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第57話 転移者特別法

本日3話目です。

 あれから直ぐに、女の子は再度意識を手放した。


 その時は、また仮死状態になったのかと焦ったけれど、口元に耳を近づければちゃんと呼吸をしていたので、恐らくは疲労によるものだろうと。


 とはいえこのままここで目が覚めるのを待つのも難しい。

 食べ物は焼けばあるのだから、野営道具でも持って居ればそれも可能だろうけど、やはりここは背負ってでも町へ戻った方がいいだろう。

 必要なら冒険者ギルドの医務室を借りても良いし。


 何よりグリーンフロッグが少し離れた場所で、早くどっか行けよと言いたいかのように俺に向けてゲコゲコ煩いので、それだけでもさっさと移動したくなる。


 そんな訳で、俺は彼女が戦っていたらしき場所に落ちていた、自然木で作られたワンドと三角帽子を拾い上げ、あまり入れたくないけどグリーンフロッグ1匹もマジックポーチへと入れ、彼女を背負って街道まで出る事にした。


「意識を失った人を背負うと、石を背負っているみたいに重いと言うけど、全然軽いな」


 歩きながらそう呟く。

 これもSTRとVITが上がった恩恵なのかと思えば、改めて凄い世界だなと。


 今の彼女は俺に全体重を預け、手は俺の前へとぶらーんと投げ出された状態。

 最初はお姫様抱っこで運ぼうかと思ったりもしたけれど、なんていうか、何となく恥ずかしかった。


 なので背負って居るのだけれど、これがまた。

 金属鎧なら感じなかっただろうに。


「うーん……これはこれで」


 言葉に出来ない恥ずかしさ。

 どういう事かと言えば、体はほそっこいのに、一部分だけが飛び出ており、それが俺の背中にむにゅぅっと。


 クッションのように程よい弾力が背中を刺激するものだから、童貞の俺には非常に辛い。


「ま、前から気付いていたけどね!」


 しかも先ほどは必要だったとはいえ、谷間に手を埋めてしまった。柔らかかった。とても柔らかかった。

 大きいと蘇生作業も大変なんだと知った事は、今後きっと何かの役に……。


「立つかよ!」


 違うとこが立ちそうだけど!


 などと思いっきり自分に突っ込みを入れた。

 でもそんな事を言えば当然のように邪念は晴れない。


 しかもローブ越しとはいえ、抱えるためにお尻を直接手で触っているのだから尚更だ。


 女の子って色んな所が柔らかいんだなあと新鮮な発見をし、あれやこれやともんもんと考えつつ、若干前かがみにもなりながら、早く街道へ出ないかなと帰路を急いだ。





「やっべ、もう来てる」


 街道へ出ると丁度馬車が到着した所だったらしく、既に先に待っていた冒険者達は全員が馬車に乗り込んでいる様だ。


 時刻は既に夕方の6時を回っていて、ここで最終便に置いていかれたら帰宅まで2時間コースで暗くなるぞと焦りを感じたのだけれど、幸いにも驚いた表情の御者のおじさんと目があったので、軽く頭を下げればおじさんも手を挙げてくれた。


 これで待ってくれるだろうけれど、それでも早歩きになる。


 馬車に近づくにつれ、やはりというか俺らは注目の的だ。


「良かった、来たようだね……あれ?」

「あ、司馬君遅かった……って、どうしたの?その娘」


 その中でも最近話をしたり、一緒の宿に泊まっているから食事も一緒にしたりしている相馬さん達のパーティーも居て、車上から見た異変に即座に気付き、聞いてい来た。


 他の冒険者達も気になるのか、何があったんだといった表情で俺の方をじっと見ている。


「ちょっとまずは乗るんで。……二人乗ります!」


 よく見かける御者のおじさんにそう告げると「はいよー」と返事が返り、手すりに手をかけられないのでそのままジャンプしながら馬車に乗り込む。


「しかし、今日はその子か。生きてるか?」


 後ろを振り向きながら女の子の顔を見て、御者のおじさんがそう言った。

 最近乗らなくなったのに、案外と顔を覚えて居るもんなんだなと。


「あ、はい。グリーンフロッグに飲み込まれそうになっていたのを偶然助けたんですよ」


 俺の言葉を聞いて、皆一様に顔が歪む。

 そこまで揃うかと思う程に馬車の中全員の顔が歪んだ。


「あ、あのカエルに飲み込まれたのか……」

「あらー……」

「それは災難だったね」


「でもその子って、最近見なかったけど……」


 絵梨奈さんも気付いていたらしい。

 俺は女の子を背中から下ろして、長椅子に寝かせながら言葉を返す。


「朝夕歩いて南西の森に行っているみたいなんですよ。ここ1週間くらい」


「なんで……」


「理由は分かりませんけど、数日前に見た時は、食事も満足にとれていないようにも見えましたし」


 その言葉で絵梨奈さんは目を見開く。

 魔術師である彼女には、それがどういう事なのかが瞬時にわかるのだろう。


「魔術師でそれは……まずいでしょ」


「とても不味いって俺も聞きました」


「どこかで切り詰めなきゃならなかったんだろうね。それが往復の馬車代だったり、食費だったり。もしかしたら、宿代も切り詰めているのかもしれないね」


 深刻そうな表情の相馬さんが、女の子が置かれている状況を予測した。

 恐らくは全部その通りだろうと俺も思う。


「そうでしょうね」


「そんなに……」


「仮にそうだとして、冒険者をやめるって選択肢はなかったのかな」


「分かりません。殆ど話をしたことはないので。でも、何か理由があるんだと思います」


 自然木の形をしたワンドは不自然に真新しかったけれど、ローブも帽子もやはりボロボロだ。


 だから、こんなになるまで冒険者を続けるのは、きっと何か理由があるのだと思う。俺や他の転移者には、きっと分からない何かがあるのだと。


 すると俺らの会話を聞いていた別の冒険者の一人が口を開く。


「その子のような冒険者は大勢いる」


 どうみても獣人にしか見えないその冒険者も、酷く疲れているように見える。

 その冒険者は意識を戻さない女の子を見やりながら、更に言葉を続ける。


「その子が冒険者を辞めない理由を俺はしらないが、辞めたくても他に選択肢がない奴なんていくらでもいる」


 俺と相馬さん達はその男性の話を静かに聞く。

 ちゃんと聞いておいた方が良い気がして。


「転移者には分かりにくいだろうが、冒険者ってのはいつ死んでもおかしくない。パーティーを組めればその危険も少しは和らぐが、それも組めないソロ冒険者なんて、棺桶に足を片足突っ込んで狩りをしているようなもんだ」


 しみじみとそう呟いた獣人の男性冒険者。

 歳は俺よりも何歳か大人に見え、その風貌は獣人だからか筋骨は隆々だ。


「それでも、辞められない理由を持つ者はゴロゴロいる。俺だってそうだ。村が野盗の集団に襲われて、俺は弟や妹達だけを抱えて命からがら逃げた。一応普通の職は探したんだが、結局田舎から出て来た奴にまともな職なんてある訳がないから、俺は冒険者になった。加護なんて無いのにな。それでも俺は辞められない。辞めたら弟や妹が路頭に迷うからな」


 悲壮感溢れた表情で、そう口にした獣人の男性に釣られるかのように、別の冒険者も口を開く。


「わたしも。わたしは田舎から出て来たんだけれど、大勢の兄弟が居て、女であるわたしは口減らしで売られるか、したくもない相手との結婚を無理やりさせられる運命だったのよ」


 口減らしか……。

 不意に小鳩亭で働く奴隷の娘達を思い出した。


「幸い弓の加護は有ったし、わたしは風習に抗う形で家を飛び出しちゃって冒険者になったけれど、結局は他に何も取り柄なんて無いし、もしも冒険者を辞めてしまったら、あとは娼婦になるくらいしか生きていく方法が無いのよね……」


 絵梨奈さんと同い年くらいに見える弓を持った女性は、そう寂しそうな表情で話してくれた。

 皮の鎧も高価なものでは決してなく、修理もままらないのかあちこちが傷ついている。


「自分は二人とは違って、こんななりでも冒険者自体には憧れはあった。だから冒険者になったというわけでは無く必要だからなったのだが、冒険者になる時に家と国を捨てた。理由はまあ言わないが、それでも後がない事には変わりは無い」


 ちょっとゴツめのハーフプレートを身に着けた別の男性は、ここ数日前から見かけるようになった人だ。非常にイケメンで、えもすれば中性的にも見える。


 割と良さげな金属鎧で高価なカイトシールドも持っているようだけれど、自身が自虐的に言うように盾を持つにしては小柄で細身だからなのか、何か他に理由が有るのかこの人もソロで狩りをしているように思える。


「そういう奴ばかりなんだよ」


 絵梨奈さんたちも黙って聞いている。

 それはやはり、自分達はステータス的に恵まれているという、ある種負い目にも近い感情があるからかもしれない。


 こちらの冒険者と比べても、レベル的に10以上先を行き、ステータスも転移者ボーナスを貰っている訳で、それなのに何かを口にして辛いと言えば、何を言っているんだ?といった白い目で見られる。


 俺は生憎と噂が広まり過ぎてしまったから、白い目でなど見られないばかりか、こちらの人にすら憐みの視線を向けられているけれど、相馬さん達はそうではない。


 だから黙って聞いている。

 俺が他の転移者達を羨んだように、この人たちも転移者を羨んでいる雰囲気は、この2週間あまりでひしひしと感じているのだから。


 だからと言ってこの人たちが、相馬さん達へ何かを言うのもお門違いなのだと分かっているがゆえに、結局は壁を作ってお互いが干渉しないようにしている。


 そしてこちらの冒険者と俺ら転移者との壁は、思ったよりも高く厚いのかもしれないなと。


 しんみりとそう思っていたら、不意に俺の事を言われる。


「それでも、あんたは良くやっている」


「お、俺?」


 獣人の男に突然そう言われて困惑する。


「ああ、もう結構なレベルになっているだろ?」


「……そうですね」


 ギガスボアを倒したとか、ソロにしては素材を沢山売っているとか、噂に成らない方がおかしいと、昨日の晩に相馬さん達を前にしてエミリアさんに言われた。

 そして何故かエミリアさんはここ数日ずっと小鳩亭に泊っている。


「転移者なのにレベルもステータスも加護にも恵まれていなかったってのは俺らも知っている。それなのにソロであんたは頑張っている。中には冒険者ギルドのエミリアさんに指導を受けているからだとか、装備が良いからだと言う奴もいるが、俺はそれでも大したもんだと思っているんだ」


 その言葉を引き継ぐように弓師のお姉さんが。


「そうよ。貴方を見ていると、わたし達もやる気がでるわ。ああ、わたし達も出来るんじゃないかなって。じっさい、日に日に狩りが上手くいくようになったわ」


 優しい眼差しでそう言われると非常に照れる。

 でも、ちゃんと言っておかなければ。


「皆が噂をするように、武器と防具が良かったんですよ……あと、運も」


 頑張って居ないとは思わないけれど、武器が無かった事を想像すれば、俺も目の前にいるこっちの冒険者達と同じ運命を辿って居ただろう。

 疲れて、傷だらけで……。


 けれど、獣人の男性は少し微笑みながら、


「それでもだよ。あんた等は全く戦いを知らずに生きて来たんだろう? それをステータスの恩恵で埋めて貰っていただろうに、あんたはそれが無かった。もしも俺が、戦いが身近にない生活をずっと味わっていたらと思うと、いくらいい武器を持って居たとしても俺は挫折するだろう。怖くて仕方がない」


 その言葉は本心なんだろう。

 実際、俺はとても怖かった。

 一発でも食らったら死んでしまうんだと思ったら。


 今では何でもないようにモンスターを狩っているけど、最初の頃は気合を振り絞って、震える膝を無理やり抑えながら狩った。


 幸いにも加護が生まれその恩恵だろうもので、レベルもぐんぐん上がっていったから、長い期間怖い思いをしなくても済んだ。

 もしもそれが無ければ、俺はきっと今頃は挫折していただろう。


「そうよね……この世界の人族は、殆どが子供のころから何かしらの魔獣を狩って暮らしていくものだから、自然と闘いに慣れているのはあるわよね」


「確かにね。それが全く無いのだから、いきなり武器を持たされて魔獣と戦う恐怖というものは推して知るべしなのだろうね」


 たまに会話に参加してくる金髪のイケメン剣士。

 声はまだ変声前みたいで少しハスキーな少年声だけど、見れば見る程にかっこよくて、先ほどから絵梨奈さんの視線が凄い事に……なってはいなかった。


 今している会話の内容でそれどころじゃないんだろう。

 余計な事は考えずに俺も真面目に話をしよう……。


「俺は……運が良かっただけですよ……」


 本心からそう言える。

 人に恵まれ、加護に恵まれ。


「運も実力の内だよ、司馬君」


「そうだぞ。……知ってるか? 冒険者が一番死んでしまうのは初心者の時だと」


「はい」


 俺はまだそういう場面に出くわしてはいないけれど、相馬さん達は、この2週間程で何度か冒険者の亡骸を見つけたそうだ。

 鎧は噛み砕かれ、体の殆どが魔獣によって食い散らかされていたと。


 エミリアさんも言っていた。

 この広い南西の森では、毎日誰かが何人も死んでいると。


 その中の一人に俺はなっていたかもしれないし、目の前で寝ている女の子もそうなっていた可能性は高かった。

 本当に、この世界は死が隣り合わせなんだなと。


「本来ならこの女の子も死んだ筈だ。数多く死ぬ初心者冒険者の一人としてな。……だが運があった。あんたに助けられたという幸運がな」


 俺が、寝ている女の子に視線を移したからか、獣人の男性は未だ眠る女の子の事を口にした。運が良いと。


「一番大切なのは幸運で、次に大切なのは死なないという強い気持ちだと自分の父が昔言っていたが、確かにそうかもしれない」


「いくら強くても、運がわるけりゃあ1本の毒矢であっさりと死んでしまうからな」


「そうなんでしょうね……」


 そう思えば俺もこの女の子も、凄い幸運に恵まれていたという事になるか。

 勿論、運だけでは生きていけない。それは当然としても、それでも運という要素は決して無視できない。


 そしてその幸運は、自然に巡って来ることもあれば、人に支えられる事で得られる幸運も有るという事だろうな。俺の時の様に。


 そんな風に思いながら、馬車に揺られて町へと戻って行った。





「それで、シバさんが助けてあげたのですね?」


「はい。一応、万能薬は飲ませてあります」


「賢明な判断だったと思います」


 女の子は結局あれから目を覚まさなかった。

 体力が著しく低下していたところにあの犬神家状態なので、限界を超えてしまったのだろう。


 なので俺らは冒険者ギルドの医務室に一旦運び込んで、様子を見がてらエミリアさん達と話をしている。


 医務室の中にはエミリアさんの他にエレメスさんも居て、心配だからと相馬さん達もついてきてくれた。


「事件性は無かったのだな?」


 本来は一人の冒険者、それも初心者の容体を確認しに来る程サブギルドマスターは暇ではない。


 俺の時は、俺が転移者だったからという理由があったから。なのにエレメスさんもエミリアさんと一緒に女の子の容体を確認しに来ている。


 恐らくは事件性があったかどうかの確認だけだろう。

 そして、俺の時に居た、あの眼鏡美人さんは今日は居ない。


「無いと思います。場所は普通にグリーンフロッグの生息域ですし、ちょっと意識が戻った時に、本人も自分のミスだと言って居ましたから」


「そうか、それなら私はこれで失礼する。あまり無理はしないようにと伝えて置いてくれ」


 エレメスさんはそう口にし、もう一度女の子を一瞥してから医務室を後にした。



 サブマスターが去ったあとを目で追いながら、エミリアさんが口を開く。


「ちょっとエレメスさんはナーバスになっているんですよね」


「ナーバス?」


「はい、元々真面目な方なんですけど、シバさんの件以来、ずっと張り詰めているといいますか」


「あら……」


 悪い事をしましたねとは思わない。

 悪いのは諸星なのだから。


「以前も、モロボシのような転移者さんは何人か居て、その時はキルトレインを仕掛けられたパーティーが、ほゞ全滅してしまった事が有るんです」


「そうなんですか……」

「酷いわね……」

「そりゃまた……」


 でも、何でそんな奴をアーティファクトは召喚するのか。

 選んでいるのであれば、そういう奴は除外をすれば済むだけなのに。つまりはキルトレインなんて起こりはしないのに。


「その転移者はどうなりました?」


 気になったのか相馬さんがエミリアさんにそう聞いた。


「公式には追放処分にしかなっていません」


「え?」

「たったそれだけ?」


 人を殺しておいて追放だけ?

 随分甘い処分だなと驚いていると、


「転移者の方は、帝国に暮らしているとはいっても元は別の世界の人ですし、殆どの人が貴重な戦力になって頂けるという理由で、転移者特別法によって裁かれますから」


「それは……駄目でしょ……」

「うん、良くないわ」


「とはいえ追放処分になりますと、大きな町には出入りが出来なくなりますし、冒険者の資格もはく奪され、支給されましたマジックポーチや私財も没収になり、転移者特別法の除外者になります。なので次に何か問題を起こせば当然死刑や奴隷落ちもありうるのです」


「それでも一度は見逃されるってことか……最悪だな」


 田所さんも難しい顔を見せつつ唸った。


「はい。それが別の問題も引き起こしているとも言えますから」


「それって、もしかして野盗とかに身を落とすとか?」


 絵梨奈さんがそう言うと、エミリアさんは小さく頷く。


「はい。大きな町には検問があり入れないのですが、小さな町や村にはそのようなものは有りません。そこを力で征服して、更に周辺の村に対し好き放題した方も。追放をする時スキルは封印しますが、能力は高いままですから……」


「うわぁ……」


「野獣を野に解き放つようなもんだな……」


 絵梨奈さんと田所さんは顔を歪め、もうその転移者は討伐をされてこの世に居ませんけれど、と付け加えたエミリアさんの表情も優れない。


 166人も召喚されていれば、何人かは諸星のような奴は居るとは思うけど、一体何をしているのかと。


 異世界に憧れて召喚される。

 けれど、その憧れの内容はどす黒い欲望の場合もあるわけだ。

 自由に出来ない抑圧された元の世界だからこそ、異世界で好き勝手暴れてしまいたくなるのかもしれない。


 でもなあ……。


「歪んでるね……」

「ええ、歪んでるわね……」


 俺の考えを代弁するかの様に、相馬さんと絵梨奈さんはそう口にした。


「元からの性格なのか、こっちに来て弾けたのか……まあ、元からなんだろうな」


「そうですね。俺もそう思います」


 少なくとも諸星の性格は元から歪んでいた。


 俺が奴から虐めを受けていたからそう思うのかもしれないけれど、奴から虐めのようなものを受けていた同級生は俺だけではない。


 強い奴に媚び諂い、弱い奴を虐げるを地で行っていた諸星だからこそ、こっちでもあんなことをやらかしたに違いないのだから。


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