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隣の一軒家はやけに静か  作者: クマ
一軒家:2階
15/16

別再行動:研③

 スイッチを押さなかった事が変に俺に違和感を与える。

 次の部屋も軽く調べてとっとと1階から出よう。

 そう整理し、幸太に2階で調べろと伝えられた最後の部屋━━といっても合計2部屋だが━━の扉を開け……られない


「ここだけ引き戸……」


 1階と俺が探索した2階は全部押し戸だった、というか部屋割の扉は外から見て押し戸がベターなはずだ。

 幸太の赴いた部屋がどうかは分からないが、あいつの微妙な間の抜けた感じから部屋から出るときにドアをつま先をぶつけて痛めていそうではある。

 直感でそんな感じがしたけど、握ったままぼーっとしてて暖かくなってきたドアノブを引いて中に入る。





 コックピット。

 最初に頭に流れてきた感想は、コックピット。

 ドアを開けたら床の隅が見えないくらいの電子機器で埋め尽くされていた。

 ドアから見て正面の壁はメインモニターか何かだろうか、他のモニターに比べ一回り大きい。


 ひとまず全体を眺めてから、まだ閉めていない(前部屋の事もあって閉める気はない)ドアへ再び目を向ける。


 引き戸な理由は、おそらく部屋内から見てドアの位置が壁の中央に位置する影響だろう。

 この部屋の残りの3つの壁は機器が敷き詰められているため━━それ故にコックピットに見えたのだが━━押し戸で機器にドアが強く叩きつけられるのを防ぐためだと思われる。


 ドアを触り、上下にガタガタ動かしてみる。

 ……少し噛み合わせが悪いように感じる、最初は引き戸の違和感で気づかなかったが、他の部屋のドアには感じなかった凸凹感のようなものを感じる。


 今度はドアの付け根を部屋の中から見てみる。

 部屋の中から見た場合、ドアの開閉の為の金具の位置は押し戸の場合部屋の内部側へ、引き戸の場合部屋の外部側に付けられている。

 当然引き戸な為金具は外部側についているのだが、俺の目的は別。


「……やっぱそうか」


 内部側には、外部側に付いている金具の位置とほぼ同じ場所に"何か"を強引に外した跡があった。


 考えなくても分かる。

 "何か"は金具であり、この部屋も元を辿れば押し戸であるということ。

 金具に触れる。

 手に薄くオイルが付着する。

 どんなに遅くても半年以内にオイルを入れた者が居る。

 半年……?もっと最近だろう。


 つまり、この家は全く空き家でも何でもない可能性が出てきた。

 もし誰か居るのであれば玄関が僅かに開いている理由も付く。

 もし誰か、居るのであれば。


『……,,……,,……,,……,,……,,』


「………??」


 考察して居るせいで聞こえないものも聞こえてしまったのだろうか?


『……,,……,,……,,……,,……,,……,,……,,』


 浅く深呼吸する。

 浅い深呼吸などただの呼吸だが、幾分か落ち着いた……ような?

 微かだが、何処かから小さな音が聞こえる……気がする。

 昔から自分の感じたことに自身を持つことは苦手な性格が大きく出ている、だが信じないくせに考察は加速する。


 焦りが思考をバグらせ、俺が俺自身に質問を始める。



 音が聞こえたのは?

 分からない。


 足音か?

 分からない。


 人の出せる音か?

 そうであると言えるし、そうでないとも言える。


 幸太の音か?

 今の所連絡は来ていない。


 この家に居るのは……二人か?

 ……分からない、確証を持てなくなってしまった。


 この状況、一番に優先すべきことは?

 それは━━━━




 ゴン!と鈍い音がした。


 重い音は俺の額とドアがぶつかり響かせた音だった。

 痛みはさっきまで聞こえた質問者の俺が吸収したかのように感じない。

 相変わらず考え事で周りが見えなくなるのは困った癖だが、今回はコレのおかげで自問自答のループから脱出した。


 とりあえず結論を出すべきだ。

 この家の結論じゃなくて、部屋の結論を。

 ドアの金具入れ替えの不慣れさ故の凸凹感、この部屋の役割……

 ここが起源、機械仕掛けの主電源。


「主電源……?」


 音の感覚的にこの一軒家での電子ギミックはあまり多くなかった、つまりギミックの制御面はあまり期待できないだろう。


 それよりも。

 電子ってことは、可能性として、あり得る話として。


「玄関、アンロックできるんじゃないか?」


 価値を切り捨てたばかりの電子ギミックに大きな重要性を感じた、気がした。



 そして、結局頭を犠牲にして考察から現実に引き戻したのに、再びドアを掴みながら考察していたことに気がついたのは、また数分後。

正直2階に電子制御部屋はどうなんだろう……

と思ったんだけど、元々この物語のスタートが

見切り発車なので諦めました★

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