第十七話
古い庭先に立つ男は領主と呼ばれていた男だった。嘗てそうだった、そういう生き方しかできなかった男は家族や領民さえ見捨てられた場所で黙々と手入れをしていた。
男の名はハロルド・コンネーティー。
古代遺跡でも眠らない資源で有名だった場所はもう朽ち果てて寂れた館で働く男は花や草木に目もくれず土と灰に塗れた黒に染まった黒髪が囁くように靡き。ゆっくりと外れた広野に尋ねる。
「今夜に何の用だ小僧、わしに何の取り柄もなくなった爺に」
くすびた羽を折ったような少年が立ち、古びたマントと風備いた剣を持ち、両手に握り締めていたのは皺くちゃな紙だった。
「なんだ。これを見ろってことか」
少年は真っ直ぐ頷いて男の方を見つめる。
老いぼれ爺が手紙らしき紙を捲り、一枚一枚見る。
王宮招待状と書かれた内容の押印が押された封筒一式と手紙のような紙きれは不思議に帯びた魔法印があった。
「これを持ってきたからここに来いと、主ら言っておるのか」
頷く男の子はそっと寄り添い、一緒に行くというポーズみたいな仕草をする。
「呼ばれたから来いと言う訳でもないのだな、元魔導師国家代理ハロルド・コンネーティーはアフォルテ国家南方のエルダに向かうぞい」
ウンウンと、頷く男の子は子犬のように振る舞う。
エルダ、そこに住まう住民達は貿易や田畑を荒らし。上手い具合に溶け込み人々の共存という名の縛りを目した。
自由都市エルダ、それが通称の呼び名である。
警邏は皆優秀だった。だがある日の境に壊れた。
元々住宅地区だった場所にオルドと名乗る集団が集まっていた。
そこに住まうはスラム化してしまい、治安悪化を増加させた。
貴族にも影響を与え、国という運営が回らなくなるのも時間の問題だった。
やがて深部まで入り込み、浸食と言う名の崩壊が始まった瞬間である。
男達は立ち上がり、レジスタンスを組んだ。
オルド達は好き勝手に、住宅地区はなくなり。
そうして生まれた区間が貧民外層界になった。
ここに長く住む者なら理解している。




