3 側近、登場
一方。
こちらはアラバキ軍。
いつも通り事務的な仕事をこなしていくテツたちに、舞い込んだ手紙。
「J吉、遅いなぁ」
ちょうどそれは、ハルがそうこぼした時だった。
内容を確認するなり、テツが絶句した。
「やあおれだ。じぇいきちわおれがさらた。ぢゃあな、あばよ棒人限より、」
色々と間違えているところは多いが、恥ずかしがらずにテツはそれを音読し、下に正しく「やあおれだ。J吉はおれがさらった。じゃあな、あばよ、棒人間より——」と付け足す。
付け足し終えた時もう国王室は大騒ぎになっていた。
四人の国王には四つの役割がそれぞれ割り当てられている。頭脳担当は最年少のテツ、工作担当は最年少のハル、みんなを励ます勇気担当はこりどう、最後にみんなの頼れるルーキーのJ吉。
しかしどうやらこの依頼は、この世人だけでは解決ができなさそうで、面倒だった。
頼れるJ吉はゴリラテープのようなもので、ないと、丸太たちは転がり落ちて、思い思いの場所に滑ってしまうのだ。
「こうなったら、あいつを呼ぶか」
J吉に役割が重なっているところも多いが、お世話ずきで、テツたち四人の朝食などを作っているあいつに、任せるしかなかった。
テツは呼び鈴を鳴らした。「はいはーい」という声と共にハイヒールのカツカツという靴音が部屋に響く。
「水上です。誰が呼びましたか?」
スラリと背の高い白肌の大学一年生、J吉のお出ましだ。