下見①
学校から帰り、さっそく外に出る準備をする。
変だなとは思いつつも、近づこうとしなかった隣の一軒家。
いざ行こうと思うだけで形容し難い何かが這い上がってくるのを感じる。
それほど未知のものに近づくことが非日常な事なんだろう。
小学生の頃は未知のもので一杯だったのに、知らないことは近づかないという気持ちがいつの間にか定着していた。
「…まぁ、持っていたほうがいいスキルだ」
その分未知のものに近づくときはしっかり警戒することができるようになっているはず、だからしっかり準備を…
「…中に入らないんだからそこまで身構える必要ない…」
つくづく俺はビビりだ。
というかどうやって中に入るのだろう。
土地の持ち主が居たら謝るしかないが、今日は敷地内を軽く見るだけの予定だ。
「家に居たら余計なことを考えそうだ」
軽装に着替え、半ば逃げるように家を出て30歩もあればつく1つの一軒家へ向かった。
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「ちょっと変な一軒家って、ねぇ…」
オカル…ミステリー部の部室で僕はいつの間にかそんな独り言を呟いていた。
研には誤解されているが、ミス部でヤバイ感じになってるのは一部の部員だけ。藁人形挿したのもそいつら。
研はたまに僕のことを彼らと同じようなやつと思ってる目を向けてくる。
彼には言えてないけど、推理系のミステリーが好きだから僕は入った。
何も怪奇現象専用の部じゃあない。
謎を追い求める趣味があれば皆入れる部活、例の部員がいなければ。
「にしても流石に情報が少ないないぁ」
彼が言うに件の一軒家は、不自然に綺麗で人通りがない家だという。
調べてみようって誘われて推理系ミステリーの定番である密室が何故かフラッシュバックしたから反射的に行くとは言った。
けど土地は誰ので、調べるって中入れるのかな?企画倒れになったらファミレスでも奢ってもらおう。
もし調査できるとなったら、ミス部の人達に持ち込めるいい話題になる。
僕としてはどう転んでも得で終わりそうだ。
「次の休み開けとこーっと」
「幸太先輩。何か予定ができたんですか?」
「まぁね」
「ふ〜ん。何か面白そうなことがあったらぜひ聞かせてくださいね〜」
「話聞くよりも補修は?」
この後輩は成績が著しく低い。
馬鹿なわけではないんだが…
「ナンノコトヤラ」
こう、ちょっと不真面目なところが残念なんだ
「よし、ちょっと付いてこい」
「誰か〜!タスケテ〜」
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「近くで見ると少し大きく見える気がする」
独り言でもいうだけでそこそこ紛らわせそうだ。
着いてみるとそこまで不気味感は無く、本当に普通の一軒家だ。
人の温度さえすれば。
「まさか人の温度が恋しくなると思わなかったよ…」
そう言いつつ、俺は正面から敷地に入り、家の周りの探索を始めた。
俺は自分がいつの間にか怪奇現象を期待していたと気がついたのは、下見から帰ってきてからだった。
幸太視点を書いてみました。
優しいけどやることはちゃんとやるいい子です。
下見は次がメインです
お楽しみに