館の奥へ
頭まで水に浸かった感覚がして数秒後、
「おぉ!!」
「すげ……、」
銀と雅の声で凛桜をそっと目を開く
「………うわぁ!!!」
そこに広がるのは巨大な石造りの館。
そのまわりには色とりどりのサンゴと海藻が雰囲気を一気に明るくしている
呆気にとられている3人を見て楽しそうに笑う凪冴
「お気に召して頂けたようで何よりです。
早速、主の元へと向かいましょうか。」
感嘆詞しか発さない3人を、
凪冴はゆっくり館の方へと導いて行く
やがて、館の正面に降り立った一行は
目の前に立っている数人の人魚から一礼される
「各属性を持っている者達です。
雅様はそちらの、銀様はこちらの者の方が体への負担は減るかと。」
「雅様、少しの間ですがお手をどうぞ?」
輝く銀髪を揺らめかせながら綺麗に微笑む美女
「…よろしく。」
雅がその女性の手を取り、妖力を受け渡される
「綺麗な人………」
そう呟いた凛桜をチラッと見た雅は眉を顰める
「アハハ!雅、顔に出ておるぞ。」
銀は笑いながら、少し遠くに佇む少年へと目を向ける
「お主が火の妖力の持ち主だな?よろしく頼む。」
「は、はぃ!」
緊張した面持ちでヒレを勢いよく動かした少年は
バランスを崩して銀の目の前で倒れ込んでしまった
「お、大丈夫か?怪我は?」
銀は少年の前にしゃがみこみ、顔を覗き込む
恥ずかしそうに首を縦に振る少年へ銀は笑いかける
「そうか。泣かなくて偉かったぞ!
……よいっしょ!」
銀は抱き上げて優しく抱きしめる
「こっちの方が移動しやすいだろう?
さぁ手を握ってくれるか?」
少年がコクッと頷いて銀の手を握る
そんな姿を見て銀は優しく微笑んでいた
「すみません銀様…土地柄、火を扱える人魚はその子しかおらず…」
「構わん、子供は大好きでな!」
凪冴に笑いかけた銀は
既にリラックスしている少年と楽しそうに会話を始めた
その姿に安心したように微笑んだ凪冴は
凛桜の手を引き歩き始める
「凛桜様は引き続き私がお連れ致します。
主はこの館の奥に居られますので、
早速行きましょうか。」
「はい、よろしくお願いします……」
凛桜は流れるようなエスコートを受け、
少し戸惑いながら凪冴の隣を歩く
「ほれ、お前も相手を困らせるな。」
銀はしかめっ面のままの雅を置いて軽やかにスキップをしていく
「どうじゃ?二本足だとこんなのも出来るぞ!」
歓声をあげる子供と笑いながら奥へと向かう2人を見ながら雅は溜息を吐いた
実は大の子供好きの銀様。
黒丸はもちろん、白狐族の子供達からもかなり慕われています。言わば近所のおばちゃん的存在ですね。




