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夏色!!  作者: 雨月 照琵
4/4

第4話:本当の気持ち

夏休みものこりあとわずかとなった日に莉真は夕陽のあたる部屋で洗濯物を畳んでいる。

碧、翠、清也の3人は買い物に出かけていて家には莉真ひとりである。

「一人って静かだなぁ…」

―夏休みもあと少し…

ふと、夏休みの最初に清也から告白されたことを思い出す。

「どう…しよ…」

―違う…。私の好きな人は清也さんじゃない、やっぱり憧れでしかないのかな

最後の一枚を畳み終わると一息ついて立ち上がった。

「今夜は3人が晩御飯作ってくれるって言うし。お茶菓子でも作って待ってようかな」

部屋を出て台所へ向い、お菓子作りを始める。

オーブンで焼いている暇な時間に莉真は洗濯物をそれぞれの部屋に持っていくことにした。

翠、碧の部屋へと順に置いて行ったとこで3人がかえって来た声が1階からした。

「ただいまー」

「あれ?返事がないね。2階かな?」

翠が見上げると清也が階段へと足を向ける。

「おれが見てくる」

清也の部屋へ入り洗濯物を置いて整理したとき部屋の扉が閉まる音を聞いた。

莉真が振り向こうとしたその時誰かに後ろから抱き締められる。

「莉真…」

「清也さん…。離してください」

莉真の願いとは逆に清也は抱きしめる手に力を込めた。

「そろそろ、返事」

返事という単語を聞いた莉真は肩をビクンと震わす。

清也はそれを感じそのまま抱きかかえてベッドへと押し倒す。

「や…、離して。はな…んっ」

黙ったまま抵抗する莉真の唇を奪った。

「いやぁっ」

莉真は清也を力いっぱい押して腕からのがれた。

清也は莉真が涙を流しているのに気づく。

「莉真!?」

莉真は清也から目をそらしばたばたと家を出て行ってしまった。

騒ぎを聞いた2人が階段を上ってきた。

「兄さん、莉真ちゃんは?」

清也が押し黙ったままなので翠はため息をついた。

「ちょっと、探してくるよ。碧は兄さんから話し聞き出しといて」

「あぁ」

部屋を出ようとした翠の腕を清也がつかむ。

「おれが行く」

翠は振り返って腕をつかむ清也の手を離す。

「兄さんが行ったら逆効果でしょう。僕が行ってくる」

清也は舌打ちをしてそっぽを向いた。

「じゃあ、よろしく碧」

「おう、任せとけ」

翠は家を出るとまっすぐ近所の公園へと向かった。

そこは幼いころに4人でよく遊んだ場所で噴水があるきれいな公園だった。

莉真は小さい頃から何かあるとそこの噴水のとこに座って泣いているのを翠は知っていた。

公園へ着くと案の定噴水のとこで肩を震わせて泣いている莉真が見えた。


人がちかづく音がしてびくっとなって振り向くと立っていたのが翠だったので莉真はほっと安心した。

「翠さん…」

「莉真ちゃんはよく何かあるとここにきてたね」

そう言いながら翠は莉真の隣へと座る。

「その度にいつも迎えに来てくれてたのは翠さんでしたね」

笑顔を作ったがまたすぐに涙があふれてくる。

翠はそっと莉真を抱き寄せた。

一瞬体をこわばらせた莉真だったがすぐに水の胸へと顔を押し付ける。

そこで莉真はあることに気づいた。

「何があったか教えてもらえるかな?」

翠は莉真の髪をやさしくすきながら問いかける。

「清也さんが…無理やりキスをして…」

「うん…。辛かった?」

「わかんない…。でも、ちっとも嬉しくないんです」

「うん」

そこでぱっと顔をあげる。

「気づいたんです。」

「何に?」

「私の好きな人は翠さんだって」

翠は一瞬目を見開きギュッと莉真を抱きしめた。

「僕も好きだよ。莉真のこと…。守りたい」

「翠さん…。私気付いたんです。

いつもそばにいてほしい時にいてくれたのは…いつも支えてくれていたのは…

翠さんだって」

「莉真…」

2人は顔を見合せてゆっくりと目を閉じて唇を重ねた。


一方家では…

「おい、莉真に何したんだよ!」

碧は仁王立ちになって清也を見下ろす。

「おまえに言う必要はねぇよ」

「はぁ!?…」

碧が何か言いかけた時部屋の扉があいた。

「碧、もういいよ」

「兄さん!?と莉真」

碧は莉真を見てほっとした。

翠は碧をどけて清也の前に立つ。

「兄さん、一発なぐってもいい?」

「は?……いってえ」

翠は間髪入れずに胸倉を掴んで清也を殴る。

清也は殴られた頬を抑えた。

「話しは聞いたよ…。力づくじゃ手に入らないってわかってるよね」

翠が説教してる後ろで碧は莉真にこそっと尋ねる。

「何されたの?」

「だいたい…わかるでしょ?」

碧は少し考え込んでひらめいた。

「キス…とか?」

「ご明答…」

言い合いをしている清也にぼそっとだけど聞こえるように碧は言った。

「お前、そういう人間だったのか。さいてーだな」

「おまえに言われたかねーよ」

そこで莉真は気づいたように階段を下りて行った。

「莉真?」

碧は部屋から顔を出して呼んだ。

「クッキー焼いてたの。お茶にしましょう?」

まだ言い争ってる2人に碧は莉真に言われことを言った。

階段を降りる途中、碧は翠に問いかける。

「なぁ…。莉真ってさぁ…兄さんのこと好きってか。付き合ってるのか?」

莉真の気持ちにうすうす気づいていた碧はズバッと聞いた。

「あ、気づいてたんだ。………さっき、探しに行ったときにね」

「ふぅん。まぁ、俺には気がなかったってことだよな」

碧は頭の後ろで手を組む。

「でも、莉真泣かせたらただじゃ置かないからな」

「うん、わかってるよ」


そんなこんなで1か月の同居生活も終わり両親たちが帰ってきた。

「ただいま。莉真〜。お土産いぃっぱいあるわよー」

「おかえり」

そのあとはあっという間に夏休みも終わってしまい。


その夏休みから半年以上たとうとしていた、3月中旬

「莉真ー」

昼休みに机に座って本を読んでいると萌が前の椅子へと座ってきた。

莉真はゆっくりと本から目線を上げる。

「どうしたの?」

「さっき碧から聞いたんだけど、翠先輩。合格したらしいよ」

碧は11月から萌と付き合っていた。

「へぇ…」

視線を本へと戻す。

「あれ?驚かないの?」

再び顔をあげてほほ笑む。

「さっき、メールきたからね」

「よかったね」

「うん。合格より驚きなのは二人だよ…。あんなに嫌ってたのに…」

萌は苦笑して頭をかいた。

「よくよく考えればいい奴だったーみたいな感じですよ」

「まぁ、幸せならそれでいいけどね」

外を見るとまだ寒い風の中に暖かな春の日差しが教室へと入る。

桜の木の先にはつぼみが膨らんでいた

夏休み中には間に合いませんでした…。

あんまり題名となかみが関連してませんがそこは温かい目でみてやってください。

他の作品も見ていただけたら嬉しいです。

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