1.外からは見えなかった「非現実の王国」で
私の名はLED。底辺の書き手だ。
ちなみにLEDってLight Emitting Diodeの略なんだってさ。
いわゆる「発光ダイオード」って奴。
ペンネームに使ってたくせに、私も実は今、調べて知ったんだ(笑)。
まあ、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。
私が「小説家になろう」にID登録して4か月ほどが経った。
ふとエッセイを書いてみよう、と思った。
ネット小説の世界に入り浸るようになる、少し前のこと。
書籍コーナーで「異世界転移・転生モノ」が1ブースを埋め尽くしている光景を見て、ギョッとしたものだ。
よくよく見れば、普通の文庫本が並んでいる平積みコーナーでも、タイトルがやたら長い書籍が多い。
私が最初に目にして衝撃的だったのは「下ネタが存在しない退屈な世界」ってタイトルだったかな?
表紙イラストといい、とにかくものすごいインパクトだったのを覚えている。読む気は起きなかったが。
「あー……これはこれは」
ネット上では、昨今のライトノベル事情を散々に揶揄する意見が無責任に飛び交っていた。
「みんな異世界にばっかり行きたがって……戦わなきゃ、現実と」
とか。
「最近のラノベタイトル、頭悪すぎない? 読者の質も落ちたんだねー」
とか。
かくいう自分も、そんな意見を真に受けていた一人だった。
しかしながら。
実際は違ったのだ。
今のライトノベルを愛する者たちは、別に現実逃避したいワケでも、頭が悪くなったワケでもない。
彼らは戦っていたのだ。今の「小説家になろう」の世界という、暗黒郷にも等しい「現実」と。
私がこんな益体もない雑記を書いている今も、彼らは日々戦い続け、そして死に続けている。
私がソレを思い知ったのは、「なろう」にID登録して、細々と活動を続けてしばらく経ってからの事である。