったようだ…


子供たちを起こさないようにそっと体を動かした凛桜


「………雅?」


秘密基地の入口には静かに夕日を眺める雅がいた


「起きたか。全く…急に屋敷から居なくなるな。」


……確かに。伝言をすっかり忘れていた


「ごめん。もう夕食の時間くらいだよね?

すっかり寝ちゃってて…

子供たちもお家に送らなきゃね」


スヤスヤと眠っている子供たち

その愛らしい寝顔につい笑みがこぼれる凛桜


「今日ね、街に行ったんだけど

みんな声かけてくれたの。リンゴもくれて…

凄く嬉しかったんだ。」


凛桜は子供たちの頭を撫でながら話す


「私この里に来てから

一回も寂しいって思ったことないの。

昔と比べ物にならないくらい毎日笑えてる。

家がこんなに落ち着く場所だって事も初めて知った」


凛桜が雅を見て笑う


「苦しい事もあるけど、

この里の頭領になれて良かったって思ってる。

明日は他の皆にもそう思って貰えるように頑張るね」



あぁ………そうか。

なんておこがましいんだ俺は。

凛桜は守ってもらう事なんて

少しも期待していないじゃないか



「もう、お前は立派な頭領だよ。


街の人も凛桜の頑張りや優しさを知ってるから…

この里の長と認めてるからみんな優しいんだよ。

全てお前自身の努力の結果だ。」



凛桜は驚いて雅を見る


「………驚いた。雅がからかってこないなんて…

お腹でも痛いの?」



…こいつは俺のことをなんだと思ってるんだ。


「はぁ………まったく…」


この1ヶ月、1番近くで凛桜を見てきた

泣いたり笑ったり苦しんだり怒ったり…


この小さな人間が与えてくれる刺激を

心から楽しんでいる自分がいる。


この人間のことがもっと知りたい…。

こんな気持ちは生まれて初めてだ。



「やっぱお前、見てて飽きないわ」



凛桜のキョトンとした顔を見て笑いながら

雅は寝ている子供達を抱きかかえる



「早く帰って夕食にしよう。

終わったら明日の最終確認な」




山を降りる2人と子供たちを包むように

夕日が優しく照らしていた



この1ヶ月で雅の凛桜への気持ちが変化する…

このお話は一見地味ですが、

雅の変化のきっかけを書くためにどうしても書きたかったお話です。


次回はいよいよお披露目へとお話が進んでいきます。

新しい妖も出てきますので楽しんで頂けると嬉しいです

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