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第47話 生還祝い

本日2話目です。



「あ、司馬君じゃないの」

「お、本当だ」

「大丈夫かい?動いても」


 夕方6時少し過ぎた頃に絵梨奈さん達を乗せた馬車はターミナルに戻って来た。

 三人とも今日は成果があったようで、笑顔が見える。


 よいしょっと言いながら絵梨奈さんが馬車から飛び降り、俺の傍へと来る間もずっと笑顔を見せている。

 勿論他の二人も同様に。


「昨日は本当にありがとうございました」


 まずは昨日のお礼とばかりに大きく頭を下げた。

 先ほどの虚無感は何とか封じ込めた。


「ほんとびっくりしたわ? でも良かったわよ。無事で」

「ああ、本当にな」

「血まみれだったからね、もう駄目かと思ったけど、やはり回復剤は効果があるんだな」


 あ、そうだ。

 使ってもらったポーションを返さなきゃ。


「えっと、昨日使ってもらったポーションを返します」


「いいわよ?そんな気を使わなくって。どうせ下級治癒ポーションだったし」


「いえ、そういう訳にはいきませんって。それと、お礼に今晩食事でもどうですか?」


 お礼を何にしようかと考えた末、結局物とか失礼かもしれないとヘルミーナさん達からの助言もあり、食事に誘う事にした。

 随分気安く話が出来るようになった人たちなので、俺の方も大して緊張もせずに言えたのだが。


「ふむ……どうする?僕は構わないよ」


「俺もいいぞ」


「そうね、やっぱり司馬君の立場からすれば何かをしなきゃって思うかもね」


「はい、俺が泊っている宿屋の食堂で良ければですけど」


「じゃあご馳走になろうか」

「そうだな」

「たっくさん飲んじゃうけど、いい?」

「どうぞどうぞ」


 俺の返事を聞いた絵梨奈さんは満面の笑みを浮かべたけれど、方や相馬さんと田所さんは、可哀そうなものでも見るかのような視線を俺に向ける。


「司馬君……君はきっと2時間後に今の返事を後悔するよ……」

「店の酒が全部なくなるかもだ」

「しっつれいね!エールだけ飲むに決まってるじゃない!」

「ははは」


 話はすんなり?纏り、俺と相馬さん達のパーティーは小鳩亭へと向かった。

 結構離れているから申し訳ないと言いつつ。


 途中で那智さんが「でもエール浴びてもいい!?良い!?」とキラキラした目で言ってきた事に笑いながら。



「じゃあ、司馬君の生還を祝って、かんぱーーい!」


 宿屋の食堂に到着すると、まだ日が沈み切っていないのにも関わらず、既に席は半分以上埋まっていた。

 毎日顔を合わせている客も結構いるせいか、俺を見て手をあげて挨拶をしてくれる人も。

 

 そして絵梨奈さんのせいで、何故か俺の生還祝いになってしまったというおかしな方向に。


「助けてもらったお礼ですよ?」


「もっちろん。だからエールを浴びる程頂くわ」


 そう言いつつ、絵梨奈さんはものの5秒で1杯目のエールを一気に飲み干した。

 流し込んだぞ! 嚥下した形跡すらないじゃないか……。


 目を真ん丸にしつつ彼女を見やっていると、相馬さんが呆れつつ言う。


「ほらね? 那智は凄いんだよ……」


「いえ、大丈夫です」


「言ったなあ~? 見てなさいよ? エールのお代わりください!」

「はーい!直ぐにー」


 元気よくニーナさんが返事を返した。


 ちゃんと事前に女将さんに説明をしておいたから、所持金ほゞ全額の29万ゴルド以上になっても、少々ならツケにしてもらえる約束をとりつけてある。


 とはいってもこのお店で29万ゴルド分のエールって言えば、そりゃ相当な量になるけれど。


 1杯500ゴルドだから580杯だ。

 誰の胃袋にそんなに入るのかと。

 とはいえ俺も今日はエールを付き合って飲んでいる。不味くはないけど、されど正直あまり美味しいとは思えない。


 これが美味いと思える日が来るのだろうか?などと思いつつ絵梨奈さん達に料理を勧める。


「どうぞ、エールお待ちどうさま!」


 仕事帰りの時間だからか、お店にはどんどんと客が入って来る。

 ニーナさんはエールの入ったジョッキを置いて、直ぐに走って行った。


「ここは料理も美味しいですよ?」


「ぷはあああああ……ふぃーー。ここのエールは冷えててうまああああ、エールのお代わりください! ん?なんか言った?」


 2杯目も5秒で飲み干した。

 す、すげえ……。

 これが俗にいう蟒蛇うわばみさんか。


「那智……」

「絵梨奈……駄目だこりゃ」 

「ハハハ……」


 呆れ顔で絵梨奈さんを見やりながらも、相馬さんと田所さんも美味しそうに冷えたエールを飲む。

 俺は手をあげてニーナさんを呼んで料理の注文をする役目。


「じゃあニーナさん注文をお願いします」

「はーい」


 追加のエールを持ったままパタパタと小走りに駆け寄って、小脇に抱えていたメニューを広げてくれた。

 エールをずっと飲む雰囲気だからツマミがいいな。


「じゃあ、俺が適当に選びますね」

「ああ、いいよ」

「好き嫌いは無い」


「あたしはビール……じゃない、エールがあれば満足よ!」


「那智はそうだろうね。ハハハ」


「じゃあ、ホーンラビットのモモ肉の香草焼きを2人前と、ゴルゴン牛のサイコロステーキを2人前と、モアモア鳥のから揚げ3人前と、同じモアモア鳥の串焼きセットを4人前。あとは……フライドポテトを二つと、枝豆二つとチーズとソーセージの盛り合わせ二つかな。とりあえずはそれで」


「はーい、繰り返しますね――」


 では直ぐにお持ちしますねーと言いながら、厨房へとパタパタと走っていくニーナさんを見やる。

 うん、今日は昨日とは違って元気があるようだ。


 けれど、それを目ざとく見つけた絵梨奈さんがニヨニヨ顔で聞いてくる。


「なになに? 司馬君ってばあの娘の事を気に入ってるの?」


 那智さんのエンジンは既にアイドリングを終えたようだ。


「違いますよ?俺、昨日の晩遅くにここの女将さん達と夕飯を食べたんですけど、ちょっとその時にあの子の様子が暗かったんで」


「へぇ~……っていうか昨日あれだけの事があって、人の心配をしてるの?」


 ちょっと呆れ顔でそう言われた。


「ハハハ……元々はそんな性格じゃなかったんですけどね。なんかこっちへ来て変わっちゃいました」


「そっか……初日から大変な目にあったもんね」

「そうだな」


 途端にお通夜のような雰囲気に成る。


「暗い話はやめましょう! あ、枝豆きますよ」


 早速運ばれてくる枝豆とエール(絵梨奈さん用)を待ちながら、何も無かったなら良かったと安堵した。


 料理が次々と運ばれてくる間、相馬さん達は昨日の様子を口にし始める。


「あの時は本当に焦ったわ」

「だな。一瞬死んでるのかと思った」

「治癒ポーションを飲ませても出血すら止まらなかったし」


 その時の様子を思い出したのか、三人とも同じように眉根を歪めた。


「あー、死にかけだったからかもですね。あとがぶ飲みしすぎてたんで効果が薄まっていたかもです」


「やっぱりね。それで結局ありったけの治癒ポーションを纏めて無理やり飲ませたわ」


「有難うございます。あ、あとでポーション代を渡しますね」


「高いぞ~?何せ絵梨奈のあつーい、ファース――]

「どぅわーわーわー!れんじいいいいいいいい!!」


 田所さんの言葉に思いっきり被せるように絵梨奈さんが大声を張り上げた。

 どうしたのだろうか? ファース?


 きょとんとしつつ俺は二人を見るけれど、俺の隣にいる相馬さんが小声で「まあ、聞かないであげてよ。あれでも一応女の子だしさ」と言ってきた。

 聞くなというならその限りでは無いわけで。

 全く意味が分からず若干気にはなるけれど。


「全く蓮司は、ほんっと余計な事を言うわよね。あーエール美味しい! お代わりください!」


「あははは」

 

 田所さんは笑ってごまかしている。

 睨みつけられても全く悪びれていないようだ。

 そして絵梨奈さんもエールの方に既に気が行っているらしい。切り替えの早すぎる人だ。


 そんな風に驚いていると、モアモア鳥のから揚げを頬張りつつ、


「でもさ、ここの料理ってどれも美味しいな。特にから揚げなんて絶妙な味付けだ」


「僕は串焼きもかな。焼き加減が最高だよ。僕らが泊っている宿とは雲泥の差だね。量も多いし」


「あたしはエールを冷やしてくれているってだけで最高だわ!サイコロステーキも柔らかくて美味しいけど!」


 注文した料理も全て来て、エールを飲みながら好きなものを小皿に取って食べ、会話を弾ませる。

 どうやら小鳩亭の料理を気に入ってくれたらしい。


「那智はまあ、そうだろうね」

「エールがあれば生きていける!」

「いや、無理だろ」

「あはははは」


 塩っぽい突っ込みも何のその、絵梨奈さんは笑いながら楽しそうにエールを飲み続けている。 

 

「それで、ここの宿はシャワーとトイレと冷房付きで4000ゴルドだっけ?あと朝食付きで?」

「信じられない安さね」


「ですよね。朝食はビュッフェ形式で、梅干しとかみそ汁やご飯もあります。あと、毎日じゃないけど奈良漬けやたくあんや納豆の日もありますね」


 その言葉に三人は目を丸くする。


「まじでーー!?」

「に、日本食……」

「俺らの宿は石みたいに硬いパンだぞ……」


 俺はもう慣れたけれど、何気にここまでの日本食を出して、しかもビュッフェの宿なんてそうそう無いらしい。

 ビュッフェの方が調理は楽だけど、その分材料コストが嵩むのが理由。


「ちなみに転移者は値段だけを見て候補から外すそうです」

「あー、分かる」

「そうよね、4000ゴルドって、元世界ではそうそう聞かない値段だしね」

「はい、そのせいで泊まらないみたいです」

「部屋の感想は?」

「そうそう、それも気になる」


 かなり部屋の状態が気になるらしい。

 三人とも食い入るように俺に質問をぶつけてくる。

 そりゃ4000ゴルドなんて他ではありえないし。

 ならばここはお世話になっている宿の営業をば。


「相馬さんたちが泊っている宿を俺は知らないんで、元の世界のビジネスホテルを参考にしますけど、バスタブが無いだけで、部屋の大きさやベッドの大きさはこっちの方が大きいし、寝心地もいいと思います。クーラーもあるし、トイレも魔道水洗トイレだし、全体的に清潔ですよ」


「へぇ~……」


「各部屋水洗って良いわね。……あたしらの宿って6000ゴルドなのに部屋のトイレはおまるよ? 見た時思わず笑っちゃったわ」


「だからどうしてもトイレは1階にある魔道水洗を利用しに降りてるね」


 おまるって……。


「それは不便ですね。ただ、ここって冒険者ギルドから少し離れているから、それが不便だと感じるかもしれませんけど」


 勿論良いところばかりじゃない部分もちゃんと伝える。

 だけどその程度など全く問題ではないらしい。


「元々広い町だから、それは大して気にしないけどさ。でもこの宿ってめちゃくちゃ穴場じゃないか?」


「エミリアさんもそう言って居ました。本当はもっと値上げしても良いのにって」


「どうする?各部屋水洗で4000ゴルドは魅力だよ。シャワーもあるし、クーラーがあれば夜寝苦しくないだろうし。それに日本食がビュッフェで出てくるってのはそれだけでも僕にとっては魅力的だよ」


 どうやら相馬さんが一番日本食に食いついたようだ。


「ああ、俺は出来れば直ぐにでも変えたい。料理がこれだけ美味ければ文句はないし」

「あたしはこのキンキンに冷えたエール――」

「那智は放っておいて、この宿って空きは有るのかな」


 相馬さん達はベースをこの宿に変更するつもりらしい。

 因みに絵梨奈さんは既に7杯目のエールを美味しそうに飲んでいる。話を遮られても大して気にもしていないようだ。

 とはいえ流石に流し込むような飲み方はしていないけれど。


「どうですかね? 聞いてみましょうか?」

「頼むよ。今晩からは無理だけど、明日の晩から三部屋をシャワー付きの方で、ひとまず5泊かな?」

「いや、10泊でいい」

「いいわね、さんせーい!」


「わかった、じゃあ司馬君の言葉を信じて10泊でいこうか」


 相馬さんにそう言われ、ニーナさんを呼ぶ。

 直ぐに彼女はパタパタと走ってくる。


「はーい、どうしました?」


「宿の事ですけど、3階の部屋は空いてます? 3人分で明日から10泊ですけど」


「10泊ですね、大丈夫です、ちょうど3部屋空いてますよ」


 思い出すような素振りすら見せず、直ぐに返事が返って来た。

 どうやら彼女は宿泊状況を全て把握しているらしい。

 それはこういった風に食事を気に入って、部屋を借りる客が多いからなのだそうだ。


 ここの宿の規模は、この世界の基準で言えば大きい方だ。

 二階以降は全て客室で、二階に30人、三階に24人が泊れる。


 四階はバス付の二人部屋が何部屋かと、それからファミリー用というかお金持ち用の、所謂スイートルームなので、何人泊まれるかは知らないけれど、それでもこれだけの規模の宿屋は珍しいらしい。それを女将さんとニーナさんを加えた18人の従業員で回しているのだから大したものだ。


 そして何気にこの宿は客を選ぶ。


 最近聞いたのだけれど、選ぶと言ってもお金がありそうな人しか泊まれないとかではなく、素行が悪そうな人物の宿泊を拒否しているのだとか。なのでこの宿屋内でのトラブルは殆ど起こらないというし。


 それはやはり奴隷を多く働かせているからという事も関係しているらしい。

 素行が悪い奴は、総じて女性をモノの様に扱う。そこに奴隷の娘とかが部屋にお湯を持って行ったりすると、必ず良くない事案が発生するから。


 まだ女将さんの旦那さんが健在だった頃にそういう事が有って、それからずっと素行の悪そうな奴はお断りを貫いているらしい。


 因みに、素行の悪い男というのはえてして暴力的なわけで、中には非常に戦闘力が高い輩も居るのだけれど、そう言った場合どうするのか。


 そう聞いた時、女将さんは俺を見やりながらニヤリと不敵に笑ったので、ああ、この人もそういう人なんだなと。俺は怒らせてはダメな人の欄に、ミランダさんの名前もそっと書き綴った。



「じゃあお願いしよう」

「異議なし!エールもう1杯ください!」


 絵梨奈さんはエールでこの宿に決めたようなものだろう。

 そして勢いよく何度もお代わりをするので、周りのおっさん連中が色めき立つ。


「ねーちゃん良い飲みっぷりだねえ」

「ドワーフ並じゃねえか?」

「だってここのエールは美味しいもの」

「だろう? エールを冷やして出してくれる所なんざそうそうないからな」

「やっぱり? だったらこのお店最高ね!」

「おう! 最高だぞ!」

「いいね、姉ちゃん気に入ったぜ」

「あはは、ありがと」

「どうだ? うちの坊主の嫁にこねーか?」

「あははー、遠慮しとく」

「お前の息子なんざ駄目に決まってるだろ!こんなべっぴんなのに」

「あははー、おじさんありがとー」


 すっかり周りのおっさん連中を虜にしてしまったらしい。

 絵梨奈さんも普通に返事を返しているのが笑えて来る。

 その様子を楽しそうに見やりながらニーナさんも口を開く。


「お客さんお強いですね?」


「そう? まだまだいけるわよ?」


「すごい……わたしなんて1杯で真っ赤です。あ、お代わりを直ぐお持ちしますね。ではシャワー付きのお部屋を3部屋ご予約という事でいいですか?」


「お願いします」


 代表して相馬さんが返事を返した。

 それを聞いたニーナさんは「10泊の予約有難うございます、では」と返事を返しつつ、厨房ではなく宿屋のカウンターへ小走りで向かった。

 恐らく予約三名を記入しに行ったのだろう。


 それを眺めていた田所さんが、


「こっちの人って凄く働くよな」


 しみじみと呟く。

 確かにそれは思う。

 俺も飲食店でバイトをしていたけれど、ニーナさんたちの足元にも及ばない。


「皆が生きるのに必死なのよね」


 エールジョッキを持ったまま、絵梨奈さんも同意した。

 すっかり出来上がったかに思われるけれど、実のところ大して酔っ払ってはいないような。


「そうだよな。僕らってどれだけ恵まれて生きて居たんだろうって、最近痛感してるさ」


「元サラリーマンの愚痴が始まった」


「あはは。まあ、たったの10日余りだけれど、もう随分前の事のように思える」


「俺らも毎日必死だからなあ」


「そうね。ステータスに恵まれているって言っても、やっぱり慣れに時間はかかるもの。司馬君にこんな話を聞かせたら気分悪くなっちゃうかもだけど……」


「いえいえ、それはもう平気だし、慣れってのはまた別物だと思います」


「そうかな……そう言ってくれると嬉しいかも。ごめんね?」


「いえ、全然です」


 俺の返事にニコッと笑う那智さんは、今本音で語っているのだろう。


 でも、そりゃそうだよなあ。

 命のやり取りなんて、生まれてから死ぬまで経験しない人の方が遥かに多い世界だったし。


「でも、今日は結構良かったんじゃないか?」

「俺もそう思う」


「今ってワイルドボアを狩っているんですよね?」


「そう。漸くコツが飲み込めたというか、ダメージを最小限に抑えながら壁が出来るようになった。盾も買ったし」


「慣れないタンク役をやらせてごめん」


 同じ剣士でステータスも似たような感じだったからか、タンク役を任せてしまった事に田所さんはちょっと思うところがあるようだ。

 でも相馬さんはなんとも思って居ないようで。


「いや、いいよ。攻撃力は蓮司れんじ君の方が高いし、攻撃のセンスもある。それに、壁もやってみると結構面白いしね。あとは、VITがもう少しあがればヘイトスキルを一つ覚えられるって話だから、そうすればもっと楽になるよ」


「だいぶ様になって来たわよね。でもやっぱり支援職、っていうか回復術師が欲しいわよね」


 三人でパーティーらしい会話をしている。

 ちょっぴり羨ましいけれど、それでもこういう話を聞けるだけでも何となく嬉しかったりする。

 ああ、俺は異世界へ来ているんだな。と、実感出来ると言うか。


 とはいえ支援を探し出してから3日か。


「見つかりません?」


「募集は出しているんだけど、なかなかね。転移者って、畏敬の念と一緒に畏怖の念もあるみたいだし」


 ああ……それはあるのかも。


「元はといえば一部の先輩転移者が悪いって話だけれどさ」


 顔を顰めながら相馬さんはそう言った。


 先輩転移者が何かやらかしたのだろうか?




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