7.狭いながらも楽しい「我が家」
実年齢がバレそうなんだけど、十五年くらい前だったかな。
私はとあるサイトの、某少年漫画の二次創作小説にどっぷりハマっていた。
漫画の作中に登場するキャラクター同士を戦わせて、そのバトルを小説化するという内容。
戦うルールも最低限はきっちり決められていて、参加者が戸惑う要素もない。サイト運営者は頭が良く、文章センスも高かった。
はっきり言ってめっちゃ楽しかった。
もう二度とあの頃のモチベーションは取り戻せないとは思うけど、同じ漫画が好きな同好の士が集まり、書いた作品には速攻で掲示板に感想が寄せられる。
私はその様子が楽しそうで楽しそうで、そのサイトに参加するためだけに某少年漫画のコミックスを全巻揃えてしまった。
キャラクターを操るプレイヤー参加だけに飽き足らず、小説を書く側にまで立って、果てはそのサイトの設定による番外編まで書くくらい入れ込んでいた。
最盛期には、今まで書かれた作品の人気投票企画もやってたね。お祭り騒ぎだったなぁ。
小規模ながらも「絶頂」だった。栄光だったんじゃ……十五年前、あそこにいた皆は輝いておったんじゃああ(笑)。
あの当時書かれていた小説、たまに読んでみるけど、今わたしが書いてる話よりずっと面白いもん(笑)。
何より素晴らしかったのは、作者たちの「書いてて楽しんでる感」が伝わってくる事。
今の「なろう」小説みたいに、必要に迫られて無理矢理テンプレ入れてるような必死さがなく、自由にのびのびと書いてる感があったなぁ。
さすがに後半はみんな飽きてきて、参加者同士の意見の食い違いも起きて、だんだん下火になって自然消滅してしまったんだけど。
なんでこんな年寄りじみた昔話を、いきなり書いたかって?
昔と今じゃ、書いてる時の楽しさが全然違うなぁって……なんとなく寂しく思っちゃっただけ。