3.間人連老《はしひとのむらじおゆ》
八隅知-我が大君の、朝には取り撫でたまひ、夕にはい寄り立たしし
み執らしの梓の弓の中弭の音すなり
朝猟に今立たすらし、夕猟に今立たすらし
み執らしの梓の弓の中弭の音すなり
- 短歌 -
玉切-宇智の大野に馬並て朝踏ますらむその草深の
☆意味☆
言わずとも私は今回の遊猟にお出かけになられるであろうこと、今か今かと待っておりました大王様!
なぜってそれは、大王様が大事に毎朝毎夕、手に取っては眺めてたり磨いたりされていたその梓の弓、先日から毎朝毎夕、びゅんびゅんと張り切って空撃ちしてる音が聞こえておりましたので!
さぁ!いざ隊列を組み宇智の大野に出向きましょうぞ。
☆補足☆
この歌の題詞では「天皇遊猟内野之時中皇命使間人連老献歌」(天皇、内野へ遊猟の時、中皇命が間人連老を使して献上した歌)とされています。
そしてこの解釈では「天皇遊猟内野之時」の部分は後の人が付け足したもの、「中皇命使間人連老献歌」の部分は詠まれた時により近い時代の人が注釈した物で、「使」の部分は「勅」の誤字ではないかと考えました。
つまり、「中皇命勅間人連老献歌」、中皇命の勅により間人連老が献じた歌。
※中皇命の読みかたについては12章に後述してあります。