1つの一軒家
短編だったものを転送したものです
過去にこれを読んでいる方は
飛ばしていただいて結構です
平凡な一軒家に住んでて、普通の母子家庭で、成績も普通。
そんな俺こと島田研は、1つ気になることがある。
我が家の隣の少し大きな一軒家。
人の気配がしないのに何年経っても綺麗なままなのだ。
外見だけなのかもしれないが、いつまで経っても全く変化を見せないその家に、俺は密かに興味を持っていた。
_______________________
「隣の家?そんなところ行ってどうするつもりなんだ?」
学校の給食の時間に同じ話を友人である高須幸太にしていた。
「不思議だなってだけで放置するには不自然すぎてさ、直接見に行って理由を突き止めたいんだ」
「いくら見た目が変わらないって言ったって、誰かが掃除したりしているんじゃないのか?理由はわからないけど」
俺も最初はそう思った。
というか、今までそう思っていたから気にしなかった。
「最初はそう思ってたよ。でも中から人が出てきたことすら見たことがないのに掃除する価値あるのか?それに、掃除している人をこれまで見たことがないんだ」
「まぁそれなら気になって当たり前だよな」
幸太の雰囲気が変わる。
彼はミステリーが大好きだ。
だからこんな話をしたというのもある。
「でもさ、そういう話なら僕じゃなくてミス部に言えば良くない?僕もいるよ?」
「あー…まぁ…そうなんだけど…」
彼はミステリー研究部に入ってる。
彼に誘われて見学したときの恐怖は今でも忘れられない。
「あの部はちょっとトラウマでさ…」
「別に教室の柱に藁人形が刺さってる程度じゃん!」
「いや程度って…」
こいつも駄目なのかもしれない。
こんなことして許す学校も学校だが、まずやろうとする意味がわからない。
「とにかく!次の休日に見に行ってみようと思うんだけどお前も来ないか?こーゆーの好きだろ?」
「もちろん行くよ〜。ブキミなのとかフシギな事好きなのに立ち会うのはちょっと苦手だもんなお前」
「それくらい普通だと思うんだけどな」
確信はあったが、幸太が付いてきてくれるのは心強かった。
ちょっとビビりなことくらい自覚はしてる。
克服は多分無理。
決定打はミス部。
もしあの家が何の変哲もないただの家だとしたら幸太から何言われるかわからない…というか絶対なんか奢らされるから、近いうちに下見に行っておこう。