秘密基地
――里の中心部 街中――
「おや黒丸!もう謹慎は解けたのかい?」
「おう!もう遊び放題だぜー!」
街の天狗に声をかけられた黒丸が元気に返事をする
……こいつ反省してるのか?
凛桜は苦笑しながら街中を見る
随分活気がある場所だ。それに……
「ひーめーさーまぁー!!」
「これ持ってきな!!リンゴ好きかい?!」
沢山の天狗達が声をかけてくれる
この1ヶ月、
訓練等であまり里の人と関わることが出来なかった。
てっきりまだ怖がられていると思っていたが…
「……ありがとう、いただきます」
どうも凄く歓迎してくれる
「凛桜はーやーく!早く!走れ!リンゴは食べる!」
「はいはい…」
急かす黒丸をしっかり抱え直して街中を走る凛桜
秘密基地のある山がどんどん近付いてくる
「違うこっち!この奥にあるんだってば!」
耳元で騒ぐなうるさい…
黒丸の滅茶苦茶な案内を受けて山の中を走る
「お?」
急に山の中の開けた場所に出た
その広場の中央には大きな木…いや、ツリーハウスだ
おぉ……これは凄い。The秘密基地だ。
凛桜は驚きながらツリーハウスへ歩いていく
「おーい!凛桜連れてきたぞぉー!」
黒丸の声でツリーハウスから子供の顔が覗く
黒丸と同じくらい…若干幼い子もいる
「…リンゴ貰ったけど食べる?」
凛桜の言葉に目を輝かせる子供たち
……可愛い。可愛すぎる
凛桜は笑いながらツリーハウスに入る
ちょうどおやつの時間。
ツリーハウスはリンゴの香りと
子供達の笑い声に包まれていた
――屋敷内――
「……。どこに行ったあいつは。」
雅は屋敷内で凛桜を探していた
夕食の前に明日のお披露目について話したかったんだが…
「ここまで探していないなら屋敷外だな…
すまん、姫様見なかったか?」
すれ違った屋敷の使用人は雅の質問に
笑いながら答える
「あぁ!姫様なら黒丸様と一緒に街中に降りて行かれましたよ?黒丸様がそれはもう楽しそうで…!」
黒丸…?街中………
「わかった。ありがとう」
…謹慎が解けてはっちゃけている黒丸と
街中に慣れていない凛桜
「嫌な予感しかしないな…」
雅は急いで街中へ飛び立った
「姫様リンゴ持ってたー」
「黒丸様を抱っこされて走ってましたね…」
「姫様?それなら黒丸様と山の方へ行かれましたよ」
凛桜がリンゴと黒丸を持って山に行った。
「なんで……?」
山に行く理由が全くわからん…
闇雲に探せるほど小さい山ではない…
凛桜の性格はこの1ヶ月でなんとなくわかっている
あいつは誰にも言伝無しで外出はしないはず
となると、恐らく黒丸が連れ出したんだろう…
だが山に?
「…あっ!秘密基地か!」
過去、黒丸に1度連れて行ってもらったことがある
その時から大分経っているが…可能性はある
……山には動物が沢山いる。
中には毒を持っている生物も。
空を飛べる天狗は逃げようがあるが、
凛桜は逃げられないかもしれない。
雅は急いで山へ向かった。
ほのぼの回です
里の中もいずれ詳しくご紹介出来たらいいな…と思ってます。
さて、今回初めて雅視点で書きました!
次回も雅視点で書きますので
楽しみにして頂けると嬉しいです




