第十九話
ハロルドは久しぶりの王宮に訪れていた。
すっかりここは寂れていた。
行き交うメイドと執事は変わらずだが、不安げな様子が窺えた。
男の子もしっかり着いてきている。
門兵に扉を交差させた槍が通せんぼうする。
「この先は王殿である。貴様は何用に来られたし者か?」
紙きれ一枚を門兵に手渡す。
「確かに、招待状刻印が押されてある。通って良いが気を落とさぬようにな」
門兵が扉の取っ手を開ける。
ハロルドの目の前に広がっていた光景は以前よりも激しい様相の雰囲気だった。
「ああ、あぁ。これが罰なのか」
見た光景は男女が踊り狂って、音楽と流れる曲に併せてーーーーー王が座っている場所に見知らぬ顔の風格を持った王族らしき人物達がいた。
ハロルドは自分たちがまだあの時にやっておれば済んだかも知れぬ出来事に愕然とするも人々の様子は貴族社会であったならよかった事だろう。
今は平民も貴族も平等と言う名の王家が崩れて早二年半。それでも雇っているメイドや執事などは名目上の礼儀作法に過ぎなかった。
共和連盟国になり、王族の権力も弱まったとこの時はそう思っていた。
時間の流れと言うにはとてもおかしかった。
豪族と呼ぶ番人、北のローデンラシアを治める商人ブルダジアと北東のヴォルックを治めるエルルダがいた。
この二人は各貴族から嫌われ者としている理由が平民混じりの貴族と蛮族と呼ぶ北のローデンラシアにある。
異民族が多く、語る言葉の違いから生じた軋轢は今より大きかった。
それが今では平然と、ここに招待されている時点で気が付くべきだった。
土足で踏み躙る王宮に、苛立ちを込めながらも抑え込み冷静に保つ。
ブルダジアは赤黒い髪を靡かせ、白のジャケットのような服装に合わせた分厚い靴と小型の銃らしき拳銃のような物を持ち合わせていた。
エルルダは女性でありながらも美しい曲線美を強調した服装と男性が着そうなマントと赤ネクタイを縛った変わった紋様を胸元に付けて王族の隣の席に座っていた。




