凛桜の告白
「殺す………?」
怯える凛桜を見て雅が話す
「まぁ、
まだそこまでの妖力は凛桜じゃ解放出来ない…
と思うけど、いずれはちゃんとコントロールしないと最悪そうなるよってだけ…
妖力は身体の中を流れている。
それを解放しすぎて一線を超えたら…
全身の血液が沸騰して体内から焼かれていくらしい」
……なんで早く言わないんだ。そんな大切なこと…
「もし…もし今私が暴走したら…どうすればいい?」
今暴走する可能性がゼロではないのなら…
いざと言う時の対処法を知っておきたい。
雅は続ける
「今の凛桜ならさっきみたいに俺の妖力で押し込められる。
けど、凛桜が妖力の扱いに慣れて
より多くの妖力を使えるようになった時の暴走は
直接誰かの妖力を体内に入れて抑えるしかない。
で、そこまでしないといけない場合…
凛桜の妖力との相性とか力の差も関係するから
正直一か八かだね」
自分の力が自分を殺す…想像しただけで身震いする
だが、この力を使いこなさないと頭領としての役割は果たせない。だがあまりにも怖すぎる…
凛桜は必死に体の震えを抑えようとうずくまる。
そんな凛桜を見て
雅は溜息をつき、凛桜の前でしゃがむ
「おい。ここで止めるか?」
凛桜は顔を上げる
……は?こいつは何を言っている?
「やめるって…何を?」
雅は立ち上がり凛桜に背を向け歩き始めた
「何って全部だよ。妖力のコントロールも訓練も。
別に礼儀作法と内政だけ勉強すれば
まぁ頭領としてじゃなくてもこの里にはいられると思うし…俺は別に全てを強制するつもりは無いぞ?」
……強制するつもりは無い?
「はっ…良く言うよ、こんの腹黒…!」
雅を睨む凛桜
何が "強制するつもりは無い" だ…!
頭領になるのを断って里を降りてれば
死にかけてたって言ったのはお前だろうが……!
雅が凛桜の言葉に足を止める
「……おい…カラスは耳が良いって言ったはず…?!」
雅は言い終わる前に
飛びかかってきた凛桜の刀を受け止める
それでも全力で刀を振るい続ける凛桜
「本当にっ!お前は!一言多いんだよ腹黒ぉ!」
凛桜は怒りに任せて雅へ攻撃を仕掛ける
そんな凛桜を煽るように軽やかに攻撃を避ける雅
「あははっ!なんだ怒ってんのか凛桜!
何に対して怒ってんのか知らんけどなぁ…?」
雅が凛桜の刀を素手で掴んで止める
「八つ当たりはやめろ凛桜。刀が可哀想だ。」
……何にイラついてんのかわかってんじゃん。
凛桜は息を切らしながら刀を下ろす
そう。わかってる。完全な八つ当たりだ。
強制されたとか思ってるが、
実際…頭領になる事、五峯神の任務を遂行する事
全て決めたのは自分自身だ。
なのに今更この力に恐怖を感じている。
里を守る為に使うと決めた力を……。
そんな自分に腹が立つし…情けない。
凛桜は深呼吸をする
そう。全て自分が決めた事。自分が選んだ道だ。
今更怖気付いてどうする?
「………。」
凛桜は雅をジッと見る。
雅…この腹黒の性格は最悪だ。
だが、私を成長させようとしてくれているのもわかっている。
だからわざわざ煽るような事を言ってくるんだろう。
そうわかってても尚腹立つが。
「雅。私はお前が大っ嫌いだ。すぐ煽るし…
…私は!褒められて伸びるタイプなんだよ!!」
「………はぁ?!」
突拍子も無いことを言われて唖然とする雅
凛桜は再度深呼吸をする
落ち着け。雅は最低な奴だが…
不可能な事を嘲笑うような人ではない。
つまり、煽るということは
今の私は妖力をしまうことが出来るくらい
この力をコントロールできてるってことだ……!
凛桜は目を閉じて刀を構える
さっき雅が手伝ってくれたお陰で
妖力を抑える感覚は掴めた
あとは再現するだけ……!
凛桜の呼吸と共に
徐々に凛桜の周りの妖力が薄くなっていく
「…やれば出来んじゃん」
雅は妖力をしまっていく凛桜を見て近寄る
瞬間、一気に妖力を解放した凛桜は
雅へ向かって瞬時に距離を詰める
「なっ?!」
ガキーーン!!!
雅の刀が宙を舞い、勢いよく地面に刺さる
「……褒めて。」
尻餅をついた雅へ刀を突きつける凛桜
「………良く…出来ました……」
驚きつつ降参のポーズをする雅
昼の明るい太陽が照らす訓練所
「……ホントに何してんだかあの二人は…」
笑いをこらえる雪は静かにその場を後にした
雅と凛桜の戦闘シーンは書いてて楽しいです。
この2人のやり取りも大分楽しく書かせてもらっています
皆さんにもそう思って頂けてると嬉しいです…!




