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Meine Kapuze  作者: Kara
1/1

終わり


第一章:最後の自由な午後


暑い日の午後。

いつものように、俺たちは近所の小さな公園に集まっていた。


ブランコに揺られながら、リーンはぼーっと空を見上げていた。

頭の中では、自分が豪華なヨットに乗ってパーティーしている妄想にふけっている。

腕には高そうな時計。

まるで別世界の住人みたいに——自由そのもの。


「おい、リーン。お前、聞いてんのか?」


突然、フリーズがリーンの腕を引っ張った。


「えっ? あ、うん……言ってたのって……その……」


「お前、マジでクソだな。分かってんの?」


「ちょ、今日はほんと疲れてたんだって!」


「まあな。こんな安月給で働いてるのがバカらしくなるわ。金持ちになるのって、なんでこんなに難しいんだよ。もう帰るわ。」


「えっ? でも今日が最後だぞ。明日からはあの【学校名】だ。そしたら、もうこんな風に集まれなくなる。」


「だから?」


「……だからさ。俺、そろそろ本気出す。今のままじゃ、金持ちになんてなれない。でも、あの学校なら……チャンスがあるかもしれない。」


「勉強して、いい大学行って、働くってこと?」


「違う違う。俺が言ってんのは、あの学校には金持ちの子がいっぱいいるだろ? つまり……コネだよ。俺たちも街で名を上げられるかもしれない。クラブ活動とか、なんかに入ってさ。」


「まずは、同じクラスになれたらいいな。」


「同じになるよ。」とカラが口を挟む。


「なんでわかるんだよ?」


「だって、あの学校は国で一番レベルが高い。俺たちみたいな貧乏人は、同じクラスにまとめられるに決まってる。他のやつらに“影響されないように”ってな。」


「なんで俺たちばっか、こんなに苦労しなきゃなんねえんだ……俺ら、何か悪いことしたか?」


——いや、俺はしてるかもな。

カラはそう思いながら、何も言わなかった。


「でも、学校に行けるだけマシだよ。ここまで来るの、簡単じゃなかった。」


「それでも、ここまで必死に働いたんだ。普通、子供がこんなに働く必要あるか?」


リーンがにやりと笑う。


「でも、あの学校は違う。ただの学校じゃない。——俺たちを、金持ちにしてくれる学校なんだ。いつか、絶対にな。」


——金持ちにしてくれる学校。

カラも、心の中でそう呟いた。


「じゃ、明日な。初日はちゃんと寝とけよ。第一印象が大事だ。」


「うん、それがいい。」


フリーズは、どうせゲームで徹夜するつもりだ。

リーンは、緊張で一睡もできない気がしていた。


「そろそろ帰るか、カラ。」


三人は短く手を振って、それぞれの帰路についた。

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