不穏な執務室
数日後。
朝早く雪に叩き起こされた凛桜は
欠伸をしながら自室を出る
ドアの前にいるのは
綺麗な白い尾を揺らしている妖艶な美女
「………銀様、毎回急すぎますって…」
銀は笑いながら
まだ欠伸をしている凛桜の手を引っ張る
「ハハハ!今回は急用だから許せ。
とりあえず腹ごしらえが先だ!」
「待って……せめて後30分は寝かせて下さい…」
凛桜は顔を顰めながら
引き摺られるように廊下を歩き始めた
「………なんで凛桜の隣座ってるんですか。
そこ俺の席なんですけど!」
「うるさいぞ雅。
早く来なかったお前が悪い。」
「もう居る事については言及無いんだ…」
ご飯の良い匂いが漂う机を囲み、
自分の右側で騒ぐ二人に苦笑して凛桜は呟いた
「んで、何か用ですか?
まさか何も無いのに事前連絡も無く来るわけ無いですよねぇ?」
雅は凛桜の左側に椅子を持って来る
「お前のその膨れっ面を見る為に来たって言ったらどうする?」
「………っこんのクソバ
「挑発に乗るんじゃないバカ。」
手に風を生み出した雅を制しながら
凛桜は銀を見る
「けどほんとに何かあったんですか?
急用とか仰ってましたけど」
「そう、それなんだがな…」
銀はニヤッと笑う
「人魚の里、行ってみたくないか?」
「人魚?!」
凛桜が身を乗り出す
「そう。しかもあの巫女が最初の渡り人として契約した里だ!」
「行く!!」
目をキラキラと輝かせる凛桜と、
笑顔で白米を口に運ぶ銀
「……なんであんたまで飯食ってんだよ!」
雅は大きく息を吐いてお茶を飲み干した
――――
「んで?
人魚の里についてちゃんと説明してくださいよ。」
朝食を食べ終わった雅達は
凛桜の執務室に集まっていた
「もちろん、まずは事の経緯から話そうか。
まず、前の話し合いの後に私も里の方で色々調べたんじゃが……」
銀は顔を曇らせて雅と凛桜を見る
「何故か当時のものではなく
かなり後に作られた書物しか無かった。」
「こっちの里と一緒だ………」
凛桜の呟きに銀は頷く
「私達だけではない。
連絡が取れる全ての里で同じ事が確認できた。」
「全ての里?なんで……そんな事を…」
顎に手を当てて考え込む雅
「私も不思議に思ってな…
問い詰めてみたんじゃよ、里の長老にな。」
そこで一旦話を区切り、周囲を確認する銀
「長老が言うには、五峯神の指示だったそうじゃ。」
小声でそう話した銀は更に顔を険しくする
「恐らく、五峯神は黒龍の一連について何か隠しておる。全ての書物を書き換えさせるくらいの何かを。」
「何かって……」
不安そうな凛桜の声、押し黙る雅
そして険しい顔のまま首を振る銀…。
執務室の中には暗い空気が漂っていた
謎が一つ解け、当たらな謎に変わりました。
引き続きよろしくお願いいたします!




