限界点
同時に駆け出した3人はそれぞれ違う場所で飛び上がる
錫が茨木童子の頭上に炎の玉を振り下ろし
意識が上に向いた瞬間、凛桜は左足、雅は右腕へと
刀を食い込ませる
「グァアッ!!!」
「腕いきます!!」
両手に青い炎をまとった錫が
凛桜が付けた傷跡目掛けて炎を放出する
肉が焦げる臭いと茨木童子の絶叫…
「……効いてるんじゃないかこれ?」
雅の言葉に凛桜と錫は頷く
「次の攻撃で左腕落とせたら…?」
攻撃力一気にダウンじゃない?!
爛々と目を輝かせる凛桜に雅は少し顔をしかめる
「そうかもしれないが…
凛桜、大丈夫か?光が…なんか弱くなってる気が…」
雅に錫も続いて心配そうな顔をする
「そうですね…力を得てからずっとその姿なら
知らぬ間に体に限界が来てるのかもしれません。」
「そう……かな?自覚は無いけど…。
けど気を張ってる疲れみたいなのは感じる。」
手を開閉しながら凛桜は2人を見る
「とりあえず左腕、そこから四肢を切り落として…」
「最後に首を落とす。鬼の戦い方では定石だな。」
3人は顔を見回して同時に頷く
「僕は引き続き切り傷を焼いていきます。」
「わかった。頼んだよ錫!」
熱を体に溜めて再度両手に青色の炎を宿した錫を残し、凛桜と雅は痛みに暴れる大きな鬼に駆け出して行った
――――
「右!!」
「はい!」
雅の声が辺りに響き渡った瞬間、
陽炎に包まれた錫が鬼の右足を炎で覆い尽くす
「ギャァァァアア!!!」
「次!右腕ぇ!!」
凛桜が刀を振り切って叫ぶ
「凛桜!まだ無理だ…!もう一撃入れろ!」
雅の声で凛桜は再生しかかっている右腕に
再度刀を打ち込んだ
「……ありゃっ?」
急に刀を握る手が緩み、浮力も消えた
「凛桜っ!!!」
真っ逆さまに落ちていく凛桜を
間一髪で受け止めた雅
「ごめんっ!ありがとう!」
そう言って気まずそうに苦笑する凛桜
その目と髪は黒に戻り、
いつもと何ら変わらない姿に戻っていた
「凛桜……体はなんともないか?」
「うん。力が抜けた感じはあるけど…
力の制御練習の後みたいな…そんな感じ?」
雅の腕から立ち上がった凛桜は茨木童子を見て
刀を握り直す
「凛桜、止めんか阿呆。」
突如後ろから聞こえた声に雅と凛桜は振り返る
「「銀様?!」」
「な……んでここに?」
そう尋ねる凛桜の手から刀を取りながら銀は笑みを浮かべる
「なんでって…黒鱗を殺して暇になったからな。
若者の戦いを見守ってただけじゃよ。」
そう言うと、銀は凛桜をヒョイっと担いで歩き出す
「凛桜は私が護る。後はお主らであの鬼を倒せ。」
「わかりました。凛桜をお願いいたします。」
一礼し、鬼へと走り出した雅を
凛桜はゆらゆら揺られながら見つめていた
凛桜の身体の変化、茨木童子への攻撃の仕方…。
様々な事が起こった1話でした。
引き続きよろしくお願いいたします。




