表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜空の渡り人  作者: 澪露
全てのはじまり
10/100

渡り人の特権

執務室に入る凛桜と雅。


執務室は案外シンプルな部屋だったが、

家具の一つ一つが良いものである事は凛桜にも把握できた。


部屋の中央の机を挟んでそれぞれがソファに座る


「では…これからの話だが、

まずは烏天狗の任務と渡り人との契約について

話させて貰う。

万葉先生が車で話していたが

我々里を持つ妖は五峯神からそれぞれ任務が与えられている。

烏天狗の任務は…この国の守護だ。」


雅は凛桜の反応を見ながら話す


「守護…とは曖昧な言い方だが…簡単に言えば、

この国にとって害となる妖の抹殺だ。」


抹殺……急に物騒な話だ。


「里を持っている妖は全て五峯神の任務を遂行して

この国の治安維持に務めている。だが中には野良と呼ばれる、里を持たずに生きている妖も多数いる。

野良は人の世に紛れて人に取り憑いたり、

人に危害を加えることがある。

そんな野良を抹殺して治安を維持するのが我々の任務だ。」


凛桜は不安を感じつつも雅の話を静かに聞いている。この任務が治安維持に必要不可欠な事だということは理解出来る。

だが、正直…殺すという行動に恐怖の感情が勝る。


「殺す……しかないんですか?」


そう聞いた凛桜に雅は淡々と告げる


「殺すしかない。そうしなければいずれ大きな勢力になるかもしれない。

もう二度と……百鬼夜行は起こしてはならないんだ。

もちろん、無闇矢鱈に手をかけるわけではない。

悪意の無い野良を殺したら上から罰が下る。

我々はあくまで任務を遂行するだけ。

だがな…少し厄介なこともある。例えば…」


雅が凛桜を指さす


「例えば、

妖力の持った人間が野良とつるんでいた場合とかだ。

烏天狗の任務は、あくまで妖の抹殺。

だから、俺達では人間側に危害は加えられないんだ。


だけど、人間である渡り人なら出来る。


凛桜なら人間への攻撃、拘束までが五峯神の許可無しで行える。

だからこそ、烏天狗的に渡り人は必要不可欠な存在なんだ。俺達は何があっても人間に攻撃は出来ない。

例え人間が攻撃してきてもね……」


力の差がある妖と人間だからこそ、

一見理不尽に見える契約で妖を抑えるしかないのか…


それに唯一反することが出来る渡り人…


「けど、渡り人にも決まりがある。

人を殺してはいけない、無害な妖に危害を加えない。

というルールだ。

もしこの決まりを破れば…



俺がお前を殺す。

族長である俺にはその特権が与えられている。」




凛桜は固まる。雅はそんな凛桜を見て笑う


「ははっ!まぁお前の性格上大丈夫だろ!

だが………前もそう思っていたんだ…」


前…?前の頭領の話か…


「前の頭領の話ですか?……聞いても…?」


雅は頷く。


静かに語り出した雅はどこか寂しい顔をしていた










渡り人としての任務が明らかになりました。

命を救った凛桜が、今度は命を奪う側になる…

凛桜の葛藤は計り知れませんね…


次回では過去の頭領と族長の事件が明らかになります。

楽しんで頂けたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ